とんま天狗は雲の上

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震度5強の割に被害は少なかった。

 先週、東京や埼玉で震度5強の地震が発生した。一部、電車の脱線や運休があって、帰宅困難者の問題がクローズアップされたが、建物などの被害は思ったよりも少なかった。「思ったよりも」と書いたのは、震度5強と言えば「壁に割れ目が入り、棚の食器や本などが落ちる」程度の地震という感覚があったからだ。気象庁震度階級関連解説表には「耐震性の低い住宅では、壁や柱がかなり破損したり、傾くものがある」とも書かれている。この記述に比べれば、今回の震度5強により被害はかなり低かったと言える。

 実は、現在の震度階級は平成8年に改正され、それまでは気象庁職員の体感や周辺の被害状況から推定していたものを、地震計の測定値からさまざまな計算をして、自動的に震度を算出する、計測震度が使用されている。今回の東京や埼玉の震度5強も被害状況には関わりなく、地震計から自動的に算出されたものなので、気象庁の解説に言う「非常に恐怖を感じる。多くの人が行動に支障を感じる」ほどの揺れだったかと言えば、それほどではなかったのではないか。

 計測震度がどれほどの体感で、どれだけの被害を起こすかというのは、場所や揺れ方でかなり変わるので、同じ震度5強でも、気象庁の解説表ほどには体感や被害がないということは十分あり得る。というより、この種の解説は、どうしてもより被害が大きい方に偏って書かれるので、最悪の場合、こうした被害や体感があると考えておいた方がいい。また、建物被害は個別建物の耐震性能によって変わるので、古い建物の建て替えが進めば、被害も小さくなる。新しい建物が多い地域ではほとんど建物被害がないということも考えられる。

 最近、地震が多い。一方で、震度ほどには被害は発生していない印象がある。今回の震度5強を経験して「住宅被害はほとんどない」と思っていると、次の震度5強では全く違う被害状況になっているかもしれない。私のように古い人間だと、どうしても震度階級と被害状況がリンクして頭に入っている。地震が発生するたびに速報が入り、震度が伝えられるが、震度の割に軽微な被害が続くと、「震度5位なら大した被害はない」という誤った認識を生んでしまうのではないかと危惧をする。いやそれとも、解説表が大袈裟に書き過ぎているんだろうか。