とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

医学のひよこ

「医学のつばさ」の前編。「医学のたまご」の続編。でも「医学のたまご」ってどんな話だったっけ。主人公の曾根崎薫くんが曽根崎伸一郎と山咲理恵の(生物学的)息子だということは覚えているけど、論文捏造事件ってどんなことがあったんだっけ? またそのう…

プロット・アゲンスト・アメリカ

もし第二次世界大戦前夜の1940年、ローズヴェルトが三選を果たした大統領選でリンドバーグが代わって大統領になっていたら・・・。「もしもアメリカが・・・」という副題が添えられているが、ヒトラーと懇意になり、ドイツを支持し、参戦に否定的だったリン…

服従

来年2022年はフランス大統領選の年だ。2015年に出版された本書では、2022年の大統領選にイスラーム同胞党が名乗りを上げ、その党首モアメド・ベン・アッベスが、マリーヌ・ル・ペン率いる国民戦線と一騎打ちの末、UMPや社会党などの支持も得て、またパリ近郊…

フットボール批評issue33

今号の特集は「フォーメーション」。近年、「5レーン」や「ポジショナルプレー」が最先端の戦略としてサッカー界を席巻している。フォーメーションでいえば、[4-4-2]から[4-3-3]や[3-4-3]、さらにグアルディオラの[3-2-5]に至っては、かつての「WMフォーメー…

WHAT IS LIFE?

著者のポール・ナースは細胞周期研究で2001年にノーベル賞を受賞した遺伝学・細胞生物学者。「生命とは何か」というテーマに対して、「細胞」「遺伝子」「自然淘汰による進化」「科学としての生命」「情報としての生命」の5つのステップに沿って、順次、説明…

新しい共同体の思想とは

「内山節と語る 未来社会のデザイン」3巻目は「共同体」がテーマ。だが、前半はもっぱら仏教の話が続く。ただ、単なる信仰ではなく、「維摩経」「勝鬘経」「法華経」を読む。「最近一番気に入っているのは華厳経」だと言う。私自身、仏教は経典を読む込むほ…

資本主義を乗りこえる

最近、資本主義批判が多くの知識人から聞かれるようになってきた。ピケティの「21世紀の資本」もそうだし、斎藤幸平の「人新世の『資本論』」もそうだ。内山節がこの講演をしたのは2018年だが、それ以前から資本主義が内包する問題は多くの経済学者や哲学者…

民主主義を問いなおす

哲学者・内山節は知っていた。が、著作を読んだことはない。群馬県上野村と二地域居住をし、自然とともに生きる生活を実践している。本書は、35年以上にもわたって続けられている「東北農家の二月セミナー」の2017年の報告を書籍化したもの。2019年までの3回…

迷子の魂

ノーベル賞作家オルガ・トルカチュクが書いた「絵本」というので、図書館でも児童図書コーナーの中に置かれていた。でも、これ、児童に読めるだろうか。字も小さいし、ふりがながついているとは言え、難しい漢字も使われている。大人のための絵本だろう。も…

むずかしい天皇制☆

天皇制はどう生まれ、なぜ明治維新や新憲法後も廃止されることなく存続し、どんな機能を果たしているのか。日本人にとって天皇制とは何か。社会学の大澤真幸と憲法学者の木村草太がそれぞれの知見を寄せて語り合う。 第1章は「現代における天皇制の諸問題に…

「中国」の形成☆

先に「海神の子」を読んだ。明代末期、中国南部海域で活躍した鄭成功を巡る小説である。本書はその前に購入していたが、このタイミングで本を開いた。まさに明朝末から清朝、そして現代にいたる「中国」の歴史を記した好著である。 「華」「夷」二分法の朝貢…

海神の子

直木賞を受賞した「熱源」には圧倒され、感動した。川越宗一が続いて執筆した小説が本書。鄭成功の一生を描く。名前は知っていたが、何をした人かまでは覚えていない。オランダ商館から台湾を奪還した明代末期の英雄。清に代ろうとする時にあって、最後まで…

街場の芸術論

例によって、様々な媒体に書き散らかしたエッセイや論考などを集めたコンピレーション本である。今回のテーマは「芸術」。序章は「表現の自由、言論の自由、民主主義」というタイトルで、表現や言論の自由についての考察が並ぶが、第1章以降は「三島由紀夫」…

医学のつばさ

「医学のたまご」の続編。でもどうやらひと月先に出版された「医学のひよこ」の続編らしい。道理で「医学のひよこ」の予約数が多い割に、「医学のつばさ」の予約数が少なかったわけだ。おかげで本書を先に読む羽目になってしまった。でも、本書だけ読んでも…

ほんとうのリーダーのみつけかた

私はこの本をいつ知ったのだろうか。中日新聞の書評欄を検索すると、実にほぼ1年前、昨年の8月に本書の書評が掲載されていた。昨年の7月に発行されている。それからしばらくして図書館で予約をしたのだろう。それから長い時間が経った。ようやく順番が回って…

主権者のいない国

第1章最初の論考は「安倍政権の七年余りとは、何であったか。それは日本史上の汚点である」という痛切な文章で始まる。本書は2017年以降、各種の雑誌や新聞等に寄稿した論考を集めたものである。「国体論」で戦後の75年を、それまでの国体としての「天皇」を…

アフターバブル

昨年最初のコロナショックが襲った時、国民一人10万円の定額給付金が支給され、持続化給付金等の施策が始まった頃、筆者はそれらの施策に対して批判的な議論を展開していた。私も当時「今、するべきことは生活困窮支援。ハローワークを活用すべき」という記…

女の答えはピッチにある

2021年のサッカー本大賞を受賞した。エッセイストとあり、本書がデビュー作と言うが、次作は既に出版されているのだろうか。読んでみたいが、本書を上回る本はなかなか書けないかもしれない。それほど面白い。会社員として、既婚女性として、サッカープレー…

オオカミ県

多和田葉子の新作は「絵本」。溝上幾久子氏の版画がすばらしい。でも、子供に読ませられる類の本ではないかもしれない。だって最後には「オオカミになろうぜ」と社会への反抗を煽る内容のものだから。 オオカミ県で静かに暮らすオオカミたち。そこへ都会(東…

フットボール批評issue32

今号の特集は「J2」。グランパスがJ2に降格していた時にはよく観たが、最近はすっかり観ていない。だが、リカルド・ロドリゲスがヴォルティスにポジショナルプレーを持ち込んで以降、J2のサッカーは大きく変わったと言う。そして今季の注目はアルベルト率い…

時間は存在しない☆

時間とは何か? 尽きない疑問だ。アインシュタインが相対性理論を唱えて以降、時間は速さと共に変化するということは理解した。しかし、そもそも時間とは何か。相対性理論や量子論などの本を読んでもなお、質量や物質の存在とは存在とは別に、「時間はある」…

ヘディングはおもに頭で

2021年の「サッカー本大賞」の候補作にノミネートされていた。西崎憲という作家は聞いたことはあるような気がするが、読んだことはない。ライトノベルという雰囲気。でも、落ち着いて、淡々として、読みやすい文体は好感が持てる。調べてみると、もう65歳を…

日本語を、取り戻す。

最近の政治家の言葉には本当にげんなりする。「日本語を、取り戻す。」というタイトルはもちろん、安倍前首相の「日本を、取り戻す。」をパロディったものだが、モリカケ問題を始めとして、国会で語られる言葉は、「いかに揚げ足を取られずに、逃げ切るか」…

フットボール風土記

宇都宮徹壱が地方のサッカークラブを回って取材を重ねていることは知っていた。Jクラブを目指すチーム、あくまでアマチュアの企業スポーツであり続けるチーム。色々なチームがあることは理解している。しかし、コロナ禍が続く中、サッカークラブのあり方も変…

ワカタケル

「ワケタケル」、すなわち第21代雄略天皇の物語。この小説がどれだけ古事記や日本書紀をなぞらえ、また創作が加わっているのか知らない。ただ、魅力あふれる人物として描かれる。時に短慮で人を殺め、また大王になるために兄弟や従妹を容赦なく殺す。一方で…

フットボールクラブ哲学図鑑

先に読んだ「フットボール批評issue31」に対して、「コンセプト」という言葉の意味が不明確だと批判したが、本書では「哲学」。正直、その言葉に惹かれて読み始めたが、まえがきの6行目で「書き始めてみると哲学というよりDNA(遺伝子)という方がしっくりく…

日本習合論☆

「習合」をコトバンクで検索すると、ブリタニカ国際大百科事典では「人類学用語。文化接触によって生じる2つ以上の異質な文化的要素の混在、共存のこと」、日本国語大辞典では「哲学上または宗教上で、相異なる諸種の教理や学説が融合すること」とある。普通…

不寛容論

「寛容論」ではない。「不寛容論」である。こういうタイトルにした理由が「あとがき」に書かれている。すなわち「寛容」と「不寛容」は地続きのものであり、明確に線が引かれるべきものであった。少なくとも、「寛容/不寛容」が実質的に議論となったアメリ…

フットボール批評issue31

今号のテーマは「コンセプト」。でも、サッカーにおけるコンセプトって何だ? チーム経営のコンセプトなのか、サッカー内容についてのコンセプトなのか。どういうサッカーを目指すかというのは、フロントが決めるのか、監督が決めるのか。本書を読んでも、よ…

株式会社の世界史

「『病理』と『戦争』の500年」という副題が付いている。第1部「株式会社の500年」では、東インド会社に代表される株式会社の誕生(16世紀末)からリーマンショックとグローバリズムに至る株式会社の歴史を描く。南海泡沫事件(1711年)の発生に伴う株式会社…