とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

インフルエンザは診療しません

 インフルエンザに罹ったことは既に書いたが、先日、いつものように妻を近くのクリニックへ送っていったら、そこの玄関に「インフルエンザの診療はしません」という張り紙が掲示されていた。そこは市内でも評判のいい内科で、その日も多くの患者が詰めかけていたのだが、どうもかつてインフルエンザの患者が押しかけて、大変な状況になったことがあるようで、それ以来、インフルエンザの診療はしていないのだと妻が言う。

 待合室に設置された液晶ディスプレイでその説明を詳しく説明している。そもそもインフルエンザは高齢者や基礎疾患を有する者に対しては適切な治療を要するが、その他の一般の患者であれば、風邪と同様程度の治療で済ますのが世界標準だと言う。しかもインフルエンザの死亡率は低い。日本ではすぐにタミフルなどの薬が処方されるが、これらの治療薬の効果は半日ほど回復を早めるだけで、使用しなくても大して問題はない。しかも、世界のタミフルの75%は人口比で2%にも満たない日本で使用されており、大きな無駄だと指摘する。もちろん5日以上にわたって高熱が続く場合など、インフルエンザの検査や治療をすることもあるが、基本的にはインフルエンザの診療はしないのでご承知ください、といった内容だった。

 そうなのか。今回、私はインフルエンザの治療薬としてイナビルを処方され、また解熱鎮痛剤を呑むことで、大して苦しむことなく完治したが、熱が下がってからなお2日間は自宅待機していた。それを考えれば、平熱でダラダラとしている時間が半日ほど短くなるだけのことで、インフルエンザの治療をしなくても何の問題もなかったのかもしれない。

 早く出勤したら、他の人に感染するリスクも高まるのではないかという気もするが、インフルエンザは発症前から他人に感染することがその特徴で、それ故に広域感染してしまうのだそうだ。発熱中も感染力は強いようだが、熱が下がった後よりも発症前の方が断然感染力は高い。とすれば、熱が下がった後の自宅待機にどれほどの意味があるのだろう。もっともインフルエンザを理由に仕事や学校を休めるのは嬉しいけど。

 ところで、症状がないのに感染すると言えば、今話題の新型肺炎も同じだ。感染力は高いが死亡率は低いとも言われている。数年後にはそのクリニックの玄関先に、「新型肺炎は診療しないのが世界標準」なんて張り紙がされる日が来るのかもしれない。