とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

1999年12月11日 チャンピオンシップ第2戦 清水エスパルスvs.ジュビロ磐田

 新型コロナ感染が始まって以降、NHK-BSでは「あの試合をもう一度!スポーツ名勝負」が放送されている。4月8日に放送された1999年の静岡同士のチームによる年間王者決定戦、チャンピオンシップ第2戦を観戦した。当時はアウェイゴールのルールがなく、第1戦、第2戦ともにVゴール延長戦まで戦い、それでも決着しなければPK戦で決めるレギュレーション。第1戦はジュビロVゴールの末に勝利したが、第2戦90分でエスパルスが勝利すればエスパルスが優勝。延長戦となり、エスパルスVゴールすれば、PK戦となる。

 このシーズン、ファーストステージはジュビロが優勝したが、夏の移籍で名波がヴェネツィアへ移籍。セカンドステージは12位と大きく順位を下げた。代わってセカンドステージを優勝したのがエスパルス。ちなみに、セカンドステージで2位に入ったのはグランパス。途中からジョアン・カルロス監督が就任し、この年、天皇杯を獲得した。ジュビロN-BOXを採用して快進撃をしたのは2001年。ドゥンガは前年に退団しており、しかも名波がいない。ジュビロにしても過渡期的な時期。一方、エスパルスJリーグ開幕からチームを引っ張ってきた選手たちが高齢化し、チームの若返りを模索していた印象がある。年初の天皇杯はチーム最後のゲームとなったフリューゲルスに敗戦したが、ファーストステージ3位。年間の通算勝ち点もダントツ首位になっている。

 エスパルスの布陣は3-5-2。森岡がケガで出場できず、3CBは右から斉藤、戸田、西澤。ボランチにサントスと伊東が入り、澤登がトップ下。WBは右に市川、左WBはアレックス。2トップには安永と久保山が入る。GKは真田。対するジュビロは4-4-2。福西を中山と並んでFWに起用し、中盤は右SH藤田、左SHに奥。ボランチは服部と三浦文丈。DFは右SBにエスパルスから移籍した安藤、左SBに山西。CBには鈴木秀人と前田が入り、GKは尾崎。GK真田と左SH奥。悲劇的な最期を迎えたプレーヤー二人がピッチに揃っていた。

 前半序盤はエスパルスが積極的に攻めていった。4分、左WBアレックスのFKにCB斉藤のヘディングシュートはポストの右。8分、CH三浦からCH伊東がボールを奪い、左WBアレックスがミドルシュート。GK尾崎がナイスセーブするが、アレックスが積極的に仕掛けていく。12分にはCHサントスの縦パスをFW久保山がつなぎ、左WBアレックスの落としをOH澤登がミドルシュート。GK尾崎がファインセーブで弾き出した。

 しかしジュビロも徐々にペースを取り戻していく。27分には左WBアレックスの横パスを左SH奥がカットすると、大きく右に回して、右SH藤田がミドルシュートを放つ。これがジュビロの初シュート。だが、その後もジュビロ・ペースでゲームは進んでいく。そして35分、GK真田のパスに対するCB西澤のトラップが大きくなったところを執拗にFW中山が詰めると、奪い取って中へパス。FW福西の落としからCH服部がミドルシュートを叩き込む。ジュビロが先制点を挙げた。

 その直後、エスパルスが攻め込んだところで左WBアレックスがファールを受けて倒れる。しかしファールを受けたアレックスが相手選手の腹を蹴り上げて、レッドカードをもらってしまった。一発退場。だが、直接ゴールを狙ったOH澤登のFKはきれいにゴールに飛び込んだ。28分、エスパルスがすぐに同点に追い付いた。一人少なくなったエスパルスは戸田を左SBに上げて、4-3-2の布陣にする。ロスタイムにもOH澤登にFKのチャンスがあったが、GK尾崎がキャッチ。前半は1-1で折り返した。

 放送は後半に入ってしばらくしたら、後半20分まで飛んだ。24分、エスパルスはFW安永に代えてファビーニョジュビロも25分、FW福西を下げて、若干20歳の高原を投入する。28分、右SB市川の縦パスに走り込んだFWファビーニョがCB前田を抜いてクロス。FW久保山のボレーシュートは右角に当たってはね返った。一方、ジュビロも38分、OH澤登のFKからCHサントスのミドルシュートをブロックすると、CH服部がカウンター。ドリブルで持ち上がると右サイドを駆け上がった右SH藤田にパス。藤田がヘディングで折り返したところにFW高原が走り込んでヘディングシュートを狙うも、うまく当たらない。最後はGK真田がキャッチした。エスパルスは42分、CB西澤を下げてベテランのCH大榎を投入。サントスをCBに下げる。43分、右SB安藤のクロスにFW中山がヘディングシュートを狙うが届かない。結局、ゲームは前後半終えて1-1。第1戦に続いて、Vゴール方式の延長戦に入った。

 延長前半は3分、ジュビロが左SH奥の落としから、CH三浦がミドルシュートを放つと、エスパルスも5分、FW久保山のクロスから右SB市川がミドルシュートを放つ。さらに7分、OH澤登の縦パスに走り込んだFW久保山がクロス。FWファビーニョがニアに走り込んでシュートを放つが、DFのチェックが厳しく、枠に飛ばない。その直後、エスパルスはFW久保山を下げて長谷川健太を投入した。ジュビロも9分、左SH奥に代えて西。しかし10分、CB前田のクリアをCH大榎が受けると、縦パスにFWファビーニョが走り込んでシュート。これがネットを揺すり、エスパルスVゴールで勝利。勝負はPK戦に持ち込まれた。

 ジュビロ先行で始まったPK戦は、服部、藤田、高原、鈴木と成功。一方、エスパルスは澤登と伊東はシュートを決めたものの、2番目のサントス、4番目のファビーニョと外国人選手が外して勝負あった。PK戦4-2でジュビロが勝利。年間王者を決めた。

 第1戦・第2戦ともにVゴールでの勝利の後のPK戦で決するという劇的な内容。特に前半途中から一人少なくなったエスパルスの健闘が光ったゲームだった。澤登の起死回生のFKゴールや高原のヘディングシュートミスはかすかに覚えていた。しかし試合のレベルという点ではイマイチ。できればN-BOX時のジュビロや長谷川・大榎・堀池の清水東三羽烏が活躍するエスパルスを観てみたかった。新型コロナ収束にはまだ時間がかかりそう。そのうちにジュビロアントラーズのゲームなども見られるだろうか。今後、楽しみにしたい。