とんま天狗は雲の上

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「GoToキャンペーン」の経済効果と中国の経済成長

 先に「日本のコロナ対策は、逆方向へ向かうエンジンを同時に吹かす、惨事便乗型政策ではないのか。」を投稿したが、この記事では「GoToキャンペーン」を経済対策の代表として扱っている。しかし実際のところ「GoToキャンペーン」の経済効果はどれだけのものだろうか。マスコミからはその種のニュースを聞いたことがなかったので、とりあえず検索してみた。第一生命や大和総研などが試算しているようだが、ここでは一番わかりやすかったエコノミスト木内登英氏のコラムを取り上げる。

 先日書かれた「GoToトラベル見直しとその経済効果の試算」では、「GoToトラベル」を1年間実施した場合の経済効果は8.7兆円、GDPを1.57%押し上げる効果があるとするが、今年度予算化された額で試算すれば2.7兆円、GDPに換算して0.48%。しかし、10月末までの実績値では0.5兆円で、GDPに換算するとわずか0.1%に過ぎない。11月になっても各地の観光地はそれなりに賑わっていたようだが、それにしても1%にも満たない効果しかないことになる。

 日本の内閣府が11月16日に公表した第3四半期GDP(第1次速報値)は第2四半期に対して5%増としているが、2019年同期との比較値は発表していない。この発表を踏まえて11月17日にニッセイ基礎研究所が発表した「2020~22年度経済見通し」では、2020年度の経済成長率を5.2%減と予想している。いずれにせよ前年度に比べ、圧倒的なマイナス成長になることは間違いない。

 一方で、徹底したコロナ対策で早々と感染拡大を抑え込んだ中国では、第2四半期に3.2%、第3四半期では4.9%の成長率となっており、このまま推移すれば2020年通年では2.5%程度の成長が見込めると発表している。もちろん、近年経済成長を続けてきた中国と、斜陽国の日本を比べるのは適当とは思わないが、それでも、コロナ感染対策を徹底して行った中国と、経済対策と感染対策の両立をめざす日本。経済効果としてどちらがより有効であったか、その結果は歴然ではないか。ちなみに、中国の発表に対して、「中国はGDPの数字を改ざんしている」といった批判も散見されるが、報道を見る限り、日本よりははるかに経済状況は活況なように見える。少なくとも、GDPに対してコンマ以下の成長率しか寄与しない「GoToキャンペーン」を唯一最大の経済対策であるかのように言い張るのはいかがなものか。

 先頃、中国とのビジネス関係者の往来を再開した。これに対して一部のネトウヨから「コロナ輸入が始まる」というヒステリックなツイッターが流れていたが、逆に中国の方が日本からの入国者にPCR検査と抗体検査を義務付けるなど、コロナ輸入に神経を尖らせている。この決定も中国からすれば、徹底した感染対策に自信を持っているからこそ、日本に華を持たせた決定だったように見える。先日はブラジル等から輸入した冷凍食品から新型コロナウイルスが検出されたというニュースが流れていたが、日本が輸入品に対してそこまでの検査をしているとはとても思えない。決定的なコロナ対策こそ最大の経済対策だという事実をそろそろ認めた方がいいのではないか。