とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

高校サッカー決勝 山梨学院vs.青森山田

 準決勝を観た限りでは青森山田が圧勝するかと思った。山梨学院の守備がどこまで青森山田の攻撃に耐えられるか。そういうゲームだと思っていた。そして事実、そういうゲームだった。前半のカウンターからの左SH広澤の見事なシュート。そして後半の速いリスタートからのCH野田のシュート。いずれも山梨学院の戦術が見事にはまった。サッカーのレベルというよりも、指導者の作戦勝ちということだったのかもしれない。いかにも高校サッカーの決勝らしい、面白いサッカーを堪能した。山梨学院の布陣は4-4-2。1回戦でケガをしたCB板倉が復帰して、中根に代わった他は準決勝と同じ先発。一方の青森山田準決勝と同じメンバーが並ぶ。布陣は4-3-3。

 序盤から青森山田が攻めていく。開始1分、右IH安斎から右に展開。右WG仙石のクロスのクリアをCH宇野がミドルシュート。6分には右IH安斎の縦パスに左IH松木が走り込み、シュート。GK熊倉がファインセーブを見せる。11分、右IH安斎のアーリークロスにCF名須川がシュート。攻め続ける青森山田だったが、先制したのは山梨学院。12分、自陣からカウンターでFW野田が攻め上がると、CH谷口がスイッチしてさらにドリブル。そしてクロスに逆サイドから左SH広澤がミドルシュート。DF二人の間を抜けたシュートはそのままゴール左隅に飛び込んだ。山梨学院が先制点を挙げた。

 山梨学院は19分にも右SH新井のパスからFW野田がシュートを放つ。しかしその後は青森山田のペース。攻め続けるが、多少焦りもあるか、いや山梨学院の寄せが早い。なかなかチャンスを作れないまま時間が過ぎていく。35分にはCKに左SBタビナスがヘディングシュートを放つが、うまく当たらない。42分、右SB内田のクロスに右IH安斎がミドルシュート。だが枠を捉えられない。前半はこのまま山梨学院がリードして折り返した。

 後半になっても青森山田の攻撃が続く。5分、右WG仙石のクロスにCF名須川がニアに飛び込んでヘディングシュート。だが枠は捉えられない。すると直後の6分、青森山田は左SH小原を下げて、右SHに藤森を投入。仙石を左SHに移す。それまで右サイドから積極的に仕掛けた仙石だったが、藤森に代わってもさらに技巧的に仕掛けていく。そして12分、右SB内田がロングスローを入れると、DFのクリアを左IH松木ボレーシュート。GK熊倉がはね返したが、こぼれ球をCB藤原が押し込んだ。ついに青森山田が同点に追い付く。

 するとさらに攻勢を強める青森山田。14分には右IH安斎が右SB内田とのワンツーで抜け出しシュート。GK熊倉がファインセーブで弾き出す。しかし続く松木のCKを左SBタビナスがヘディングシュート。これはバーに当たる。はね返りをCF名須川が狙うが、シュートはサイドネットにかかった。しかし18分、右SB内田の縦パスに右WG藤森が走り込み、クロスを入れると、IH安斎が左サイドからDFの前に走り込み、シュート。青森山田が逆転ゴールを挙げた。

 山梨学院は直後の19分、左SH広澤に代えて山口を投入。21分には右SH新井のロングスローからFW久保がシュート。だが青森山田の分厚い守備にブロックされる。すると山梨学院は25分、FW久保とCH石川を下げて、笹沼と茂木の2トップを投入。野田をボランチに下げた。必死に反撃する山梨学院。一方、青森山田は守備の意識が強くなったか、守りに回る場面が増えてきた。すると33分、ピッチ中央付近で山梨学院がFKを素早くリスタート。FW笹沼のスルーパスに左SH山口が走り込む。が、青森山田も右SB内田が何とか戻って、足に当てた。しかし弱い。こぼれ球をCH野田が走り込み、シュート。山梨学院が同点に追い付いた。

 その後は再び青森山田が攻勢をかける。37分、安斎のCKにCB藤原がヘディングシュートするも、ポストを直撃。直後、山梨学院は右SH新井を下げて、浦田を投入する。44分にはカウンターで攻め上がり、縦パスに走り込んだ右WG藤森がクロス。左WG仙石がフリーだったが、シュートはふかしてしまった。さらにアディショナルタイムの45+2分、左WG仙石の縦パスにIH安斎が走り込み、クロスをCF名須川が落とすと、仙石がシュート。だがGK熊倉がビッグセーブで弾き出す。続く松木のCKにCF名須川がニアに飛び込むが、ヘディングは枠を捉えることはできなかった。そしてタイムアップ。同点のまま、延長戦に入った。

 延長戦でも青森山田が攻めていくが、山梨学院もよく守る。6分には足を痙攣したCH野田を下げて中根を投入。守りを固める。一方、青森山田も9分に、左WG仙石に代えて内間、CF名須川に代えてベベニョン日高を投入する。だが前半はこのまま終了。ゲームは延長後半に移る。後半も攻める青森山田。4分、安斎のCKを松木が落として、CB藤原がシュート。7分には右SB内田のクロスに右IH安斎がヘディングシュート。9分、左WG内間がミドルシュート。だがいずれも枠を捉えることはできなかった。そしてタイムアップ。勝負は延長戦でも決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ。

 PK戦先行の青森山田はCB藤原が一番手でゴールを決めると、山梨学院はFW笹沼が確実に決めた。青森山田の2番手は右IH安斎。GK熊倉とはFC東京U15でチームメイトだったそうだが、そのシュートは元チームメイトに止められた。その後、山梨学院は二人が決めて、青森山田は4人目の三輪が失敗。一方、山梨学院の4人目、谷口が確実に決めて、4-2。山梨学院が優勝となった。

 相変わらず、高校サッカー勝戦は面白い。実力的には青森山田が上だと思ったが、やはり決勝戦はそれだけストレスがかかるということか。山梨学院は前回優勝の11年前も決勝で青森山田に勝利して優勝を決めたそうだが(その時の観戦記はこちら)、相性もあるのか。たとえ劣勢でも、愚直に勝利を目指すサッカーは高校生らしいと言えるかもしれない。さて、来年はどういう決勝戦が見られるだろうか。また来年も楽しみにしよう。