とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ラ・リーガ第36節 バルセロナ対レアル・マドリード

 先日、リバプールのゲームを観たが、続いてCL決勝の相手、レアル・マドリードのゲームを観た。相手はバルセロナエル・クラシコだ。前節、優勝を決めたバルセロナがメッシ、スアレスコウチーニョの3トップ。イニエスタラキティッチブスケツの中盤。セルジ・ロベルト、ピケ、ユムティティ、ジョルジ・アルバの4バック。そしてGKテアシュテーゲンとベストメンバーを揃えれば、レアルもCL準決勝の激闘から中4日という日程ながら、ベンゼマ、ベイル、クリスティアーノ・ロナウドの3トップが先発。中盤はカゼミーロをアンカーにクロースとモドリッチ。そして右からナチョ、セルヒオ・ラモス、バラン、マルセロの4バック。カルバハルがケガで欠場の中、ルーカス・バスケスはベンチに置いて、ナチョが先発した他は、ほぼベストメンバー。エル・クラシコに臨む両チームの気概を感じる。

 序盤はホームのバルセロナがパスをつないで攻めていく。4分、CFメッシのスルーパスに左FWスアレスが抜け出してシュート。だがDFがブロックする。しかし10分、左FWスアレスから右に展開すると、右SBセルジ・ロベルトのクロスにスアレスが走り込んでシュート。これが決まり、バルセロナが先制点を挙げた。スアレスの内側でメッシが猛スピードで走り、DF二人を引き付けたのが大きかった。13分にも右FWコウチーニョの縦パスに右SBセルジ・ロベルトが走り込み、クロスに左FWスアレスが迫る。だがGKナバスがナイスセーブ。レアルも何とか守り切る。

 すると15分、レアル・マドリードは左IHクロースのドリブルから、左に流して、左FWクリスティアーノ・ロナウドがポスト。ヒールで落とすと、左IHクロースのクロスをCFベンゼマが丁寧にヘディングで落として、ロナウドがシュート。見事な連携ですぐに同点に追い付いた。レアルの攻撃がなかなか前まで行かないなと思っていたが、いったん前に走り出したら最後まで持っていく爆発力はさすが。その後もレアル・マドリードは左右に大きくサイドチェンジをしてバルセロナの守備を揺さぶっては攻めていく。24分、右SBナチョのクロスに左FWロナウドがヘディングシュート。26分、CFベンゼマのクロスに左IHクロースがミドルシュート。27分には右IHモドリッチのスルーパスに左FWロナウドが抜け出してシュートを放つが、GKテアシュテーゲンがセーブした。

 28分、左IHクロースのスルーパスに抜け出した左FWロナウドのシュートはわずかにポストの右。38分、左SBマルセロのクロスに左FWロナウドがヘディングシュート。40分、CFベンゼマミドルシュートバルセロナもようやく42分、右FWコウチーニョのスルーパスにCFメッシが走り込むが、GKナバスがうまく飛び出してセーブする。しかし45分、序盤からやり合っていたFWスアレスとCBラモスがついに爆発。両者イエローカードをもらうと、その直後にはメッシが報復的なスライディングをラモスに仕掛けて、こちらもイエローカード。そしてアディショナルタイム、左SBマルセロの肘を使ったプレーに怒った右SBセルジ・ロベルトが報復のパンチを繰り出す。主審が見ていて一発レッドカード。バルセロナは前半終了間際、一人少ない状況になってしまった。

 そこで後半頭からバルセロナは、コウチーニョを下げて右SBセメードを投入。4-3-2の布陣にする。一方、レアル・マドリードクリスティアーノ・ロナウドを前半だけで下げて、代わりにアセンシオを投入した。2分、左IHイニエスタからボールを奪った左SBマルセロがドリブルからミドルシュート。後半は一人多くなったレアル・マドリードが積極的に攻めていく。7分、右IHモドリッチの縦パスに走り込んだFWアセンシオがシュート。しかしこれはGKテアシュテーゲンがキャッチすると、すぐにカウンター。FWスアレスが左サイドでボールを受けるとそのままドリブル。途中、CBバランを倒した場面はファール気味だったが、そのまま突破して横へパスを送ると、FWメッシが切り返しでDF二人をかわしシュート。右ポストぎりぎりを抜いて、バルセロナが勝ち越し点を挙げた。2-1。

 その後はレアルの攻撃がなかなか形にならない。バルセロナは13分、今季限りでの退団を発表したイニエスタに代わりパウリーニョを投入する。レアルも23分、右SBナチョに代えてルーカス・バスケス。攻撃力を高める。25分、FWスアレスのダイレクトパスにFWメッシが走り込んでシュート。しかしGKナバスがナイスセーブ。すると27分、FWアセンシオの縦パスに走り込んだFWベイルが豪快なミドルシュート。これがきれいにカーブを描いてゴールネットに突き刺さった。レアルが同点に追い付いた。それまでボールに触る機会が少なかったベイルだったが、決定的チャンスとなれば豪快さは健全だ。

 その後はレアルが36分、左SBマルセロのサイドチェンジを右SBルーカス・バスケスが落とし、右IHモドリッチミドルシュート。これは枠を外す。バルセロナも37分、右IHラキティッチのパスからFWメッシが持ち出してシュート。続くCKにCBピケがヘディングシュートを放つが、これも枠を捉えられなかった。最後はレアルがセルヒオ・ラモスをFWに上げて攻め立てたが、バルセロナの守備は崩れず。結局、2-2でドローに終わった。

 それでも楽しいゲームだった。お互いの選手の技、読み、力強さ。どれをとっても最高級。中でもやはりメッシとスアレスクリスティアーノ・ロナウドは抜けている。後半ロナウドがいれば、レアルがゴールを挙げていたかもしれないが、レアルもそこまで無理する必要はない。CL決勝に向けての温存だろう。ああ、楽しかった。ところでイニエスタは本当にヴィッセルに来るのだろうか。ヴィッセル側は否定しているが、サッカーファンとしては是非Jリーグで見てみたい。今季のヴィッセルはいい内容のサッカーをしているだけに、さらに大きく前進する大補強になるはずだ。もし実現したら、ぜひ観戦に行かなくては。

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

 司馬遼太郎の作品を吟味し、歴史的事実と虚構とを腑分けしつつ日本史に迫る本かと思っていたら、全然違った。司馬良太良の代表的な作品、「国盗り物語」「花神」「坂の上の雲」「この国のかたち」などを取り上げて、戦国時代、幕末、明治、戦前の各時代を司馬遼太郎はどう捉えていたのかを学ぶ。だから「『司馬遼太郎』で学ぶ日本史」というよりも、「『司馬遼太郎』が考えた日本史」といった方が正しい。

 磯田氏も司馬遼太郎を楽しく読んできたことがわかる。司馬遼太郎だけでなく、海音寺潮五郎吉村昭池波正太郎山田風太郎などの歴史小説や時代小説もよく読んでいる。さすが歴史家。ちなみに、歴史文学には、史伝文学、歴史小説、時代小説の3種に分けられるという序章の記述も興味深い。司馬遼太郎が書いたのは歴史小説。そして司馬遼太郎の多くの小説は、高度経済成長という時代背景に文庫本という形で大量に発行され、日本人の歴史観を作った。

 私もこれまで多くの司馬遼太郎作品を読んできた。中には二度・三度と読み返した本もある。中でも最も影響を受けたのは「街道をゆく」のシリーズではなかったかな。今ではもう司馬遼太郎の新しい作品を読めないことは寂しい。が、読み損なった作品を今、改めて読もうという気にはなれない。やはり司馬遼太郎の作品は、当時の時代背景と一体となって、そうした時代背景ゆえに書かれたという気がする。その意味では、磯田氏には、司馬史観を説明するだけでなく、そこから一歩先、その後の歴史研究で明らかになったことまでも踏み込んで書いてほしかった。司馬作品は懐かしいけれど、今は磯田史観をこそ読んでみたい。次の作品に期待しよう。

 

「司馬?太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)

「司馬?太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)

 

 

○司馬さんがこの物語で描きたかったのは、その後の日本、あるいは日本人の在り方のふたつの側面だと思います。/ひとつは、合理的で明るいリアリズムを持った、何事にもとらわれない正の一面。そしてもうひとつは、権力が過度の忠誠心を下の者に要求し、上意下達で動くという負の一面。・・・この二面性を持ったものが・・・戦国末期の日本にできあがりました。司馬さんは、自分に拳骨をぶつけてきた日本陸軍の「先祖」が濃尾平野から生まれてくる過程を「国盗り物語」で描ききったのです。(P54)

○聴衆の陸軍で言えば、第一段階の予言者が吉田松陰、二段階の実行家が高杉晋作、そして最後に・・・革命の果実を受け取るのが、陸軍の元帥となる山県有朋です。・・・重要なのは、革命には最初に理想主義を掲げる予言者が現れ、次に革命の実行家が現れ、最後に、その革命の果実を受け取る権力者が生まれるのですが、そのときにはもうすでに革命は腐敗が始まるということです。(P68)

○リアリズムと合理主義に従ってことをなすべきだ、なさなければならないという強いメッセージを、司馬さんはこの作品を通じて訴えたのだと思います。公共心が非常に高い人間が・・・合理主義とリアリズムを発揮したときに、すさまじいことを日本人は成し遂げるのだというメッセージと、逆に、公共心だけの人間がリアリズムを失ったとき、行き着く先はテロリズムや自殺にしかならないという裏の警告メッセージを、司馬さんは、私たちに発してくれているのではないかと思います。(P139)

○司馬さんは・・・明治という時代を江戸時代の収穫時期ととらえましたが、昭和前期という時代をよく見ると、その収穫した実が腐っていく過程にも感じられます。腐敗の原因は、明治にあったのです。日本を「鬼胎」にした正体―それは、ドイツから輸入して大きく育ってしまったもの、すなわち「統帥権」でした。(P164)

 

プレミアリーグ第37節 チェルシー対リバプール

 プレミアリーグも残すところ、最終節のみとなってしまった。第37節では5位チェルシーと3位リバプールが対戦。CL決勝進出を決めたリバプール。その攻撃サッカーを観たくて、久しぶりにプレミアリーグを観戦した。とは言ってもリバプールはCL準決勝の激戦から中3日。フィルミーノ、サラー、マネの3トップは先発したが、中盤以降は多少選手を入れ替えている。中盤はワイナルドゥムをアンカーにミルナーアレキサンダー=アーノルドがフレキシブルにポジションを変更する。右SBクライン、左SBロバートソン。CBはファンダイクとロブレンが入り、GKはカリウスが先発した。対するチェルシーはCL出場圏内の4位まで勝ち点差5。絶対勝利が欲しいゲーム。布陣は3-5-2。ジルーとアザールの2トップ。中盤はカンテをアンカーに右IHファブレガスと左IHバカヨコが並ぶ。右WBモーゼス、左WBアロンソもいつものメンバーだ。

 開始3分、IHアレキサンダー=アーノルドの縦パスにCFフィルミーノが走り込んでシュート。GKクルトワがナイスセーブで弾き出したが、リバプールのFW陣はやはり速い。チェルシーは16分、アレキサンダー=アーノルドからボールを奪った左IHバカヨコがFWアザールにつなぎ、アザールのクロスから左WBアロンソがシュート。しかしこれはGKカリウスが正面でキャッチした。18分、左FWマネのドリブルをCHカンテが追い付いてスライディングで止める。チェルシーはやはりカンテの守備が生命線。このゲームでも再三いいプレーを見せていた。24分には左FWマネが強烈なミドルシュートを放つが、GKクルトワがファインセーブで弾き返した。

 前半はチェルシーがなかなか攻撃の形が作れず、リバプールの推進力の方が優っている。30分には左SBロバートソンのパスから左FWマネがまたも強烈なミドルシュート。GKクルトワが弾いたところをCFフィルミーノが拾い、クロスをマネがシュート。GKクルトワがセーブする。しかし直後の31分、チェルシーは左WBアロンソから中へFWアザール、右IHセスク・ファブレガス、さらに右WBモーゼスとつなぎ、クロスに左IHバカヨコがヘディングシュートを放つ。そして32分、左IHバカヨコから右へのサイドチェンジを受けた右WBモーゼスが切り返してクロスを入れると、FWジルーがヘディングシュート。チェルシーが先制点を挙げた。CBファンダイクのマークがずれて、CBロブレン一人ではジルーをマークしきれなかった。

 するとここからチェルシーがペースを取り戻す。36分には右WBモーゼスの戻しから右CBアスピリクエタのクロスに右IHファブレガスがシュート。わずかにポスト左に外す。終盤はリバプールがパスをDFラインで回すばかりで、なかなか前に入れられなくなる。CHカンテの役割も大きい。チェルシーのプレスもよくなってきた。前半はこのまま1-0で折り返した。

 後半1分、右FWサラーの縦パスをCFフィルミーノが落として、サラーがシュート。だがうまく合わず、GKクルトワが難なくセーブする。するとチェルシーも2分、FWアザールの縦パスから右IHファブレガスが右に流して、右WBモーゼスがシュート。ポスト左に外すが、後半はチェルシーの方に勢いがある。特にFWアザールがキレキレ。11分にはFWアザールが4人近いDFの間を切り裂いて突破すると、シュート。GKカリウスがナイスセーブで弾き出したが、続くファブレガスのCKにCBケーヒルがヘディングシュート。CBリュディガーがヘディングでコースを変えてネットを揺らすが、これはオフサイド

 リバプールは14分、右SBクラインに代えて右IHヘンダーソンを投入。アレキサンダー=アーノルドを右SBに下げる。しかしFWアザールが止まらない。16分、FWアザールのドリブルから戻しを左IHバカヨコがミドルシュート。27分にもFWアザールのドリブルから、FWジルーのクロスにアザールが走り込むが、わずかに合わない。押し込まれたリバプールは29分、ロバートソンに代えてCFソランテを投入。ミルナーが左SBに下がる。カンテとヘンダーソンが並び、フィルミーノがトップ下に下がる4-2-3-1の布陣。だが、チェルシーの勢いはなかなか止められない。34分には右WBモーゼスのクロスに左WBアロンソが強烈なボレーシュート。しかし枠は外した。

 終盤になってチェルシーは41分FWウィリアン、44分右WBザッパコスタ、さらにアディショナルタイムにはペドロを投入。前からの運動量を持って守備を固める。リバプールも44分、左SBモレーノを投入。43分、CBロブレンのフィードにCFソランテがヘディングシュート。49分、左SHマネのクロスにCFソランテがヘディングシュート。50分、左SHマネのクロスにCBファンダイクがヘディングシュートと終盤はリバプールが攻めるが、チェルシーの守備は崩れない。このまま守り切って1-0。チェルシーが勝利し、CL圏内の4位以内に向けて望みをつないだ。

 今シーズン不調だったチェルシーだが、1週間あけて体調も良くプレーすると、しっかりと強いサッカーを見せられる。やはり今季はマティッチの退団、そしてカンテの負傷、さらにCL出場で試合数が多かったのがきつかった。残りはリバプールが1試合。4位トッテナムチェルシーは2試合を残して、勝ち点差はわずかに3。対戦相手はどのチームも中位のチームが多い。どちらに転ぶかわからない。リバプールレアル・マドリードに勝利して、3チーム揃ってCLへ出場できるのが一番いいけれど、いずれにせよ、いよいよ今週末には最終節を迎える。