J1リーグ王者と天皇杯王者が戦うスーパーカップ。だが、昨季はヴィッセルが共にタイトルを獲ったため、J1リーグ2位サンフレッチェとの対戦となった。ちなみに、J1リーグと天皇杯の優勝チーム同士が戦う形でのスーパーカップは、2026年から秋・春制に移行する関係で、今回が最後になるという。でも、今季はJ1リーグの天皇杯も昨年同様に開催するわけだし、それぞれの優勝チームが戦うことは可能ではないか。どうして今回で最後なんだろう? 2026年前半を特別大会で開催する関係かな。いろいろ考えているそうなので、今後の発表を楽しみにして、まずは最後のスーパーカップを楽しもう。
ヴィッセルの布陣は4-3-3。佐々木をトップに、WGは右に飯野、左にマリノスから加入した小池が入る。中盤は齊藤未月をアンカーに、右IH山内、左IH富永。ただし、富永が前目の位置を取り、山内が守備的に下がって齊藤とダブルボランチの形になることも多い。DFは右SB日高、左SB本山。岩波と山川のCBに、GKは新井章太。齊藤未月が1年半ぶりにピッチに戻ってきた。ミッドウィークにACLEのゲームがあるからか、大迫や武藤らはベンチスタートだ。
対するサンフレッチェは3-4-3の布陣。ジュビロから加入のジャーメイン良をトップに、加藤陸次樹とトルガン・アルスランがシャドーに入る。中盤は、18歳の中野洋太朗とベルマーレから移籍の田中聡。WBは右に中野、左に東。CBは右から塩谷、荒木、佐々木。GKは大迫。満田や川辺はベンチスタートだが、同じくミッドウィークにACL2のゲームを控えるにしては、ベストメンバーに近い布陣を組んできた。
序盤、サンフレッチェの方がより積極的に攻めてくる。6分、CH中島から大きく左に展開すると、左WB東が落とし、左FWトルガイの落としを左CB佐々木が前に運んでクロス。これはゴール前を通過するが、8分には左FWトルガイのクロスにCFジャーメインがヘディングシュート。サンフレッチェが攻めていく。そして12分、CH中島から右に流すと、右WB中野が落とし、右CB塩谷の縦パスに右WB中野が持ち上がると、クロスに左FWトルガイがヘディングシュート。これがバーに当たってラインを割る。ゴール。サンフレッチェが先制点を挙げた。
その後もサンフレッチェが優勢。23分、左FWトルガイがミドルシュートを放つと、23分には、CH田中の縦パスに右CB塩谷が走り込み、クロスにCFジャーメインが飛び込む。CB玉川が先に触ってクリアするが、今度は左サイドから、左WB東のクロスに、右WB中野がヘディングシュート。右FW加藤が飛び込むが、ゴールには押し込めなかった。
ヴィッセルは33分、左WG小池のCKにCB山川がヘディングシュートするも、GK大迫がキャッチ。39分、CH齊藤のミドルシュートもGK大迫がキャッチする。サンフレッチェは41分、右WB中野のロングスローからCFジャーメインがヘディングシュート。45分には右WB中野のロングスローにDFが先に触るも、十分クリアできず、CB荒木がヘディングシュート。GK新井がセーブした。前半はここまで。サンフレッチェの1点リードで折り返した。
後半立ち上がり、ヴィッセルは飯野を右WG汰木に入るが、サンフレッチェの優勢は変わらない。9分にはCKのクリアからCH田中聡がミドルシュートを放つ。ようやく10分、CF佐々木のポストプレーから右IH山内がドリブルで持ち上がり、右WG汰木とのワンツーでさらに前進。ミドルシュートを放つが、GK大迫がナイスセーブする。しかしその直後のCKからサンフレッチェがカウンター。CH田中聡がドリブルで運び、左FWトルガイのスルーパスにCFジャーメインが走り込んでシュート。しかし枠には収められなかった。17分には、左FWトルガイから左に展開。左WB東のクロスのクリアを右FW加藤がボレーシュート。これはGK新井の正面を突いた。
なかなか展開を変えられないヴィッセルは19分、ついにCF大迫、右WG武藤、左SB酒井高徳を投入する。代わったのは、佐々木と小池、本山。さっそく21分には、左に流れたCF大迫からのクロスに、左IH富永がヘディングシュート。しかしGK大迫がキャッチした。すると24分、左FWトルガイの縦パスを受けたCFジャーメインがPA手前でCB岩波に倒される。FKの前にサンフレッチェも、田中聡をCH川辺、東を左WB菅に交代。CH中島が蹴ったFKは壁にはね返されたが、続く左WB菅のCKにCB荒木が走り込んで、高さのあるヘディングシュート。これがネットを揺する。サンフレッチェが追加点を挙げた。
大迫と武藤を投入したヴィッセルだが、サンフレッチェの強度のあるプレスにパスの出どころを抑えられ、なかなか前線にボールが入らない。31分、サンフレッチェは、このゲーム、よく活躍した左FWトルガイに代えて、大卒ルーキー中村草太を投入する。すると32分、左WB菅の縦パスに走り込んだ左FW中村のクロスを右FW加藤が落とし、CFジャーメインが収めて、CH中島の縦パスを受けた右FW加藤が胸トラップからオーバーヘッドシュート。しかし枠は捉えられなかった。左FW中村は41分にも、CH中島のスルーパスに抜け出し、シュート。これはGK新井に止められた。
40分、ヴィッセルは日高に代えて右SB鍬先。サンフレッチェも44分、中野と加藤に代えて、右WB新井直人、右FW越道を投入する。45+1分、DFラインからのフィードをCF大迫が収めて、反転からシュート。ネットを揺らしたが、これはオフサイド。逆に45+6分には、右WB新井のクロスからCFキャーメインが左に流し、左WB菅がミドルシュート。これはGK新井の正面を突いたが、ここでタイムアップ。2-0。サンフレッチェの完勝。今季最初のタイトル、スーパーカップを獲得した。
サンフレッチェは、新規加入のCFジャーメインにCH田中聡がよくチームになじんで機能したし、左FWトルガイと若いCH中島もよく活躍をしていた。荒木を挟んで、佐々木と塩谷の経験のあるCBは鉄壁だし、右WB中野も昨季から続いてそのパフォーマンスは高い。さらに途中出場した左WB菅と左FW中村も機能しそうだ。昨季以上にチーム力は確実にアップしている。
一方、ヴィッセルは、大迫や武藤らが途中からの出場。他にも、扇原やトゥーレル、前川らが出場せず、もっぱら若手選手を優先して起用したことを思えば、この結果は想定内だろう。最後の春秋開催となる今季はやはり夏をいかに乗り越えるかがカギ。そうなると層の厚さは不可欠。その点でもサンフレッチェ相手に若手主体で互角に戦った結果は自信になる。さて、これらの優勝候補とグランパスはいかに戦うことができるか。マテウスも復帰し、選手数が余り気味ではないかと思ったグランパスだが、そのくらい人数を揃えないと、ヴィッセル、サンフレッチェとは互角に戦えないかな。そんなことを思った。いや、まずはサンフレッチェに、スーパーカップ優勝おめでとうと言っておこう。