とんま天狗は雲の上

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J1リーグ第34節 名古屋グランパスvs.サンフレッチェ広島

 いよいよ最終節。グランパスは勝利すれば3位でACL出場だが、引分けや敗戦なら、3位4位直接対決のセレッソアントラーズの結果次第となる。ここはすっきり勝利したいが、相手は守備の堅いサンフレッチェ。無理にゴールを狙うくらいなら、引分けの方が3位になる可能性が高い。連敗中のサンフレッチェだが、けっして調子が悪いわけではない。

 グランパスの布陣は4-2-3-1。久しぶりにCF山崎が先発に戻ってきた。トップ下に阿部が入り、右SHマテウス、左SHには相馬。CHとDF、GKはいつものとおり。オジェソクが右SBで先発した。対するサンフレッチェは3-4-3。ドウグラスヴィエイラをトップに、右FW浅野と左FW森島がシャドーに入る。ボランチは青山と川辺。WBには右に茶島、左に東。CBは右から井林、荒木、佐々木。GKは林卓人が先発した。

 序盤からお互い厳しい守備の応酬。膠着した状況の中からグランパスはカウンターで攻め上がる。5分、左SB吉田の縦パスに左SH相馬がドリブルで駆け上がり、クロスにOH阿部がシュート。DFがブロックして得たCKを右SHマテウスが蹴ると、ニアでCF山崎がフリック。CB中谷がヘディングシュートを放つが、DFと競り合って、枠を捉えることはできなかった。15分には自陣でパスを回して攻め上がり、CF山崎の縦パスに左SH相馬が抜け出し、ミドルシュートを放つ。これで得たCKをマテウスが直接ゴールを狙う。GK林が弾いて、DFのクリアを右SBオジェソクがミドルシュート。だがこれもDFがブロックした。

 サンフレッチェが厳しいプレスをかける中、21分には右SHマテウスがロングシュートを狙うが、枠には入らない。サンフレッチェはCFドウグラスヴィエイラのポストと右FW浅野が力強いドリブルでグランパスの守備を慌てさせる。サンフレッチェの攻撃にカウンターを狙うグランパス。30分過ぎ以降は押し込まれる展開が続く。32分、左FW森島のCKにCB荒木がヘディングシュート。バーを叩いた。40分にはCFドウグラスヴィエイラのポストからCH川辺がドリブルで抜け出し、ミドルシュートを放つが、GKランゲラックがファインセーブ。45+1分には右WB茶島が左SH相馬、左SB吉田を抜いて、クロスに左WB東がミドルシュート。だが大きく上に外してしまった。前半はスコアレスで折り返した。

 後半2分、今度はグランパスがチャンスを掴む。左SH相馬のクロスにCH稲垣のミドルシュートはバーを叩く。しかしそこからサンフレッチェは逆にカウンター。CFドウグラスヴィエイラが仕掛けてDFを二人抜き、ミドルシュートを放つが、わずかにバーの上に外した。5分、右WB茶島の縦パスからCH川辺が反転してミドルシュート。だがCB丸山がブロック。両チーム、守備が堅い。すると11分、グランパスはOH阿部に代わり、前田を投入。サンフレッチェは左CB佐々木がケガで野上と交代した。13分、GK林の縦パスを左SH相馬がカットして、横に流して、CH稲垣がミドルシュート。だが枠を捉えられない。

 16分にはCH米本の縦パスを左SH相馬がつなぎ、FW相馬が仕掛けて、戻しのパスをCF山崎がシュート。だがGK林にセーブされた。すると18分、グランパスはCH米本を下げて、シミッチを投入。より積極的に勝利を狙う。サンフレッチェも21分、GK林のフィードをCFドウグラスヴィエイラが落とし、右FW浅野が仕掛ける。落としをCH川辺がミドルシュート。だがこれも枠に入らない。お互い攻め合うも守備が厳しい。飲水タイムの後、グランパスマテウスと前田のポジションを入れ替え、マテウスをFWに上げた。

 しかしその後はサンフレッチェの方が優勢。31分、CH青山のミドルシュートはわずかのバーの上。37分、右サイドに下がったCFドウグラスヴィエイラからのクロスを左WB東がヘディングシュート。だがGKランゲラックがキャッチした。FWに上がったマテウスにミスが多い。今季、グランパスの攻撃を牽引し続けたマテウスだったが、さすがに終盤戦になって疲れが目立つ。それでも全員で補い守っていく。そのままドローで終わるかと思ったが、41分、CB丸山の縦パスを右WB茶島がカット。だがその縦パスをまたCH稲垣が奪うと、FWマテウスからのパスを受けた左SB吉田がゴール前に入ってきたCF山崎に縦パスを入れる。CF山崎がCB野上を背負って落とすと、右SH前田がミドルシュート。これが決まった。いかにも前田らしいビューティフルゴールだ。その後は44分にマテウスを下げて、右SHに成瀬を投入。一方、サンフレッチェも左WB藤井、右WB柏、左FW土肥、CH松本を投入するが、グランパスの守備は堅い。結局最後まで守り切って、1-0でグランパスが勝利した。グランパスが3位確定。来季のACL出場を決めた。

 コロナ禍で厳しいシーズンだった。だが、しっかり守り続けた。最終戦も完封して、これでリーグ17試合無失点のリーグ記録に並び、失点28はリーグ1位だ。一時、米本が負傷して厳しい時期もあったが、丸山と中谷、そしてランゲラックは全試合全時間出場。稲垣も中盤のスクリーンとしてしっかりした守りを続けた。攻撃ではマテウス。阿部は円熟の技を見せたし、前田も何度も花のあるプレーを披露した。終盤、ケガで金崎がいなくなったのは厳しかったが、それまでの活躍はすばらしいし、その穴はみんなで埋めた。最終的には19勝9敗6分。優勝したフロンターレとの勝ち点差は20と遠いが、11連勝を止める最初の黒星をグランパスがつけたことは誇っていいし、来季はさらに大きな目標を持って、攻撃面を磨きたい。何はともあれ、よかった。まずはご苦労さまと言いたい。そしてしっかり身体を休ませて、ACLによる連戦が続く来季に向けて、しっかり準備をしてほしい。今日は弾けていい。優勝したみたいに嬉しい。よくがんばった!バンザイ!