とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

相変わらず、「新しい生活様式」って、わかりにくい。

 5月7日に厚生労働省「「新型コロナウイルスを想定した『新しい生活様式』を公表」した。内容は、(1)一人ひとりの基本的感染対策、(2)日常生活を営む上での基本的生活様式、(3)日常生活の各場面別の生活様式、(4)働き方の新しいスタイル、の4つで構成されているが、正直、細々として分かりにくい。ちなみに、4月22日には専門家会議から「人と人との接触を8割減らす、10のポイント」が公表されているが、10でも多くて分かりにくい上に、「筋トレやヨガは自宅で動画を活用」って、10のポイントに入れるようなことか?と思った。

 それで、この「新しい生活様式」にしても、(1)は感染対策だし、(3)は事例であって、中心は(2)の「日常生活を営む上での基本的生活様式」だろうが、内容的に目新しいことは特にない。あえて言えば「ピクトグラム」が楽しいかな。あ、ひょっとして、このピクトグラムを公表したかっただけだったのかも。ちなみに(4)は厚生”労働”省としては付け加えなければいけなかったのかもしれないが、これも今までに散々言われてきたことだ。

 それにしても、この種の「お知らせ」って、具体的なことを提示しようとすればするほど、陳腐な内容になってくる。ちなみに「新しい生活様式」って、最近、経済界等で話題となっている「ニューノーマル」に着想を得た言葉ではないだろうか。「ニューノーマル」を単純に日本語にすると「新・普通」。実際には、2008-09年の世界金融危機後の経済状況を意味し、「新常態」と訳されるのが一般的。今回のコロナ禍にあたって、収束後の世界経済もまた大きく変化するだろうということで、「ニューノーマル2.0」として使われ始めたものだ。「ニューノーマル2.0」下における人々の生活は、それ以前と大きく変わるだろうということで、色々な言説が流布されているが、そのイメージから「コロナ後の新しいライフスタイル」=「新しい生活様式」という言葉がひねり出されたように思われる。

 まあ、これまでも「クラスター」や「オーバーシュート」、「ロックダウン」と新奇な言葉を乱発してきたが、カタカナ語が思いの他に評判が悪かったので、日本語にしてみたって感じ。でも中身は全然「生活様式」になっていない。この内容なら「新しい生活習慣」でよかったのではないかな。

 ちなみに、一昨日の「JB Press」に「デジタルで一変するコロナ後『ニューノーマル』の姿:JDIR」という記事が載っていたが、ここではニューノーマルにおける具体的なソリューションとして「3つのキーワード」が提示されていた。「衛生管理の徹底」「ソーシャルディスタンスの尊重」「非接触(タッチレス)の実現」の3つだ。これらのキーワード毎に、「手洗い・消毒など」「3密の回避など」「オンラインの活用など」の具体的な例示があって、理解しやすい。厚労省が提示する「新しい生活様式」も、この程度にシンプルに整理してもらえば、私のような頭の悪い国民にも理解が得られるのではないか。

 それにしても、加藤厚労大臣の「誤解発言」じゃないけど、国はあくまで「上から目線」で、国民に生活規範と自己責任を押し付けようとするなあ。「新しい生活様式」など提示しなくても、注意事項だけシンプルに示してもらえば、具体的な生活行動は各自工夫しながら実行するのになあ。あくまで国民はバカで、お上の指示を待ち、唯諾々と従うとでも思っているのだろうか。実際には多くの国民が、コロナ禍で迷走する政府の体たらくに、呆れつつ心配しているというのにね。