とんま天狗は雲の上

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「営業自粛で自殺や餓死を余儀なくされる位なら、新型コロナに感染して死んだ方がマシ」という意見が多数派になった時、緊急事態宣言が解除される。

 今日にも安倍首相が緊急事態宣言の5月末までの延長を発表する予定だ。飲食店や自営業者、中小企業等からは「さらに1ヶ月の自粛はきつい」という声が聞こえる一方、「新型コロナウイルスの感染拡大が1ヶ月程度で収まるとはとても思えない」という声もある。たぶんどちらも正しい。不安の3大要素は「お金と健康と人間関係」とする記事をネットで見た。確かにそのとおり。そして今、「お金」の不安を第一に感じる人と、「健康」の問題を一番に不安に感じる人の間で綱引きが起きている。しかし実はいずれも「命」に対する不安なのだ。

 「お金」がなくて今日の食事にも困る人は、病気で死ぬ不安よりも、今日の食事の方が深刻な問題だ。今日を生き延びることができれば、明日に死んでもかまわない。今日死ぬのなら、明日の病気を心配してもしょうがない。一方、当面の「お金」に心配のない人は、「健康」が最も大きな問題となる。その代表が年金暮らしの高齢者。そして当面は定給が見込まれる正社員。しかし彼らも経済の低迷が続くと次第にお尻に火がついてくる。

 日本の高齢化率は約28%。また、大企業の就業者は約3割なので、現時点で「『お金』よりも『健康』が大事」と思う人と、「『健康』よりも『お金』が深刻」と感じる人の割合は「半々」という感じだろうか。しかし、次第に後者、「『健康』よりも『お金』が深刻」と感じる人の割合の方が増えてくる。1ヶ月後にはどんな状況だろうか。

 日本は「自粛」と言いつつも、実質的にはロックダウンに近い内容の制限が行われた。GWに合わせてステイホームを呼びかけ、徹底されたことも感染の抑制には一定の効果があったはず。しかし、GWもといSHWが終わった後、都心にどれだけの人出が戻ってくるのか。店舗等の営業自粛はいつまで続けられるのか。昨日、西村大臣が「公園や図書館等の活動再開」について述べたようだが、緊急事態宣言は解除せずとも、感染数の推移を見つつ、自粛等の内容は段階的に緩めていくことになりそうだ。しかしどの程度に? それが難しい。まさに微妙で絶妙な手綱捌きが求められる。

 3月の3連休での安倍首相の微妙な言い回しひとつで人々の行動に緩みが生じたように、必ず行き過ぎて、感染者数が増加する。必要なのは、たとえ再び感染者が増加しても耐えられるような医療体制を準備しておくことだ。しかしそれが今、十分できているとはとても思えない。医療関係者からは依然、悲痛な声が聞こえてくる。この後、日本はどうなっていくのだろう。「営業自粛で自殺や餓死を余儀なくされる位なら、新型コロナに感染して死んだ方がマシ」という声が次第に高まる中、「お金」か「健康」か。「餓死」か「病死」か。極端な言い方をすれば、そういう選択が迫られているのかもしれない。