とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

のび太にナイフを持たせてどうするの?

 これまでYahoo!ニュースはあまり見ていなかったが、新型コロナの感染拡大以降、色々なニュースサイトを見るようになった。と言っても、どこも大して変わらないし、リンクを辿れば、結局同じサイトを見ることになるんだけど。という中で、Yahoo!ニュースには「みんなの意見」というコーナーがある。その時々の話題に応じて投票アンケートを行い、またコメントを書き込むことができるものだが、気軽に投票できるし、時宜に応じた興味深い設問もあるので、ついつい投票し、コメントを書き込んでしまう。書き込んだコメントから発展してブログ記事にしたものもいくつかある。

 とは言っても、今、投票募集をしている「都市圏のコロナ感染リスク、コントロールできていると思う?」なんて設問は、何をもって「コントロール」というのかよくわからないし、「『パンチパーマ』してみたい?」っていったい何で今この設問なのか、意味不明。それでも、「コロナ感染リスク」については95%近くが「コントロールできていない」と答えているし、「パンチパーマ」については2/3は「したくない」と答えるなど、投票結果については順当な結果だなと思うことが多い。

 と思っていたら、8月1日から設置されている「日本に『敵基地攻撃能力』どう思う?」という設問に対して、約3/4の人が「必要」と答えており、びっくりした。掲載されているコメントを読めば、冷静なものも少なくないのだが、「ナイフを持ったキチガイ素手で対抗できますか」といった乱暴なコメントもあり、「抑止力としての敵基地攻撃能力は必要」という意見も多く書き込まれている。いや、こうした意見があることは承知しているが、それが投票結果として3/4も占めるということに驚いた。もっともこの種の設問に対して投票しようとする人は「必要派」が多いのかもしれないが、ちょうど今、ヒロシマナガサキ核廃絶に向けた祈りが捧げられている時に、「核抑止力」を支持する人がこれほど多いというのは、やはり驚き以外の何者でもない。

 そもそも「核保有国やナイフを持ったキチガイに対して、今の日本がどういう対応をすれば対抗できるのか」ということが現実的に考えられていないのではないか。冷戦時代の核抑止力という思想に未だに囚われている人が多すぎるのではないか。「ナイフを持ったキチガイ」がジャイアンだとすれば、スネ夫にナイフを持たせても、何の役にも立たない。いや日本もかつてはスネ夫だったかもしれないが、今や、のび太でしかない。のび太がナイフを持っても、間違えて自分にケガを負わせるのが関の山でしょ。ナイフを持つよりも、ドラえもんと仲良くなる方がよっぽどかマシ。じゃあ、アメリカがドラえもんかと言えば、かつてはそうだったかもしれないが、今は引出しに籠って、「呼んでもいいけどカネをくれ」と言っているように感じる。

 と思ったら、韓国が極超音速ミサイルを開発するというニュースが飛び込んできた。「ジャジャジャーン! 極超音速ミサイル」って、ドラえもんは韓国か! それとも、のび太? だとすると、日本はしずかちゃんかも。しずかちゃんなら、ナイフを持つよりも、お風呂に入って、時々「のび太君、エッチ!」とか言っていればそれでみんな去っていく。

 いや、言いたいのは、新型コロナもあって経済的にも低迷し、人口減少もさらに進みつつある中、安全保障対策として軍備拡充だけが正解ではないのではないか、ということ。予算も限りある中、国際社会でどう振る舞っていくことが国としての安全保障につながるのか。現在の日本の国情を見ると、「敵基地攻撃能力」を保有することがさらに日本の安全保障を増す方策だとはとても思えない。他に日本らしいやり方があるのではないか。「敵基地攻撃能力の可否」といった限定的・視野狭窄的な議論ではなく、外交も含めて、もっと幅広でしっかりとした議論をすべき時ではないだろうか。