とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

最低最悪のスタート

 今春から某大学で非常勤講師として一講座担当することになった。昨年の夏、これまでお世話になってきた先生から「春に故郷に帰る」ということで「次を引き受けてほしい」と依頼があったもの。その時は妻が入院中だったこともあり、返事はしばらく保留していたが、毎週水曜日はデイサービスを利用することになったため、「週一なら」ということで引き受けた。もっともいざ引き受けてみると、一コマ90分15回分の授業を計画するのはかなり大変。その先生から資料をいただき、でもとても同じ内容で講義ができるような知識も経験もないので、自分なりの内容で一から組み立てた。

 最初は学生に配布するレジュメの形で作り、それに自分で話す内容を赤字で付け加える。さらにそのワード文書からリンクを張る形で、パワーポイントやPDFファイルなどを映し出せるように資料を整えた。大学や学部の担当教師からも様々に連絡やアドバイスがあったが、それに加え、たまたま旧職場の同僚が同じ大学で非常勤講師をしていたので、彼に連絡を取り、学生の様子やコロナ禍での対応など、詳細な点も確認した。

 これで準備万端と思った週初めの月曜日の朝、起きた時に左膝にこわばりのような小さな痛みを感じた。何だろうと思いつつ、そのままいつものウォーキングをし、いつものように出勤して、1日を終えた。だが、夜になるほど痛みが増してくる。夜、ロキソニンを飲んだが、朝にはかなりの痛みで、床から立ち上がるのも一苦労。これはまた偽痛風だ。偽痛風と言えば、昨年10月にも「またも右ひざが偽痛風」で書いたとおり、6年ぶりに再発をしてしばらく痛みに耐えた。今度は左膝。それも膝関節の上の方だが、触ってみると少し腫れている。火曜日は妻の通院、午後には買い物につき合うなど、足を引き摺って何とか過ごしたが、痛みはなかなか治まらない。足を引き摺りながらの初講義かと思ったが、それも仕方ない。

 夕方、念のため、もう一度パソコンで授業を確認しようとパソコンを開いたら、立ち上がらない。起動キーを何度押してもウンともスンとも言わない。ええっ! 娘が「私のパソコンを持っていったら」と言ってくれたので、とりあえず娘にパソコンのパスワードを聞き、幸いUSBに必要ファイルは保存してあったので、そこから資料を立ち上げる。一応、娘のパソコンを使えば、授業は何とかなることがわかったので、次は私のパソコンの修理だ。

 購入時の保証書・説明書を見つけ、サポートセンターに電話をする。まだ購入後1年以内なので、対応はしてもらえるはずだ。その間に娘はスマホを使って、Surface Laptop3の不具合と対応方法を調べる。電話がなかなかつながらない中、娘が「20秒間、起動キーを押し続ける」という対処方法を見つけ、実施してみると、「おおっ! 立ち上がった」。よかった! その後、何度か起動してみたり、授業関連のファイルを開いたりして、正常に動くか確認。明日に備えて、ケーブルやバッテリーなどもカバンに入れて準備をした。

 それで、いよいよ講義初日。相変わらず左膝が痛い。だが、大学まではクルマなので大丈夫。渋滞もなく、余裕を持って大学に到着した。ただし、駐車場から校舎までの距離が長い。しかも上り坂。カバンはパソコンも入って重いし、高低差のある敷地内に各棟が複雑に絡み合い、目的の非常勤講師室までが遠い。それでも何とか到着し、必要な手続きを終え、教務事務室へ視聴覚機器操作盤の鍵を借りに行き、ついでに講義予定の教室を確認する。それらが全て異なる棟で、高低差もあることから移動が並大抵ではない。エレベーターを探して、痛む足を引き摺りつつ右往左往し、何とか必要な準備を終え、時間まで非常勤講師室で待った。

 講義開始時間の20分前に教室へ移動。まず視聴覚機器操作盤に鍵を指してフタを開けると、あれ? HDMIの接続ケーブルが盤から伸びているが、オスの端子だ。私が持っているSurface Laptop3はUSB Type-C端子しかないので、HMDI端子に接続できるよう変換ケーブルを事前に購入しておいた。操作盤にHMDI端子はあると聞いていたが、「オスか、メスか」までは確認をしていなかった。「接続ケーブルもある」という話だったので、オス端子のケーブルを用意しておけば、ケーブルを抜いてメスのHDMI端子に接続することができるだろうと思っていたのだが、まさかケーブルが操作盤から直接伸びているとは想定していなかった。操作盤を解体するわけにもいかず、パソコン利用はあきらめるしかない。何と言うことだ。

 結局、授業は配布したレジュメだけで実施。途中、「本来ならこの画面を皆さんにお見せしたかった」と言って、パソコンを持ち上げて、画面を学生に見せたが、見えるわけもない。パソコンも使わないのに、操作盤の前で講義をするわけにもいかず、教壇に立って話をしたが、1時間以上立ちっぱなしは辛かった。それでも初回の講義内容は、講義の目的や内容、授業計画などを説明することが主だったので、何とか目的を達することだけはできた。でもせっかく用意した画像などは学生に見せたかったなあ。後期も同じ授業があるので、次回こそ。幸い学生は授業中、特にざわつくこともなく、最後まで静かに私の話を聞いてくれた。まあ、最前列で寝ている学生もいたが、全体としては気持ちよく90分間を終えることができたのでよかった。

 帰宅して、すぐに接続ケーブルを注文した。次回こそ、用意した資料を使ってパソコンで講義をするぞ。それにしても何という初講義。ここまで最低最悪のスタートはあまり経験がない。逆に言えば、今後はきっと良くなるはず。無事に終わったことを良しとして、次回こそ頑張ろう。こんなドジでダメダメな講師ですが、学生の皆さん、よろしくね。