先日のルヴァン杯決勝ではPK戦まで縺れ込む壮絶なゲームを展開したコンサドーレ。負けたとは言え、サポーターにとっても強い誇りと自信を喚起したことだろう。場内にはそんなサポーターの熱い気持ちでゲーム前から大いに盛り上がっていた。一方、グランパスは前節、フィッカデンティ監督になって初めての敗戦。いまだ勝利もなく、降格圏まで勝ち点差4の14位まで順位も下がってしまった。
コンサドーレの先発は鈴木武蔵をワントップに、右FWアンデルソン・ロペス、左FWチャナティップ。深井と荒野のボランチはルヴァン杯と変わらず。右WBにはルーカス・フェルナンデスが先発した。左WBは菅。3バックも変わらない。GKにはクソンユンが先発した。対するグランパスは変則的な4-4-2の布陣。ジョーと長谷川アーリアジャスールの2トップに、右SH前田、左SH和泉。ボランチはエドゥアルド・ネットと米本で組む。DFは右SBに宮原が入り、吉田は左SBで先発。CBとGKは変わらない。
開始3分、グランパスはスローインからFW長谷川がスルーパス。右SH前田が抜け出してクロスを入れるが、走り込んだFW長谷川の手前でCBキムミンテがクリアする。しかしその後はグランパスが守備を固める。左SH和泉がDFラインまで下がり、実質5バックの体勢でゴール前を固める。そんなグランパスに対してコンサドーレも攻めあぐね、膠着した状況が続く。それでも25分には、CF鈴木の仕掛けをCB中谷が止めて、PA手前でFKを献上。ルヴァン杯でも見事な直接FKを決めた左CB福森が狙うが、わずかにバーの上を越えた。
しかしその後はコンサドーレが積極的に攻めていく。26分、CH深井の縦パスに走り込んだCF鈴木武蔵がシュートを放つと、28分にもこぼれ球からCF鈴木武蔵がミドルシュート。29分には左CB福森のフィードに抜け出した左WB菅が胸トラップからボレーシュートを放つ。そして35分、左サイドからの福森のCKにCH深井がドンピシャのヘディングシュート。コンサドーレが先制点を挙げた。福森のゴール前で落ちるキックの精度もさることながら、ゴール前でフリーにしてしまうグランパスの守備も課題が多い。
前半終盤はグランパスも反撃。40分には左SH和泉のクロスにFW長谷川が飛び込むが、わずかに触ってコースが変わったボールに、ファーに走り込んだFWジョーが合わせられない。42分にはCBキムミンテのパスをカットしたFW長谷川からFWジョーに横パス。しかし焦ってしまったか、ダイレクトでシュートを打って枠を外してしまった。直後の43分にはGKクソンユンのフィードから右FWアンデルソン・ロペスが抜け出してシュート。GKランゲラックがファインセーブ。守備陣は奮闘しているが、攻撃がダメ。前半はコンサドーレの1点リードで折り返した。
それでも後半はグランパスが積極的に攻めていく。5分には左SB吉田の縦パスをFWジョーが収め、横パスから右SH前田が仕掛けていくが、左WB菅と左CB福森にコースはしっかりと閉められた。10分にはPA左手前のFKを3人が短いパスをつなぐトリックプレーからCH米本がミドルシュート。しかしポストにはね返された。14分、右SH前田が切り返しからの得意のミドルシュートを放つが、わずかにポスト左に外れる。17分のCKからのCB中谷のヘディングシュートはGKクソンユンの正面。さらに20分、カウンターで左SH和泉、FW長谷川、FWジョーとつないで、最後は右SH前田が受けるが、コンサドーレDFに戻りも早く、シュートは打てなかった。
コンサドーレは19分、アンデルソン・ロペスに代えてCFジェイを投入。鈴木武蔵を右FWに下げる。すると26分、CH深井の縦パスをCFジェイが落とし、左FWチャナティップがスルーパス。抜け出した右FW鈴木武蔵を左SB吉田が後ろから押して倒してしまう。PK。しかも吉田にはレッドカードが提示された。鈴木武蔵のシミュレーション的な感じもあっただけにやや厳しい判定だったが、抜け出されたこと自体がダメ。このPKを鈴木武蔵が落ち着いて決めて、コンサドーレが追加点を挙げた。
グランパスは29分、右SH前田に代えて右IH伊藤洋輝を投入。和泉を左SBに下げて4-3-2の3ボランチにする。コンサドーレも33分、CH荒野に代えて宮澤を投入。グランパスは39分、米本を下げてFWシャビエルを投入。長谷川アーリアジャスールを左IHに下げる。コンサドーレは無理せず、DF間でパスを回して時間を使う。そして41分、CH宮澤の縦パスを右FW鈴木武蔵が受けると右に展開。右WBルーカス・フェルナンデスが中へドリブルをすると、パスを左FWチャナティップがダイレクトで前へ。右FW鈴木武蔵が落とし、CFジェイが縦に送ると、走り込んだルーカス・フェルナンデスがシュート。コンサドーレがダメ押しの3点目。チャナティップから最後のルーカス・フェルナンデスまで、ワンタッチでパスをつなげていったのがすばらしい。
6分という長いアディショナルタイムの中、45＋4分にはCHエドゥアルド・ネットを下げてFW杉森を投入。杉森は積極的に攻めていったが、如何せん時間が少ない。そのままコンサドーレが時間を使ってタイムアップ。3-0。コンサドーレが快勝した。
ワントップ・ツーシャドーと高速カウンターという攻撃の形に自信を持つコンサドーレに対して、未だに攻撃の連携を模索するグランパス。フィッカデンティが守備指導を徹底したとは言え、90分間守り切るのは難しい。これで2試合連続の無得点複数失点による敗戦。降格圏17位山雅との勝ち点差は3。次節はホームでヴィッセル戦だが、あまり多くは期待しまい。その後、15位サガン、最下位ジュビロと残留を争うチームとの対戦が続く。そこで何とか勝ち点を挙げたい。勝利が欲しい。残り4試合、藁にも縋る思いだ。
