とんま天狗は雲の上

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佐々木宏氏の容姿侮辱演出騒動は、式典統括を辞めるための自作自演ではないのか

 東京五輪式典統括の佐々木宏氏が、渡辺直美の容姿を侮辱するようなプランをLINEグループ通話で提案していたと週刊文春に報じられ、辞任した。もちろんその提案内容は酷いものだが、昨年春の内輪でのLINEグループトーク。グループメンバーの誰かが暴露しなければ外には出ない話であり、しかもすぐに他のメンバーから批判されて、その提案は引っ込めたと言う。そんなものまで批判されるのかと驚いた。

 渡辺直美の落ち着いた対応には安心したが、週末のワイドショーでは、佐々木氏への批判とともに、誰が何の意図を持ってグループトークを、それも今になって暴露したかについても、侃々諤々な意見が交わされていた。LITERAの「佐々木宏問題の本質は森喜朗や電通と結託したMIKIKO先生の排除! でも電通に弱いワイドショーは完全スルー、かわりにLINE流出批判」によれば、「五輪開閉会式の演出トップを巡る『権力闘争劇』が裏にある」というのだが、それはさもありなん。佐々木氏がMIKIKO氏とそのグループを追い落とそうと画策し、それに成功したということは、確かにあり得るだろう。

 そして、その報復として、LINEトークが暴露されたというのだが、いったいこのトークを誰が文春に持ち込んだのか。内情を知るMIKIKO氏とそのグループの中の一員ということになってしまうのだが、本当にそうだろうか。MIKIKO氏にしても、野村萬斎椎名林檎にしても、または著名ではない他のメンバーにしても、そんな憂さ晴らしをして、いったいどんな得があるのだろう? 佐々木氏が辞任し、MIKIKO氏の案が再度採用されることを期待したのか。グループトークの暴露という信義を損ねかねないような危険を冒してまで実施したい演出案だったのか、はたまた利権だったのか。だがなぜかマスコミの報道はその後、LINEの中国や韓国への個人情報流出の問題に移り、誰が暴露したのかということはほとんど話題になっていかない。一瞬、中国や韓国から佐々木氏らのグループトークが暴露されたのかと思ってしまったほどだ。

 実は、今回の佐々木氏のグループトーク暴露と辞任は、すべて佐々木氏本人の自作自演ではないかと疑っている。緊急事態宣言は解除されたとは言え、新型コロナの感染はなかなか収まらず、変異株による感染の再拡大も懸念される中、聖火リレーは何とか強行されるようだが、東京五輪の開催が今後どうなるのか、依然不透明だ。一方、佐々木氏を強く推していたとされる森喜朗組織委員会を辞任した。後ろ盾もなくなり、演出関係の業界でも多くの関係者から批判の目を向けられ、また協力者も離れていっていたかもしれない。週刊文春のとおりだとすれば、KIMIKO氏に替わる新しい演出案に対してIOCからなかなかOKが出ない中、佐々木氏自身が非常に行き詰った状態にあっただろうことは想像に難くない。

 こうした窮地から逃れるためには、東京五輪の式典統括から辞任するしかないが、「IOCが認める提案ができませんでした」という理由で辞任するわけにはいかない。時も時、LINEの個人情報流出というニュースが流れてきた。「そう言えば昨年3月に酷い提案をしてみんなにボコボコにされたことがあったな。あれを週刊文春に漏洩しよう。そうすれば非難が殺到し、その責任を取る形で『辞任する』ことができる」と考えたとしても不思議ではない。

 「渡辺直美を豚に例えるという提案は酷いにしても、すぐに却下したことだし、自分の将来に大きな傷がつくことはあるまい。ましてや66歳。既に相応の貯蓄もあるし、引退してもかまわない。そしてうまくすれば、マスコミが『暴露したのは誰か』という詮議を始め、憎いMIKIKO氏らのグループを追い詰める展開になるかもしれない」。才能豊かなMIKIKO氏への嫉妬心、という解釈もできる。それが、最も可能性が高いのではないか。

 いずれにせよ、海外客の受け入れも断念し、いよいよ東京五輪は追い詰められてきた。私は前に書いたように「東京五輪、開催延期でいいじゃない!」と思っているが、ここまで汚れ切った東京五輪をきれいにして、調和と友好の名の下で世界平和を喜び合う「スポーツの祭典」として開催するには、開閉会式の演出の再検討を始め、準備に相当の長い年月が必要かもしれない。たとえ10年でも20年でも、ずっと延期でいいじゃない。その間にパリでもどこでも開催してもらえばいい。そしていつか再び、明るい健康な東京五輪、いや愛知五輪でもいいけど、日本で五輪が開催できたらいいなあと思う。私が生きているうちに実現するだろうか。