とんま天狗は雲の上

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FIFA U-20女子ワールドカップ 準々決勝 日本vs.フランス

 グループリーグ最終戦ではアメリカに勝って、3連勝で決勝トーナメントに進出したヤングなでしこ。準々決勝の相手はグループCを2位で通過したフランス。代表レベルのFIFAランキングでは5位のフランスがグループリーグを首位通過するのではないかと言われていたが、ナイジェリアに敗れてまさかの2位通過。日本にとっては「聞いてないよー!」という感じだが、実際、フランスは強かった。

 日本の布陣は3-5-2。山本と浜野の2トップに、中盤は大山をアンカーに、右IH天野、左IH岩崎。WBは右に杉澤、左に小山。CBは右から田畑、石川、長江。GKは大場。グループリーグ3戦先発した藤野は休ませたが、グループリーグのプレーぶりを見ると、その他のメンバーはヤングなでしこのベストメンバーと言える。対するフランスの布陣は4-2-3-1。サンガレをトップに、トップ下にフォルケ。SHは右にトラオレ、左にベショー。ボランチにシーラとファゼールが並ぶ。DFは右SBウルド・オシーヌ、左SBル・ギリ。サモラとソムバスのCBにGKはシーバー。

 序盤はフランスの寄せが早く、日本は守勢に回る。6分、フランスはCKの流れからCBサモラがミドルシュート。日本も9分、右WB杉澤のクロスのこぼれからFW浜野がミドルシュートを放つが、フランスもその直後、OHフォルケがドリブルでボールを運び、ミドルシュートを放つ。身体能力の高さが目立つ。そして15分、ル・ギリからのフィードをOHフォルケがPA手前でキープして、切り返しからミドルシュート。これがCB石川に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれる。フランスが先制点を挙げた。

 日本は22分、FW山本が右から左へ斜めにパスを入れると、左WB小山が走り込んでいく。GKシーバーが飛び出し、シュートは打てなかったが、続くショートCKの流れからCH大山がクロス。DFクリアのこぼれ球を左IH岩崎が拾って左に流し、CH大山がシュート。DFにブロックされたが、ようやくここから日本がリズムを掴みだした。そして33分、右CB田畑のフィードにFW浜野が走り込むと、飛び出したGKシーバーと交錯。主審はPKを宣告する。これをFW山本が落ち着いて決めて、日本が同点に追い付いた。

 35分にはFW山本が収めて、タメを作ってから右に流し、右WB杉澤がシュート。わずかにポスト左に外した。42分、フランスは右SBウルド・オシーヌが右足の付け根を痛めて、右SHエムザ・イッサと交代。トラオレが右SBに下がる。前半はこのまま1-1で終わった。

 するとフランスは後半最初、サンガレとシーラを下げて、CFエムバケム・ニアロとCHウルツェルを投入する。エムバケム・ニアロはグループリーグでも途中出場から2ゴールを挙げており、身長も高い怖い選手だ。後半も序盤はフランスが攻め込むが、すぐに押し返すと、3分、中盤からの縦パスをFW浜野が右に展開。FW山本が追い越していく右WB杉澤を囮にして中へ戻すと、FW浜野がミドルシュート。これが決まり、日本が2-1と逆転する。

 フランスも7分、左SBル・ギリのクロスからCHウルツェルがヘディングシュートを放つが、これはGK大場がセーブ。その後は互角の展開が続く。24分にもCHウルツェルがミドルシュート。これはわずかにバーの上。直後、日本は左IH岩崎を下げて、藤野を投入した。31分、フランスは左SHベショーのCKからCFエムバケム・ニアロがヘディングシュート。33分にもCHウルツェルのクロスのこぼれをCFエムバケム・ニアロがシュート。34分には右SHエムザ・イッサのクロスのクリアをCHファゼールがミドルシュート。わずかにポストの右に外れた。日本は35分、天野と山本を下げて、右IH土方とFW松窪を投入する。

 そして40分、左SHベショーがボールを運ぶと、右に流して、CFエムバケム・ニアロがシュート。これがゴール右上に飛び込んだ。ゴール。フランスが同点に追い付いた。するとますます勢いづくフランス。43分にはOHフォルケがPA内で粘り強く仕掛けると、シュート。これはGK大場がセーブ。45分にはCBサモラのミドルシュートがバーを叩く。落ちてきたボールをGK大場がクリアするが、CFエムバケム・ニアロが詰めてシュート。GK大場がナイスセーブした。ここで90分が経過。延長戦に突入した。

 延長戦は開始1分、左IH藤野のパスにFW松窪が抜け出し、シュートを放つが、GKシーバーがセーブ。しかしその後はフランスが攻勢をかける。3分、左SHベショーのCKからOHフォルケがダイレクトでシュート。GK大場がナイスセーブ。6分にはCHファゼールがドリブルで運び、ミドルシュート。さらに8分、OHファゼールのスルーパスにOHフォルケが走り込み。シュートを放つが、GK大場がナイスセーブではね返す。その後は日本が盛り返し、しかしそのまま無得点で延長前半を終えた。

 そして延長5分、フランスは右SBトラオレからのクロスをOHフォルケが収めて、落としをCHウルツェルがシュート。これがゴール右サイドに決まる。フランスが再逆転した。日本は6分、浜野を下げて、FW島田を投入。フランスも9分、フォルケを下げて左CHにウルトレを投入。ウルツェルをトップ下に上げる。さらに13分には左SHベショーに代えてナッシ。何とか追い付こうと攻める日本だが、なかなか決定機が作れない。アディショナルタイムは2分。それも残り30秒を切った後、ゴール左サイドで得たFKをCH大山がゴール前に蹴り込むと、左IH藤野が走り込んでヘディングシュート。そこにGKシーザーも飛び込んで、藤野を倒してしまう。だが主審はPKを取らない。かと思ったら、VARで確認し、自らモニターを確認した上でPK宣告。これを藤野が落ち着いて決めて、日本が土壇場、延長後半20分で同点に追い付いた。そしてタイムアップ。勝負はPK戦で決着をつけることになった。

 PK戦。日本の一番手は17歳のCH大山が落ち着いて決めると、フランスの一番手はCHファゼール。やや右サイドに蹴り込んだシュートだったが、GK大場が見事にストップした。2番手も17歳の左WB小山。彼女も落ち着て決めると、左IH藤野、FW島田と決めていく。フランスもCBソムバス、CFエムバケム、左SBル・ギリと決めて、日本の5人目はCB田畑。決まれば勝負が決まるというPKだったが、見事に落ち着いて決めきった。日本が準決勝進出を決めた。

 やはり決勝トーナメント。フランスは強かった。延長後半のPKを取ってもらったシーンも簿妙な判定だったが、フランスのGKシーザーにとっては、自らのファールでPKを与えて同点に追い付かれ、その直後にPK戦。やはり精神的なショックは大きかったのではないか。逆に言えば、日本にとってはラッキー。だが最後まで勝利を求めて走り回ったそのプレー振りは評価したい。

 準決勝はブラジル。グループリーグはスペインに続いて2位抜けだが、ここまで無失点と守備が堅いようだ。しかも8ゴール。強敵だ。しかしここまで来たら後は戦うしかない。最後まで物怖じしないプレー振りには好感が持てる。このまま決勝戦まで勝ち上がり、連覇を達成してほしい。がんばれ、ヤングなでしこ