とんま天狗は雲の上

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「地球温暖化」の不都合な真実

 先に「『地球温暖化』狂騒曲」を読んだが、本書はその著者である渡辺正氏が訳した本。「『地球温暖化』狂騒曲」の約1年後に発行されているが、原著の発行は2018年だから、渡辺氏は本書を訳しつつ、その知見を取り入れて前著を書いたのだろう。内容的に重複する部分は多い。

 本書の方が、地球が本当に温暖化しているのか、本当にCO2がその起源と言えるのかといった疑問や、クライメート事件などについて詳細に述べている。しかしそれらを説明するのに、科学者などの証言が多く引用されており、迫力はあるが、事実を知りたいと思う読者にはわかりにくいのではないか。ただ、地球温暖化論のおかしい点は既に他の著作で語り尽くされており、本書ではその上で、多くの脅威派が懐疑派に寝返っていることなどを伝えることが主目的になっているのかもしれない。もしくは、トランプ政権の誕生で、アメリカにおける地球温暖化対策の多くが方向転換を始めていることが、筆鋒を鈍くしたか。

 だが、アメリカはパリ協定から脱退表明をしたが、日本ではまだまだ多くの地球温暖化論者が政界だけでなく、行政や市民生活レベルにも蔓延っている。レジ袋有料化法などその最たるものだと思うが、日本人は実に上のことをよく聞き、しっかり実践する。そして想像以上の効果(被害)を挙げるのだ。現時点で日本の温暖化対策には全く疑念が入り込む隙間もない。武田邦彦などのキワモノ的に扱われがちな学者が述べているだけ。

 ことは日本の中だけで収まっていればいいのか。だがいつの日か、それも日本没落の要因の一つとして挙げられるような気がする。「『地球温暖化』が『日本滅亡』を招く」といった本を、どこかの経済学者が書いてくれないだろうか。

 

「地球温暖化」の不都合な真実

「地球温暖化」の不都合な真実

 

 

○国連がそそのかす温暖化対策は、気温に影響しないどころか、先進国の経済をガタガタにする。もっと悪いのは、10億人以上が電気なしで暮らす途上国の経済成長を阻むところだ。国連は、途上国の発展に必須な石炭・石油・天然ガスに代え、よちよち歩きの「グリーン」エネルギーを使わせたがる。だが風力も太陽光も当面、基盤電源になりえない。…貧困国は、先進諸国の発展を支えた化石資源から締め出される(P024)

IPCCは、CO2(など温室効果ガス)が気候に及ぼす影響を検討する。母体の国連は「対策」を考える組織だから、IPCCは「危機を訴える」のが使命になる。もしCO2に問題がないとわかれば…IPCCは不要になる。そんなジレンマがIPCCの営みには内在する。…かつて起きた環境騒動あれこれは、温暖化とちがって中央集権組織(国連)にからま…なかった。…しかし気候変動の話は、そもそもの始めから国連が関与したからこそ、一方の見解だけが世に広まったといえる。(P034)

○CO2は大気の0.04%を占める。化石資源の燃焼など人間活動が大気に出すCO2は、自然活動で出る総量の3.5%でしかない。また、温室効果の95%までは水蒸気H2Oが担っている。温室効果ガスの全部を合わせても、大気の約2%しか占めない。それほどわずかな人為起源CO2に、気候を変えるパワーがあるというのか?(P055)

○1980年代は「温室効果」と呼ばれていたものが、1990年代になると…「地球温暖化」の名で呼ばれ始めた。/やがてまた別の呼び名が現れる。…一方向の「地球温暖化」ではなく、どんなことでも説明できそうな「気候変動」を使う気候学者が増えてきた。…地球の気温は過去20年、ほぼ横ばいを続けている。…また「温暖化」は、大寒波に襲われやすい地の人々には、むしろ「いいこと」に思える。だから脅威派はゴールポストを動かすのだ。(P162)

○「官僚は民の支配を生き甲斐にする。そのネタに人為的温暖化説がぴったりなのだ」/温暖化騒ぎの背後には、世界の一元管理やグローバル統治、先進国の景気後退、富の再分配を望む人々がいる。…どの「問題」も、世界の一元管理で解決できる。地球温暖化では、国連がIPCCをその先兵にした。(P212)

○脅威派が次々にくり出す脅威論は、科学知見や科学データの裏打ちがない…。大気に増えるCO2が人類の未来を脅かすという主張は、科学の検証に耐えない。…人類史上、天候や気候への懸念は庶民を怖がらせ、庶民を操る道具にされた。…国連の…「対策」は気分の域を出ず、気候を変える力など何ひとつない。もっと悪いのは、国連の思いに反し、途上国を途方もなく苦しめるところだ。(P297)