とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

役人の考え、休むに似たり

 小池都知事は23日の会見で「GWをステイホーム週間に」と訴えた。併せて、「おうちで過ごそう、ステイホーム。いのちを守ろう、セイブライフ」と連呼し、GWでの外出自粛を呼びかけた。「いのちを守る STAY HOME週間/STAY HOME , SAVE LIVES」というスローガン自体はゴロもいいし、センスもあると思うが、先に「いわゆる『ロックダウン』」と言ったことを思い出し、「また、カタカナ語か」とも思った。「ゴールデンウィーク」がそもそも和製英語だから、それに似せて「ステイホーム」と言ったのだろうが、さすがに「ステイホーム・ウィーク」ではわかりにくいと思ったのか、「ウィーク」の部分は「週間」と置き換えた。それなら「在宅週間」でよかったではないか。その方が高齢者にも意味が伝わる。

 この会見で同時に示されたのが、「買い物は週3日以下」。わが家でも買い物はせいぜい週2回。「週3回は多いだろ」と思ったが、何とこの呼びかけが却って買い溜め行動を引き起こし、都内のスーパーでは長蛇の列ができたとか。「『三密』→『八(七)割減』の次は、『週一』?」でも書いたが、行政は具体的な数字を示すことが必要だと考えているようだ。しかしこれが全く功を奏していない。「買い物は週3日」に至っては逆効果になっている。

 逆効果と言えば、休業しないパチンコ店の店名公表もそうだ。公表されることによって逆に休業していないパチンコ店を周知することになり、客が殺到しているというからまさに本末転倒。愛知県でも「愛知の買い物ルール」なるものが発表され、「開店後1時間は高齢者等を優先」とされたが、ただでさえ開店後1時間は高齢者が多いのに、このルールを提示することでさらに高齢者を集めてしまわないかと心配になる。

 どうして行政が示すルールやスローガンはこうも的外れなのだろうか。日頃からいかに民間の実態を知らずに仕事をしているかを示しているようだ。私自身も定年後に紹介された会社でこれまでとは全く違う仕事に従事しているが、この年齢になって初めて気付くことも多い。安倍首相が星野源コラボ動画で図らずも露わにしてしまったように、政治家でさえ、一般の人々が日頃、何を考え、どう行動しているかを本当の意味で理解しているとは言い難い。どれだけ関係団体等の意見を聞いても、所詮は聞いて理解したつもりになっているだけのこと。実態は実際にその世界に身を置いて経験しなければわからないのだ。

 スーパーで買い物客が集中するのは避けないといけないことはわかる。しかしその方策は、スーパー事業者に委ねた方がいい。テレビを観ていたらスーパーの方が「うちは買い物かごの数を減らしたい」と言っていたが、なるほど確かにそれは効果あるかもしれない。「『三密』『接触8割減』より『ソーシャル・ディスタンス』の方がまだ理解できる」でも書いたが、何がいけないのか、どうしてほしいのかという目的を示してもらえば、その方策は当事者が考えることができる。もっと国民を信じてほしい。