とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

ポリコレの正体

女性差別等がしっかり解消されない中で、LGBT等に対する施策ばかりが進んでいく状況には違和感を持っている。まるでLGBT施策に取り組んでいれば、女性差別問題のみならず、障害者や生活困窮者の問題等も解消されるかのようだ。「障害者」と言えば、「害」の…

デジタル・ファシズム

一昨年来のコロナ禍では、台湾や韓国、中国などに比べて、日本のデジタル化の遅れが指摘された。そうした状況の中、昨年5月にはデジタル庁が発足した。マイナンバーカードの普及はそれ以前から強く勧められ、昨年秋からは保険証との連携も始まった。ポイント…

言語が消滅する前に

最近出版された千葉雅也の「現代思想入門」が話題だ。でも、本の帯に載せられている写真がチャラい。ちなみに、本書の表紙も、スーツで決めた國分とジャンバーにTシャツの千葉が並んでいる。千葉雅也ってどんな人間なんだ。そういう興味で本書を読み始めた。…

現代生活独習ノート

2012年から2021年にかけて、「群像」誌で発表した短編小説8編を収録する。「現代生活独習ノート」というタイトルが示すように、いずれも日常的な日々の中の個人的な思いを綴る。だが、どの作品も日常的ではあるが、必ずしも尋常ではない。 本のタイトルと似…

奏鳴曲

北里柴三郎と森鴎外の伝記である。森鴎外はもちろん文豪として知られるが、同時に陸軍軍医の最高位・軍医総監にもなった。そのこと自体は知らないでもないが、ではどういう実績があったのかとなると、寡聞にして聞かない。二人は発足間もない東大医学部の同…

地方メディアの逆襲☆

新聞やテレビなどの既存メディアの未来を心配する声は多い。だが、地方メディアは全国紙やキー局とは違う。「現実と事実と真実」でも書いたが、全国メディアが伝える「事実」はどこまで「真実」かわからないし、それを伝えるだけであれば、方法は色々ある。…

頼朝と義時

「鎌倉殿の十三人」を毎回視聴している。大河ドラマを観るのは久し振りだ。けっこうおもしろい。やはり三谷幸喜の脚本が抜群に面白い。大泉洋や小池栄子らの演技もこのドラマを盛り上げる。源平合戦から鎌倉期に至る歴史は、歴史の授業で習いはしたものの、…

この国の「公共」はどこへゆく

文部科学省OBの寺脇氏と前川氏。その前川氏と中高時代の同級生でラグビー部でも一緒だった城南信用金庫元理事長・現名誉顧問の吉原氏の3者による鼎談の記録。寺脇氏と前川氏が長く教育行政に携わった立場から「公共」を語るのに対して、吉原氏は金融マンだが…

タリバン 復権の真実☆

昨年8月、アメリカがアフガニスタンから撤退し、再びタリバン政権が復活した。タリバン復権によるイスラーム原理主義による政治運営に対して、女性差別や女子教育の停滞などの懸念が語られたが、その後はコロナ禍やウクライナ情勢などもあって、現状のニュー…

フットボール批評issue35

特集は「サッカー4局面の解剖学」。だが、このところ冒頭に掲載される連載、「現代サッカーの教科書」と「フットボールの主旋律」では、まず4局面を否定するところから始まる。しかしそれはあくまでドイツやイングランドの最先端のサッカーの話。実際にはま…

炎上するバカ させるバカ

1年ほど前に「恥ずかしい人たち」を読んで、もう中川淳一郎を読むのは止めようかと思ったのだが、「負のネット言論史」という副題に釣られて、また読んでしまった。ネットが登場して以来、特にツイッターが一般に普及して以降の炎上の歴史を振り返る。コンビ…

遠慮深いうたた寝

エッセイ集である。神戸新聞で「遠慮深いうたた寝」のタイトルで2010年以降連載し続けているエッセイ。「物語」や創作に関するエッセイ。書評など、他の作家や作品に関するエッセイ。そしてその他のエッセイ。それらが順序良く収められている。 そして各エッ…

コロナ狂騒録☆

「コロナ黙示録」は、新型コロナ感染の第1波が収束した2020年5月までを対象とする。本書はそれ以降、自民党の総裁選が始まった9月から東京五輪開催直前の2021年7月まで。この後、これまでにない規模の第5波が始まる。本書ではそれを予測する学者が登場するが…

クララとお日さま☆

カズオ・イシグロの最新作をようやく読むことができた。 前作の「忘れられた巨人」はファンタジー。そして今度はSF。「わたしを離さないで」を思い出す。「わたしを離さないで」は人間の代替となるクローンとして育てられた少年・少女たちを描いた。一方、本…

この国のかたちを見つめ直す

加藤陽子と言えば、一昨年の菅政権による学術会議の新会員候補から除外された6名のうちの一人ということで一躍有名になった。私はと言えば、岩波新書の「シリーズ日本近現代史(5) 満州事変から日中戦争へ」を読んだ程度。その時の感想は、学術的だが当たり障…

2050年のジャーナリスト

「2050年のメディア」はとても興味深く読んだ。その筆者による似たタイトルの本というので、楽しみに読み始めた。だが、前著がノンフィクションだったのに対して、本書は「サンデー毎日」に連載しているコラムを集めたもの。他に「週刊東洋経済」と「月刊jou…

フットボール新世代名将図鑑

今、もっとも注目を集める監督と言えば、ナーゲルスマンだろう。本書では、2章「未来を担う二大巨頭」で、ナーゲルスマンとラインダースを取り上げる。ラインダースって誰?と思ったが、クロップの下でリヴァプールのアシスタント・コーチを務める38歳のオラ…

クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界☆

筆者のヤニス・バルファキスはギリシャの経済学者にして、現役の国会議員だ。2015年のギリシャ経済危機の際には、財務大臣としてEUと折衝した。これまでも経済書を何冊か執筆しているが、本書は経済学を題材にしたSF小説。いや、SFの形を借りた経済書なのか…

コロナ後の世界

いつものとおり、ブログや各種の媒体に発表した原稿などをまとめたコンピレーション本である。第1章は「コロナ後の世界」という見出しのとおり、今後の社会状況を予測する類の記事が多く集められている。だが、2章以降は必ずしもコロナ禍とは関係なく、国際…

平成史☆

10年ほど前に読んだ「中国化する日本」はめちゃくちゃ面白かった。引き続き、筆者の本を読もうと思っていたが、なかなか発行されない。そのうちに、筆者が病気で休んでいるという情報を聞いた。そしてすっかり筆者のことを忘れた頃、本書の書評が目に入った…

2021年、私が読んだ本ベスト10

今年は本を読まなかった。わずかに49冊。特に退職後、妻の相手をする毎日の中で、読書の時間が取れない。9月以降に大学の後期が始まって以降は、講義準備に追われて、さらに本を読む時間がなくなった。週2冊のペースが、いつしか2週間に1冊になってしまった…

フットボール批評issue34

今号の特集は「教養としての現代サッカー」と「新しい現代サッカーの教科書」。冒頭に、前号から連載が始まった河岸貴の「現代サッカーの教科書」と庄司悟の「フットボールの主旋律Op.2」が掲載されているが、正直、つまらない。「有効性」よりも「効率性」…

つまらない住宅地のすべての家☆

「ディス・イズ・ザ・デイ」で津村記久子を初めて読んだ。庶民的で、でも心温まる内容はすごく心地よかった。でも、他の作品を読もうとまでは思わなかった。本書を手に取ったのは、タイトルに惹かれたからだ。「つまらない住宅地のすべての家」。それは私の…

偉い人ほどすぐ逃げる

先に、開沼博の「日本の盲点」を読んで、何だこれ?と疑問を持った。結局、何が言いたいの? 素人は黙っていろということかと大いに不満を感じた。その次に本書を読んで、あまりの違いに驚いた。絶対に、武田砂鉄の方が正しい。素人は素人なりに、何を考え、…

日本の盲点

東日本大震災の後、開沼博の名前を見るようになり、何冊か本も読んだ。当時は東大の大学院に在籍していたようだが、その後、立命館大の准教授となり、そしてこの4月から東大の准教授に就任した。久しぶりに筆者の名前を見たので、思わず購入してしまった。し…

優しい語り手

2018年ノーベル文学賞を受賞したオルガ・トルカチュクの受賞講演「優しい語り手」と、2013年に来日した際に行われた講演「『中欧』の幻想は文学に映し出される」を収録したものである。「優しい語り手」では、高度情報化や文学のジャンル化などにより分断が…

蹴日本紀行☆

宇都宮徹壱と言えば、昨年発行された「フットボール風土記」でも、地方のサッカークラブを訪ね、それぞれの取組や現状などを紹介している。本書では、「47都道府県 フットボールのある風景」という副題のとおり、宇都宮徹壱が47都道府県を巡って、それぞれの…

旅する練習

昨年下半期の芥川賞で次点となった作品。だが、私は本書を「サッカー本大賞」で知ったのではないかな? 結局、こちらも受賞しなかったけれど、サッカー本大賞よりは芥川賞の方がよく似合う。サッカー少女と小説家の叔父が、手賀沼近くからカシマスタジアム近…

医学のひよこ

「医学のつばさ」の前編。「医学のたまご」の続編。でも「医学のたまご」ってどんな話だったっけ。主人公の曾根崎薫くんが曽根崎伸一郎と山咲理恵の(生物学的)息子だということは覚えているけど、論文捏造事件ってどんなことがあったんだっけ? またそのう…

プロット・アゲンスト・アメリカ

もし第二次世界大戦前夜の1940年、ローズヴェルトが三選を果たした大統領選でリンドバーグが代わって大統領になっていたら・・・。「もしもアメリカが・・・」という副題が添えられているが、ヒトラーと懇意になり、ドイツを支持し、参戦に否定的だったリン…