とんま天狗は雲の上

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国勢調査と世帯

 国勢調査をネットで回答した。妻が入院中で、その場合の扱いはどうなるかと思ったら、病院から「こちらで回答します」という話があった。「3ヶ月以上入院している場合は、入院先で回答」とは配布に来た調査員から聞いていた。妻の場合、5ヶ月近く入院しているが、その間に何度か病院が変わり、現在の病院での入院期間は2ヶ月弱なので、その場合はどうなるのかと思っていた。結局、今回、わが家は二人世帯ということになった。

 「世帯」と言えば、世帯とは「住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者」というのだが、「生計を共にする」という意味がわかりにくい。今時、夫婦の共働きが普通だが、生計は別にしているという夫婦はないだろうか。「住居を共にする」ということだから、同居していることがまずは一つの条件だが、光熱費まできっちり割り勘にしている、という夫婦はないだろうか。

 また、成人し、就職した子供が同居する家族も多いだろうが、子供は自分の収入はすべて自分のモノとして、家には一銭も入れない(うちの場合だが)ということも少なくない。加えて、いつも帰りが遅く、休日は外出してばかりで、家ではほとんど食べないという子供もいそうだ。その場合でも、光熱費等は親が負担してるだろうが、光熱費や公租公課相当分は親がきっちり徴収しているとしたら、別世帯として捉えることはできないか。また、同居し生計を共にしている者は親族に限らないので、たとえば友人同士やシェアハウスに住む者が一定額を出し合って生活している場合などは生計を共にしているとは言わないのだろうか。

 など、いろいろ考えると、「世帯とは何か」という定義もよくわからなくなる。「世帯」の問題は、特別定額給付金の際もいろいろと問題になっていた。そもそも「世帯」という概念が必要なんだろうか。「世帯」の定義で疑義が生じるのは「生計を共にする」という部分なので、いっそのこと「住居を共にする者の集まり」としたらどうか。この場合、住居と施設(特に寮や寄宿舎など)の違いが問題になりそうだが、そこは建築基準法などで十分整理されているように思う。

 先日、国勢調査について同僚と話をしていたら、東京から赴任中の者が「これまで国勢調査の回答をしたことがない」と言うのでびっくりした。と思っていたら、総務省が「10月1日現在の回答率は36.2%で、5年前の調査の同じ時期に比べて7.3ポイント低くなっている」として「調査への協力」を呼びかける旨のニュースが流れていた。10月1日現在の状況を回答する調査で、1日現在の回答率の多寡を比べるというのも何か変な感じがしないでもないが、最終的な未回収率は、2000年調査の際は1.7%だったものが、15年には13.1%になっているとのことで、総務省の危機感もわからないではない。ちなみに、都道府県別では東京都の未回収率は30.7%だったとのこと。いったい国勢調査はこういう状況に対して、どういう補正をしているのか。補正をしていないとすれば、相当にバイアスのかかった統計だと思って利用する必要がある。

 ちなみに、故あって、長らく妻と週末婚状態で生活している友人は、ネットで回答した後で、妻から「私が二人分回答したから」と電話をもらい、それでは重複回答になると、ネットでの回答修正を試みたが、世帯自体を取り消すことができず、結果的に、日本国民が一人多いままになっているそうだ。「思わぬ形で日本の人口減少の歯止めに貢献してしまった」というのは笑い話だが、国勢調査と言ってもしょせん統計資料であって、実生活への影響はほとんどない。ということが回答率低下の大きな要因だとは思うが、ではどうすればいいのか。マイナンバーで管理、なんてことは想像したくもないのだが。