とんま天狗は雲の上

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東京五輪(女子)準々決勝 スウェーデンvs.日本

 グループリーグ3位。田中美南のゴールで何とかチリに勝利し、決勝トーナメントに進んだ日本だが、準々決勝の相手はアメリカに勝利して、グループリーグを首位で抜け出したスウェーデンが相手。得点力に期待できない中、高倉カテナチオ「武藤文雄のサッカー講釈」より)でどこまで守り切れるかがカギか。

 スウェーデンの布陣は4-2-3-1。ブラックステニウスをトップに、アスラニがトップ下。右SHヤコブソン、左SHロルフォ。ボランチにアンゲルダルとセーゲルが並び、DFは右SBグラス、左SBエリクセン。CBはイレステットとビョルン。GKはリンダール。対する日本は4-4-2。田中美南と岩渕の2トップに、右SH長谷川、左SH杉田。中島と三浦のボランチに、DFは右SB清水、左SB宮川。熊谷と南のCBにGKは山下。田中と岩渕がゲームの最初からコンビを組むのはこれが初めてだとか。

 序盤からスウェーデンが攻めてくる。2分、CBイレステットのフィードに、右SHヤコブソンが走り込んでシュート。速い、速い。6分にはOHアスラニのクロスのこぼれをCHアンゲルダルがシュート。右に外れた。しかし続くCKをOHアスラニが蹴り込むと、CBイレステットがヘディングシュート。これはDFがはね返したが、イレステットが拾い、縦パスを入れると、左SHロルフォのクロスに左SBエリクセンがヘディングシュート。左右に振られ、クロスから失点。早々に先制点を許してしまった。8分にも右SHヤコブソンがドリブルで持ち上がり、ミドルシュート。12分には左SHロルフォがミドルシュート。GK山下が横っ飛びナイスセーブすると、続くCKにCHセーゲルがヘディングシュート。わずかに左に外れたが、スウェーデンの攻撃が続く。

 日本は16分、ようやくFW岩渕がミドルシュートを放つ。GKリンダールが正面でキャッチしたが、これが日本の初シュート。17分には左SB宮川のフィードにFW岩渕が走り込むが、GKリンダールがセーブする。スウェーデンも1点先取して前からのプレスも落ち着き、日本がようやくボールを持てるようになってきたが、後方でパスを回すばかりで、なかなかゴール前に入っていけない。逆に20分には右SBグラスのフィードにCFブラックステニウスが走り込み、シュート。CB南はブロックする。

 しかし23分、CB熊谷が右前にパスを送ると、右SB清水が縦に送り、右SH長谷川が走り込む。クロスにFW田中がシュート。ゴール。日本が同点に追い付いた。すると27分には右SH長谷川が左SH杉田とのワンツーから縦に流し、右SB清水が走り込んで、シュート。そして31分、右SH長谷川のパスからFW岩渕がスルーパス。FW田中が走り込むと、CBイレステットに当たって倒れる。主審はPKを宣告。岩渕がPKスポットで待つが、そこでVARを確認。結局、PKは取り消されてしまった。

 その後はお互いに攻め合う展開。34分、スウェーデンがCHアルゲルダルのスルーパスにOHアウラニが抜け出し、シュートを放てば、日本も38分、FW田中のスルーパスにFW岩渕が走り込むが、CBイレステットがブロック。40分、FW岩渕のクロスにFW田中が走り込むも、これもCBイレステットがクリア。前半は1-1のまま折り返した。

 後半序盤は日本が攻め込む。4分、右SB清水がドリブルで持ち上がり、縦パスをFW田中が落として、清水がシュート。6分には左SH杉田がミドルシュートを放つ。しかし8分、左SBエリクセンの縦パスに左SHロルフォがDFを背負いながら反転してスルーパス。これにCFブラックステニウスが走り込み、シュート。スウェーデンが勝越し点を挙げた。右サイドから攻め込まれ、左サイドからの崩し。最後は右SB清水が対応したが、人数が足りなかった。

 その後はスウェーデンがペースを握って攻める。17分にはCHアンゲルダルを下げて、ベンニソンを投入。そして20分、PA右角あたりからOHアウラニが積極的にシュートを放つと、対応したCH三浦の手に当たる。VARで確認の上、PKの判定。23分、OHアスラニが決めて、スウェーデンが3点目を挙げた。25分、FW田中のパスから右SH長谷川がミドルシュート。26分、FW岩渕の縦パスをFW田中が落とし、FW岩渕がシュート。DFブロックのこぼれ球を左SH杉田がシュートするが、大きく枠を外した。

 27分にはCH三浦を下げて、左SH遠藤を投入。杉田をCHに下げる。スウェーデンも30分、CFブラックステニウスに代えてハーティグ、左SHロルフォに代えてヒョウグを投入する。必死に反撃する日本。31分、CH中島の縦パスをFW岩渕が落とし、FW田中がシュート。しかしDFがブロック。37分には右SH長谷川を下げて北村。41分にはCH中島を下げて林を投入する。しかしなかなかスウェーデンのゴール前に入っていけない。44分、FW岩渕のミドルシュートもGKリンダールがセーブ。その後はスウェーデンも時間を使う。45分、OHアスラニに代えてCBアンデッション。CHセーゲルに代えてヤノギーを投入。そしてタイムアップ。3-1。スウェーデンが順当に勝利。なでしこジャパンは準々決勝で敗退した。

 前半31分のPKが取り消しになっていなければと思うが、確かにCBイレステットは何もせず、田中が当たっていって倒れたように見える。それより何より、日本は最後まで攻撃力不足。若い選手を積極的に起用した高倉監督だったが、守備面は熊谷・南を中心に組織的に作ったものの、攻撃面では個人の能力にまかせていたように見える。次のW杯は2年後。若手の成長は見込まれるかもしれないが、このまま高倉監督にまかせていいものか。育成はともかくとして、そろそろ戦術的指導のできる監督と交代する時期かもしれない。なでしこジャパン東京五輪はベスト8で終わってしまった。