とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フットボール批評 issue27

 今号の特集は「J産フットボール論の逆襲」。だが、コンサドーレ社長の野々村氏の対談や栗原雄三のインタビューなどでは、あまり「J産のフットボール論」という感じはしない。むしろ、第2特集の「Jリーグ変革と継続のあいだ」に収められた「2020Jリーグの戦術はどう変わるのか」による今季の各チームの戦術予想の方が、J産フットボール論になっているような気がする。

 また、横浜FCの服部GM松本山雅の神田社長、新たにユンジョンファン監督を迎えたジェフに関する記事、そして昨年末エスパルスGMを退任した左伴繁雄氏へのインタビューなども、Jリーグの置かれている現状をよく示しており、興味深い。

 意外に面白かったのが、元Jリーガー・井筒隆也と「GLIM SPANKY」のギタリスト・亀本寛貴との対談。「ミュージシャンはいかに世界との折り合いをつけるか」という話は、サッカー・プレーヤーにも共通する話題だった。自らの音楽性の追求とファンとの距離などの話も興味深い。さらに、連載&コラムも安定的に高い質を保っている。

 今号は特筆するほどの派手な記事はないが、地味ながら安定的な内容に収まっている。「アジアフットボール批評」そして、2月には「フットボール戦術批評」を発行するなど、フットボール批評もさらにその枠を広げている。そうした流れの中で、本誌が安定的な内容になるのも致し方ないのかも。「フットボール戦術批評」、読んだ方がいいのかな?

 

フットボール批評issue27 [雑誌]

フットボール批評issue27 [雑誌]

  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: Kindle
 

 

○『英国』がEUを離脱することによってまた「国境」ができる…北アイルランド側に本拠地を構えながら南側のリーグでプレーする『デリー・シティ』にこの離脱問題は大きく振りかかる。…サポーター達も、アウェーの試合に応援に出かけるのに…“国境”での…手続きが生じる。…収まっていた政治問題が…再燃して将来、第二第三の『ベルファスト・デルティック』『デリー・シティFC』がでるかもしれない。(P64)

○彼らはただ貴重な経験を持っているだけでなく…サッカーに対する考え方、人との接し方など、その姿勢が素晴らしいんです。…それを使わない手はないなと思っていました。経験を持った選手たちから若手選手たちに匠の技を伝授し、成長のきっかけにしていく。…質が高い新人を揃えたら、絶対に面白いうねりが出ると思いました。…三浦を見て…「まだまだ搾り取れる」ものがふんだんにある、と。(P69)

○「会社で60歳を過ぎたら『後進に道を譲れ』となるんでしょうけど、スポーツの世界では少し違うというのが僕の考え。なぜなら日本では、スポーツは『産業』ではなく『事業』にとどまっていますから。本当の意味で、スポーツの世界で経営のプロになっている人は、日本ではまだそんなにはいない。…情熱がある間は『定年』はないと思っています(笑)」(P97)

○フィジカルは2つに分けて考える必要があります。まずは生理学的なフィジカルです。…もう一つが競技パフォーマンス的フィジカルで、そこは日本人の特長と捉えています。日本人選手は一般的にインテンシティが高く、スピードが速く、集中力も高い。…規律の多寡さ、忠実さも持ち合わせていますので、補強を考える上では計算しやすい選手と言えます。…日本人選手は『フィジカル的に優れている』と断言できます。(P109)

○自分が最強にカッコいいというものを追求して、ポンと出す。あまりリスナーのことは考えません。ファンの人たちほど、僕がベストだと思っているものを聞きたいって言うと思うんですよ。…ある意味で「このほうがファンも喜ぶかな」というのは、ファンじゃない人向けなんですと。…ただ、ファンの人たちに対しては、自分が嘘をついていないということが大事なのかなと思います。(P125)