とんま天狗は雲の上

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在宅勤務のできる人はざっと4割。これでは接触8割削減は無理では?

 先の「『人と人との接触 8割減』と言うけれど、どうやって計測するのか? 結局それは自己責任のための言葉ではないのか」とほぼ同じ内容の投稿をFacebookでしたところ、上場企業の社長を務める高校時代の友人から「うちの会社は8割在宅にしました。都心の会社はほぼ大手中堅はこうしています。」というコメントを受け取った。彼としては単に自社の事例を教えてくれただけのコメントだろうが、思わず不愉快に感じ、「それって、安倍さんと同じ感覚のように感じますよ」と返信してしまった。

 今週に入って名古屋では、通勤電車の乗客がかなり減ったという話を聞いた。娘の会社も今週から社員を2グループに分け、交代で勤務する5割在宅勤務となった。娘は会社のシステムを家に持っていけないので、昨日・今日と家のパソコンを会社へ持ち込んで、何とかデータだけでもコピーできないかと苦労しているようだ。それでもこうした事務作業中心の業務や、東京都心の本社機能を中心とした会社であれば多少の在宅勤務も可能だろうが、建設現場や工場などの作業場ではそうはいかない。

 もちろん、今、修羅場となっているであろう医療現場はもちろん、休業要請の対象となっていないスーパーマーケットなども現場でなければできない。宅配便やテイクアウトの運搬・配送なども体を動かしてこそできる仕事だ。こうして考えてみると、在宅勤務ができる人って、日本人労働者のうちのどれ位だろうか。

 そう思って、社団法人労働政策研究・研修機構がまとめた「職業別就業者数」を見ると、2019年平均就業者数計6,724万人のうち、事務従事者が1,319万人(19.6%)、専門的・技術的職業従事者が1,174万人(17.5%)、管理的職業従事者が128万人(1.9%)となっている。この3業種を合計すると、2,621万人(39%)という結果となった。他は、生産工程従事者(13.5%)、販売従事者(12.7%)、サービス職業従事者(12.6%)、清掃・包装等従事者(7.3%)、建設・採掘従事者(4.4%)、輸送・機械運転従事者(3.3%)、農林漁業従事者(3.2%)、保安職業従事者(2.0%)、分類不能(2.0%)という内訳。後者でも在宅勤務可能な者もいれば、前者でも困難という者もいるだろうが、ざっと4割。

 そして4割の職業の人も、毎日自宅勤務できるという人は少ないだろうから、多めに見て、平均で5割在宅勤務としても、全体では2割削減できるに過ぎない。一方、販売従事者やサービス職業従事者の中には職を失ったという人もある程度はいるだろうが、仮にそうした気の毒な人を5%と見込んだとしても、在宅勤務の推奨で達成できるのは25%削減ということになる。もちろん、勤務後の呑み会や休日の外出等による接触も大きいだろうから、在宅勤務だけで8割達成とは思っていないが、そうは言っても結局、経済活動をストップする位の勢いでなければ「人と人との接触8割削減」は達成できないのではないかという気がする。