とんま天狗は雲の上

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皇后杯決勝 浦和レッドダイヤモンズ・レディースvs.日テレ・東京ヴェルディベレーザ

 今年、女子サッカーはTV放送がほとんどなかったため、レッズレディースのゲームは初めて観る。猶本がレッズに戻っていたということもスタメンリストを見て初めて知った。今季無冠のベレーザ皇后杯4連覇をめざす。一方、なでしこリーグで6年ぶりに優勝したレッズはこれまで優勝したことのない皇后杯の初タイトルを狙う。リーグ戦では1勝1敗だったが、皇后杯ではこれまで7敗。一度も勝ったことがない。レッズの初タイトルか、ベレーザの4連覇か。どちらも譲れない決勝戦だ。

 レッズの布陣は4-4-2。高橋はなと菅澤の2トップに、右SH塩越、左SH猶本。ボランチは佐々木と栗島で組むが、栗島は攻撃時にはかなり高いポジションを取り、ダイヤモンド型のように見える。DFは右SB清家、左SBに遠藤優。CBは長船と南。GKは池田が守る。対するベレーザ準決勝と同じ4-3-3。メンバーも左SBに宮川が入った他は準決勝

と同じだ。

 序盤からレッズが前から積極的にプレスをかける。2分、中盤でルーズになったボールをFW菅澤が収め、パスを受けた右SB清家がドリブルで持ち上がる。そのままシュートを打つが、ポスト左に外れた。直後にはCB長船のフィードにFW高橋が走り込んでシュート。序盤からレッズがペースをつかみ、攻めていく。ベレーザの初シュートは8分、右SB清水の上りから、右IH木下がつなぎ、CF小林がシュート。だが枠は捉えられない。9分には右SB清家のクロスをFW菅澤がヘディングシュート。だが右ポストに当たってはね返される。

 すると11分、ベレーザはCB松田がヘディングで前に送ると、レッズの中盤が手薄。左IH長谷川の縦パスを受けたCF小林もフリー。CB長船が飛び出したところへスルーパスを入れると、そこに左WG遠藤純が走り込み、シュート。守勢に回っていたベレーザが先制点を挙げた。その後はようやくベレーザも攻められるようになってきたが、レッズのプレスは相変わらず早い。18分にはCB長船のパスカットから、縦パスをFW菅澤が落とし、右SH塩越のスルーパスにFW高橋が抜け出して、シュート。しかし22分、レッズの右SB清家が膝を痛め、CH水谷との交代を余儀なくされる。水谷は右SBには佐々木が入った。

 その後もベレーザは右WG宮澤が積極的に仕掛けて攻めていく。27分、これまであまりボールに触れなかった左SH猶本だったが、FKのチャンスを得ると、長いボールにCB長船がヘディングシュート。しかしGK西村がキャッチする。その後は左SH猶本が積極的にボールに絡み、攻めていくが、ベレーザのパスの連携も際立っている。33分、右SB清水のパスを受けて右WG宮澤がカットインからミドルシュート。レッズは34分、右SB佐々木の縦パスに抜け出したFW菅澤のクロスからFW高橋がシュート。だが今度は右ポストを叩く。36分にも右SB佐々木の縦パスを右SH塩越がキープ。浮き球のパスに走り込んだCH水谷が戻すと、左SH猶本がシュート。だがわずかにポスト左に外れる。どうしてもゴールが遠いレッズ。

 37分には左SH猶本のプレスでボールを奪い、右SH塩越がつないで、FW高橋がクロス。FW菅澤が胸トラップからシュートを放つが、GK西村がセーブ。41分、ベレーザはCF小林のスルーパスに右WG宮澤が抜け出しシュート。GK池田がナイスセーブ。しかし続く遠藤のCKをニアでCB松田がフリックすると、GK池田が叩き落したボールを右WG宮澤がシュート。ベレーザが追加点を挙げた。レッズは43分、GK池田のフィードをFW高橋がヘディングでフリック。CH栗島がドリブルで持ち上がり、最後はFW高橋はながシュート。だがDFがブロック。45+2分にはFW菅澤の落としを右SB佐々木がミドルシュート。だがこれもGK西村が正面でセーブした。攻め続けたレッズだったが、再三のチャンスをモノにできず、逆に少ないチャンスを確実に決めたベレーザが前半のうちに2点差をつけて折り返した。

 後半、レッズは栗島を右SBに回し、佐々木をボランチに戻す。中央をしっかり固めようということか。後半もレッズが前からプレスをかけ、ベレーザはかいくぐってパスをつなぐ展開が続く。そして8分、右SB栗島の縦パスにFW高橋が抜け出し、GKのニア上を抜く豪快なシュート。ようやくレッズが1点を返した。ベレーザも10分、左SB宮川のスルーパスにCF小林が抜け出し、シュート。これはGK池田がファインセーブした。レッズも13分、左SH猶本がFKを狙うが、GK西村がキャッチ。17分にも猶本がファールをもらってFKのチャンスを得るが、倒れた時に治療に入ったため、猶本はピッチの外に出て、代わりにFW高橋がFKを狙うが、GK西村にセーブされた。

 19分には左SH猶本のCKのクリアをCH佐々木がミドルシュート。そして24分、右SH塩越のスルーパスにFW菅澤が抜け出す。シュート。これが決まり、ついにレッズが同点に追い付いた。ところが28分、今度はベレーザが右SB清水のスルーパスにCF小林が抜け出し、シュートを決める。すぐにベレーザが勝越し点を挙げた。29分には右IH木下のスルーパスに右WG宮澤が抜け出しシュート。これはGK池田がファインセーブ。31分、右WG宮澤のスルーパスに抜け出した右SB清水のシュートはバーを叩く。

 すると33分、レッズは栗島を下げて、トップ下に安藤梢を投入する。佐々木が再び右SB。40分、FW菅澤のポストからOH安藤が仕掛けてシュート。そして41分、中盤深い位置から左SH猶本が右アウトサイドで絶妙なスルーパスを通すと、OH安藤が走り込んでシュート。レッズが再び同点に追い付いた。すごいゲームだ。レッズに優勝への執念を感じる。だが再び突き放したのはベレーザ。43分、右WG宮澤の縦パスを受けて右IH木下がドリブルで仕掛けると、戻しのパスをCF小林がシュート。CBの間を抜けたシュートは木下への対応から戻ってきたGK池田の右を抜けてゴールに吸い込まれる。ベレーザが4点目。レッズは44分、左SH猶本のクロスにOH安藤がヘディングシュートを放つが、GK西村がキャッチ。その後、レッズは右SH塩越に代えて大熊、ベレーザも左SBに有吉、右IHに中里を入れて、そのまま守り切る。4-3。壮絶なゲームはベレーザが勝利。皇后杯4連覇を決めた。

 レッズにとっては悔しいゲームだった。前半にあれだけあったチャンスが1点でも決まっていれば、また展開は変わっただろう。それでも後半に3点を挙げて同点に追い付いたところまではよかった。みんなの必死さは伝わってきたが、ベレーザの巧さの方が一枚上だった。残念。来年は五輪中心で日程が進み、秋から新しいプロリーグであるWEリーグが始まる。レッズやベレーザも含め11チームの参加も決まった。TV放送やDAZNでの中継はあるだろうか。初代女王をめざして、よりいっそう楽しいゲームを期待したい。