とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

AFC U-23選手権 グループB カタールvs.日本

 初戦・第2戦と連敗し、早々とグループリーグ敗退が決まってしまった。第3戦の相手はカタール。昨年のアジア杯で優勝した強豪だ。最後だけでも勝ちたいと、選手の意欲は漲っていたはず。日本の布陣は変わらず3-4-3。小川航基をトップに、旗手と食野の2シャドー。ボランチは初戦同様、田中碧と田中駿汰で組んで、WBは右に相馬、左に杉岡。そして何と橋岡を右CBに置く。中央には立田。左CB町田。GKは大迫だ。対するカタールは3-5-2。アブドゥリサグとアルアフラクがトップに並び、中盤はアブドゥルサラムをアンカーに右IHアルアラク、左IHジャドゥア。WBは右にハラフ、左にアフメド。3バックは右からアヤシュ、アルマウェンデ、サルマン。GKはアジア杯優勝メンバーでもあるアルバクリが守る。

 序盤から日本が攻めていくが、カタールが中央を固めて、なかなかシュートチャンスが訪れない。14分、CH田中駿汰のスルーパスに右FW旗手が抜け出すが、GKアルバクリにセーブされる。22分には右WB相馬のクロスに左WB杉岡がボレーシュート。枠は外したが、ようやくチャンスらしいシーンだった。24分には左FW食野の落としからCH田中碧がミドルシュートを放つ。

 日本は最終ラインからボランチのところでボールを回すも、なかなか前線までボールが入らない。29分にはCH田中駿汰から右CB橋岡へ下げたボールを左IHジャドゥアに奪われてゴールまで迫られた。さらに33分には左WBアフメドがドリブルで持ち上がり、FWアブドゥリサグが戻したボールをCHアブドゥルサラムが右IHアルアラクとのワンツーからミドルシュートを放つ。枠を外されて助かった。日本も35分、右WB相馬のクロスを左FW食野が落とし、右FW旗手がシュート。だがDFがブロック。37分、左FW食野のミドルシュートもGKアルバクリにキャッチされた。

 絶好のチャンスは44分、右WB相馬のスルーパスにCH田中駿汰が抜け出すが、シュートは左に外す。そして45+4分、ピッチ中央でCH田中碧がFWアブドゥリサグと厳しい球際の攻防。田中碧の足が伸びてボールを確保すると、遅れて入ったFWアブドゥリサグが倒れた。いったんはそのままゲームを流したが、長く倒れていたため、途中で停める。するとVARからレッドカードの確認の連絡が入り、田中碧にレッドカードが提示された。まるで密室にいるVARが判定を行っているようだ。日本は後半を一人少ない状況で戦わなくてはならなくなった。

 日本は後半最初からFW旗手を下げてCH齊藤を投入。布陣を4-4-1に変更する。橋岡を右SB、杉岡を左SBにして、相馬と食野が左右のSHに開く形。すると意外に日本が攻守にバランスがいい。3人のFWが近すぎて、中央を固めるカタールの守備陣にスペースが生まれず手詰まりになっていた前半に比べ、CF小川のところにパスが入るようになる。しかし、離れたら離れたでパスミスも多くなり、次第にゲームはカタールのペースになってきた。

 10分には左WBアフメドのスルーパスに走り込んだ左IHジャドゥアの戻しを右IHアルアラクがシュート。大きく枠を外す。すると23分、カタールは右WBハラフと右CBアヤシュに代えて左WGマジードと右SBスラグを投入。布陣も4-3-3に変更した。中でも左WGマジードが積極的に仕掛けてくる。カタールのプレスの前になかなかパスを繋げない日本だったが、28分、左SH食野のパスを受けたCF小川がグラウンダーのミドルシュート。CBアルマウェンデの股下を抜けたシュートはそのままゴールに飛び込んだ。ゴール。日本が3戦目にして初めて先制点を挙げた。

 しかしゲーム自体は一人多いカタールが攻勢。特に左WGマジードの仕掛けに苦慮していると、34分、左WGマジードがドリブルでPA内に侵入。後ろから追いかけたCH齊藤が倒してしまう。主審はVARと交信をした末にPKを宣告。だが、ビデオのスロー再生によれば齊藤の足が先にボールを蹴り出し、齊藤の足をマジードが蹴って倒れているように見える。しかし判定は覆らない。PKはFWアルアフラクが決めて、カタールが同点に追い付いた。

 日本は38分、左SH食野に代えて田川を投入する。すると41分には左SH田川のパスからCF小川がミドルシュートを放つが、GKアルバクリがセーブ。44分にはカタールのCKからCBアルマウェンデがヘディングシュート。直後、日本も右SH相馬を下げてボランチの松本を投入。齊藤を右SHに上げるが、この采配の意図は不明。遠藤渓太でもよかったのではないか。だがその後はグループリーグ突破には勝利が必要なカタールが攻め続ける。45+2分にはCKからCHアブドゥルサラムがシュート。だが枠を外してくれた。そしてタイムアップ。1-1。ついに日本はグループリーグで1勝も挙げられないまま、敗退した。

 主審とVARの疑惑の判定で日本が大きなハンデを追ったのは事実。だが、何よりゴールが遠かった。特に前半の3-4-3の布陣でパスを回していても前線にボールが入らない。ボランチの展開力の問題もあるが、攻撃のバリエーションが少なすぎる。一人少なくなった後半の4-4-1の方がまだ可能性を感じた。森保監督はこのまま五輪世代は3バックのままで行くのだろうが、もう時間も少ないし、展望も見えない。シリア戦の観戦記で書いたように、選手は大幅に入れ替えるだろうが、3バックのままでは可能性が見えない。主審のせいにしていればいいということでは全くない。