とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリンチャレンジ杯 日本対ベネズエラ

 日曜日のU-22はコロンビア相手に0-2の完敗を喫した。W杯アジア2次予選を快調に勝ち進む代表チームがベネズエラを迎えての強化試合。U-22とは違う結果を出してくれるものと思っていた。とは言っても、FIFAランクベネズエラの方が上の26位。日本は海外組の多くはキルギスからそれぞれのチームに戻り、ベネズエラ戦まで帯同したのは、柴崎・浅野・原口など数少ない。それでももう少しいいゲームができるかと期待していたのだが。

 日本の布陣は4-4-2。鈴木武蔵と浅野の2トップに、右SH原口、左SH中島。ボランチは柴崎と橋本。DFは右から右SB室屋、CB植田、CB畠中、左SB佐々木。GKは川島。植田と川島も海外組だが、特に植田は海外組としての違いの見えるプレーはできなかった。対するベネズエラは4-3-3の布陣。屈強なCFロンドンをワントップに、右WGマチス、左WGソテルド。中盤はマンサーノをアンカーに、右IHエレーラ、左IHリンコン。DFは右から右SBエルナンデス、CBオソーリオ、CBヴィジャヌエヴァ、左SBロサーレス。GKはファリニェスが守る。

 序盤からベネズエラが積極的にプレーする。4分、左WGソテルドのパスから右WGマチスミドルシュート。そして8分、左WGソテルドのクロスにCFロンドンがヘディングシュート。さっそくネットを揺らした。左SB佐々木はロンドンに完全に競り負けていた。CFロンドン、左IHリンコン、右IHエレーラと攻撃陣も身体の強いベネズエラに対して、CB畠中やCB植田でさえ貧弱に見える。ましてや左SB佐々木や右SB室屋に至っては、象にたかる蟻のよう。小柄な左SBソテルドもまだ22歳ながら、自信を持ってプレーし、右SB室屋を翻弄する。

 また、日本はパスミスが多い。左SH中島が中に絞ってプレーするも、そのスペースを右IHエレーラや右WGマチスに使われ、また左サイドでも積極的に仕掛けてくる。15分には、日本のCKのクリアからカウンター。最後は右WGマチスがシュートを放つ。日本はようやく16分、左SH中島のドリブルから、FW浅野の落としを左SH中島がミドルシュート。だがGKファリニェスが難なくセーブ。22分には左SH中島のミドルシュートから、続く中島のCKを左SB佐々木がヘディングシュート。しかしGKファリニェスがナイスセーブ。それでもようやくこの時間になって、日本も互角にプレーできるようになってきた。25分にはCH橋本の縦パスをFW鈴木武蔵が胸トラップからボレーシュートを放つ。

 しかし30分、右IHエレーラの縦パスをCFロンドンが右に流すと、右WGマチスが持ち上がって、クロスにCFロンドンがシュート。ベネズエラが追加点を挙げる。日本のDF陣はエレーラの縦パスから全く足が止まって、ベネズエラが面白いようにパスをつなぐ。そして33分、左SBロサーレスのクロスを右IHエレーラがヘディングで折り返すと、CFロンドンが叩きつけるヘディングシュート。ベネズエラが3点目。

 さらに38分、左WGソテルドのパスを右WGマチスが折り返し、ソテルドがシュート。日本DF陣はただ見送るだけ。あっという間にベネズエラが4点目を挙げた。40分には左IHリンコンのクロスに右IHエレーラがミドルシュート。これはポストにはね返されたが、ゴール前に引いてしまった日本に対して、ベネズエラはいくらでもゴールが挙げられる感じ。すっかり自信を失って、茫然自失状態の日本。42分、右SB室屋のクロスを右SH原口がスルー。左SH中島がミドルシュートを放つが、バーの上。前半を終えて、ベネズエラの4点リードで折り返した。

 このまま後半はどうなってしまうのか。森保監督はDFラインを統率できず、茫然自失のCB植田に代えてCB三浦を投入。さらに、DFと駆け引きはするも中盤からのパス出しがなく、ほとんど活躍できなかったFW鈴木武蔵に代えて右SH古橋を投入する。浅野をワントップに上げて、原口を左SHで守備にも走らせ、中島はトップ下。すると1分、CH橋本の縦パスをCF浅野が流して、OH中島がシュート。ようやく日本の攻撃に連携が生まれた。4分には右SH古橋のドリブル。6分にもOH中島がドリブルで上がっていくなど、前への意識が蘇る。特に右SH古橋が速さもさることながら、DFからのボールを受けにボランチの横のスペースまで降りてきて、そこから日本の攻撃にリズムが生まれ出す。

 10分、CH柴崎の縦パスに右SB室屋が抜け出すと、クロスにOH中島がシュート。これはGKファリニェスにファインセーブされたが、続くCKの流れから右SH古橋がミドルシュートを放つ。ベネズエラは7分、右WGマチスに代えてオテーロを投入。17分、左WGソテルドのパスから左IHリンコンミドルシュートを放つ。日本も19分、CF浅野がミドルシュート。21分には右SB室屋が右サイドを突破して、シュートを放つが、GKファリニェスがナイスセーブ。

 20分、日本はCF浅野に代えて永井。CH橋本に代えて山口を投入する。すると24分、OH中島の落としから、CF永井がクロス。CH山口のミドルシュートはDFに当たってゴールに吸い込まれた。ようやく日本が1点を返した。するとCF永井が前線から積極的にベネズエラDFにプレスをかけていく。ベネズエラは32分、左SHソテルドに代えてムリージョ。33分、CH柴崎が高い位置でボールを奪うと、OH中島のパスに右SH古橋が抜け出す。しかしシュートの前にベネズエラDFがクリアした。34分にはCH柴崎の縦パスに抜け出した右SB室屋のクロスに左SH原口がわずかに合わず、こぼれ球をCF永井が狙うが、GKファリニェスにセーブされた。

 日本は36分、左SH原口に代えて井手口を投入する。43分にはOH中島のクロスに右SH古橋がヘディングシュート。CF永井が走り込むが、わずかに届かず。45+1分、OH中島のFKもGKファリニェスにキャッチされた。そしてタイムアップ。後半は日本が積極的に攻めていったが、ベネズエラの守備も堅い。結局このまま4-1でベネズエラが勝利した。

 完敗。特に4点を入れられた前半は、2点目を入れられた30分以降、日本の守備が崩壊した。U-22のコロンビア戦でのCH中山と同様、このゲームではCB植田がDFラインを統率できず、精神的に立て直すことができなかった。また、左SB佐々木も守備では再三サイドを破られ、攻撃でも縦に抜ける動きを見せることなく、遅攻に終始してまったくいいところがなかった。後半は、CB三浦が高いラインを保つとともに、右SHに入った古橋が攻守に役割を果たし、また中島をトップ下に置く布陣も功を奏して、両サイドの守備が安定したことから、攻撃もようやく回り出したが、前半の失点が大きすぎた。U-22のゲームも含めて、まだまだ日本は弱い。アジア予選で天狗になっていたかもしれない森保ジャパンにとって、この敗戦はいい薬になった。海外組も含めて、日本の選手にはもっともっと厳しく激しいサッカーを経験することが必要だ。まだ時間はある。まずは各クラブでの更なるレベルアップを期待したい。