とんま天狗は雲の上

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「地球温暖化」狂騒曲

 今年は環境活動家少女、グレタ・トゥーンベリの登場により、「地球温暖化」に係るプロパガンダに拍車がかかった感がある。しかし私は一貫として「地球温暖化」論を疑っている。7年ほど前に読んだ渡辺正氏の著書「『地球温暖化』神話」は、地球温暖化に係る様々な不正・欺瞞や疑問を網羅的に解説・批判し、非常にわかりやすく感じた。しかし、「地球温暖化」への疑念はなかなか日本社会一般へは広がっていかない。それどころか、今や常識となりつつあり、疑念を呈する者は異端的な目で見られる。

 そうした中、再び渡辺正氏から「地球温暖化」に関する批判本が出された。「『地球温暖化』神話」以降、渡辺正氏の主張に変化や上積みがあったかという点に興味を持って読み始めたが、大きくは変わらない。もちろん、2012年以降の新しいデータが取り込まれ、紹介されているが、それにより主張が変わることはない。だが、太陽光発電などの再生可能エネルギーに対して前著以上に厳しく批判している点は目を惹いた。太陽光発電風力発電バイオマス発電等は、施設建設等に化石燃料希少金属を多く使用しており、却ってCO2の排出を促進しているという指摘は従来もされていたが、本書ではかなり執拗にこのことを指摘している。

 一方で、IPCC等への批判は前著における中心的な批判点だったせいか、今回はそれほど詳しく書かれてはいない。米国やカナダなどのパリ協定離脱を受けて、国連が「世界の平等化」戦略の一つとして推進しているという新たな推測を提示しているが、これは国連主導というよりも中国などが西欧が中心となって進めてきた「地球温暖化」政策を乗っ取ったという指摘も一部ではある。この部分の記述もほしかった。

 既に昨年の夏前に発行された本だが、それで日本社会が変わったかと言えば、何も変化はない。ここは一つトランプ大統領にがんばってもらわねばならないのだろうか。次は共和党の活動家でもあるマーク・モラノ氏が書いた「『地球温暖化』の不都合な真実」を読んでみよう。

 

「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ

「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ

  • 作者:渡辺 正
  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2018/06/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

○大気中の二酸化炭素(CO2)は、増やす要因にまだ謎が残るものの、ここ60年間ほど濃度が快調に増えているのを疑う余地はなかった。それにひきかえ、温暖化に直接からむ気温のほうは、まだわかっていないことだらけだといってよい。/地球の気温は、自然現象としても、人間活動のせいでも変わる。人間活動には…都市化(排熱)と、化石燃料の燃焼に伴うCO2排出(人為的CO2)がある。…自然変動や都市化に比べて人為的CO2の効きかたがずっと弱ければ…「温暖化対策」は、たちまち意味を失ってしまう。(P29)

○地球の気候は太古から変わりつづけてきた…。変化を促す要因には、太陽活動や海流の周期変動もあり、人為的CO2の効果もある。ただし、現実のデータあれこれを突き合わせてみれば、近い将来に何か重大な危機が人類を見舞うとは考えにくい。/気温が40~50℃になる地域でも、氷点下10~20℃があたりまえの地域でも、したたかに適応しながら多くの人が生きている。そんな地球の気温がかりに1℃や2℃上がろうと、大騒ぎするようなことではない。(P101)

○暮らしも産業も、安定な電気があればこそ成り立つ。太陽光発電は昼間だけだし…風力発電の風車も、無風や微風ならただのオブジェにすぎない…。いまの社会は、安定な電気に…頼っている。/国の営みには一定量の電力がいるから、太陽光や風力を導入する際は、ぴったり同じ量の安定電源(火力など)でバックアップしなければいけない。…出力調整も必要になる。そういう余計な手間もかかるからには、太陽光も風力も、経済活性化のほかに特別なプラス面がないかぎり、導入する意味はない。(P139)

○太陽光・風力・バイオ燃料などの再エネ技術は、まだ完成から遠い。エネルギー価値が同量以上の化石資源を投入してようやく成り立つため…普及が進むほどに化石資源の枯渇が早まるばかりか、補助金で社会格差を拡げたりもする。…30~…100年後の「自立」を期待しつつ、効率の向上とコスト低下に向けた研究開発をじっくり進めるのが筋だ。/地球温暖化は、どうみても緊急の問題ではない。(P159)

○1980年代の末、ソ連邦の解体やヨーロッパの東西融合などで冷戦時代の終わりが見えた。世界の調整役として国連は、「次の仕事」を探したのではないか? 国連は「世界の平等化」という任務をもつ。当時はCO2の大部分を先進国が出していた。先進国に「CO1のペナルティ」を課し、その富を途上国へ回せば平等化に役立つぞ……/そんな流れのなかで1988年11月、世界気象機関と国連環境計画がIPCCを設立し、「地球温暖化」を国際政治の道具にした……と推測できる。(P165)