とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

夢はみるものではなく、かなえるもの

 2016年6月25日に放送された「100年インタビュー澤穂希」は録画して見たし、ひょっとしたらそのまま保存してあるかもしれない。やはり澤の引退はサッカー界にとって大きな出来事だったし、女子サッカーを現在の地位まで引き上げた最大の功労者と言えば、やはり澤だろう。それでインタビューに対してどんな話をするだろうかと期待したが、けっこう普通だった。

 「夢はみるものではなく、かなえるもの」。このタイトルは澤の座右の銘だという。一般向けの放送ではやはり万人向けの内容になってしまっている。そしてそれを書き起こした本ということで、基本、放送された内容とほとんど変わらない。何より字の大きさにびっくりした。内容の乏しさにも。テレビなら耐えられても、本となると映像情報がないだけにさらに希薄なものとなる。型どおりの人生訓。

 NHKもこんな商売をするんだな(PHP発行だけど)と思った。それでも売れるんだからいいもんだ。こうして読んでいる人間もいるし。記念で購入するのかな。もっとも私は図書館で借りたけど。

 

 

〇契約の打ち切りを告げられて、自分のサッカー人生が終わってしまうかも知れないという不安が募りました。・・・しかし、それが私にとってのターニングポイントになりました。すべてがマイナスではなく、逆にそれがあったから、アメリカでプレーすることにチャレンジできたのです。世界との差を感じ、もっとうまくなりたいという向上心が生まれて・・・好奇心が芽生えて、アメリカに行くことになった(P36)

〇自分の支えになったものはなんでしょうか?/家族や友達、サッカーという存在もありました。でも、私は嫌なこともすべて受け入れてしまうから。そうすると楽になるというか。それで、ここからどうしようかと考えました。出口のないトンネルはないですから、長くかかっても絶対、ここから抜けられると、いつも強い気持ちを持ってやっていました。(P45)

〇たとえ悪い出来事でも、それがチャンスを呼び寄せることはあります。だからこのチャンスを逃してはいけない、そう思ったんです。/私は迷った時には、やるという決断をするほうです。・・・やらずに後悔するより、やって失敗したら、またやり直せばいいと思うほうです。先を恐れて何もしないよりは、新しい波に乗って新しい世界にかけたいと、私は思うんです。(P62)

〇どうしたら夢をかなえられるのでしょうか?/まず、夢を見つけることから始まりますよね。・・・やっぱり目標がないと頑張れないですよね。/それで、・・・本当に自分の夢をかなえるためには、相当な時間がかかると思うんです。/10年、20年、時には30年以上かかるかも知れませんが、でも、やり続ける。やはり、継続することが大切だと思います。・・・最後にはかなうと信じています。(P135)

J2リーグ第11節 名古屋グランパス対京都サンガ

 闘莉王、小屋松、石櫃、本多。グランパスから移籍した選手のうち、実に4人が先発に名を連ねるサンガ。闘莉王はFW起用で3試合連続得点中だ。そしてその間、2勝1分け。順位は17位ながら上昇機運にあって怖い相手。左SH岩崎はU20代表に選出されたばかりだ。対するグランパスは永井と内田が前節のゲームでケガを負って欠場。櫛引が戻って3バックの左に入り、左WBには田鍋。そして杉森がFWで起用された。

 トヨタスタジアムは最上階までサポーターで埋まり、ほぼ満員の状況。そんな中、開始1分、サンガのFWオリスが右に流し、右SH小屋松の落としから右SB石櫃がミドルシュートを放つ。グランパスから移籍の選手たちが勢いをもってゲームに入った。5分にはFKからFWオリスがボレーシュート。オリスは体格もよく、闘莉王と並ぶ2トップは迫力がある。また小屋松と岩崎の両SHも小柄ながら速く、裏を狙ってよく走る。二人は京都橘高校の先輩・後輩だ。

 グランパスは7分、田口のFKがゴールを襲うが、GK菅野がナイスセーブ。菅野はこの日が33歳の誕生日だ。グランパスが細かいパスをつないでボール保持率は高いが、なかなかシュートまで持ち込めない。膠着した状況が続く。20分、左SH岩崎のミドルシュートはGK楢崎がキャッチ。30分には左CB櫛引のミスからCKを与えると、FWオリスがシュート。さらにSH岩崎のクロスにFW闘莉王が待ち構えるが、その手前でDFがクリアした。続く石櫃のCKにFWオリスがヘディングシュート。サンガの方がチャンスは多い。

 そして40分、PA手前でFWオリスとCBシャルレスが競って、FKの判定。少し動かしたボールをFWオリスが強烈なミドルシュート。GK楢崎、一歩も動けず。サンガが先制点を挙げた。41分には長いFKからFWオリスが落としたところを右SH小屋松がシュート。これはGK楢崎がファインセーブ。しかし前半はサンガの1点リードで折り返した。

 反撃をしたいグランパスは後半頭から田鍋に代えてFWフェリペ・ガルシアを投入。杉森を左WBに回す。2分、田口のやや緩慢なプレーからパスをCH吉野に奪われ、戻しのクロスをFWオリスがシュート。しかしこれはGK楢崎が正面で抑えた。グランパスは後半もパスを回すが、なかなかシュートまでいけない展開が続く。それで12分には左WB杉森に代えて杉本を投入。13分、右WB宮原が強烈なミドルシュート。ポストに弾かれたボールはGK菅野に当たって外に弾かれる。15分、FW玉田がCH和泉とのワンツーからミドルシュートを放つが、GK菅野がキャッチする。そして24分、CH和泉の縦パスをCFシモビッチが落として、CH田口がミドルシュート。これがDFに当たって、あわやゴール。GK菅野がナイスセーブで弾くが、頭をポストに打ち付けてしまった。しかし気迫で立ち上がる菅野。やはり誕生日を黒星で終えるわけにはいかない。

 29分にはCH和泉のクロスをFWフェリペ・ガルシアが落とし、FW玉田がシュート。しかしDFにブロックされる。次第に時間がなくなってくる。グランパスがパスを回すが、サンガの守備の集中力は衰えない。なかなかシュートまでいけない。逆にパスを奪われ、サンガのカウンターを浴びる。39分、FW闘莉王から右に展開し、CH伊東のクロスに左SH岩崎がシュート。何とかDFがブロックした。

 サンガは40分、FWオリスに代えてイヨンジェを投入。前線に運動量を加える。グランパスも41分、CB櫛引に代えて右WB八反田を投入。宮原を右CBに下げる。そしてアディショナルタイムに突入。GK菅野の治療もあって5分と長いアディショナルタイム。すると46分、左WB杉本がゴール前に入れたクロスをDFがクリアするが、FWシモビッチが収めて、反転からシュート。これが決まり、グランパスが同点に追い付いた。

 その後、アディショナルタイム4分には、右WB八反田のクロスにFWフェリペ・ガルシアがヘディングシュート。これはGK菅野がセーブ。サンガも5分、左SB本多がドリブルで持ち上がり、スルーパスにFWイヨンジェが抜け出しシュートを放つが、サイドネット。そしてタイムアップ。1-1。何とか土壇場でグランパスに持ち込んで、ドローで終わった。

 よかった。サンガは移籍した選手たちが気持ちを見せて、よく戦った。一方、グランパスは攻撃がまだまだ。このゲームではケガ明けの和泉がよく戦ったが、田口の出来がイマイチ。前半は杉森がFWで攻撃的に動いたが、やはり力強さは今一つ。田鍋もやはり攻めきれない。まだまだ多くの選手を試している段階だろうが、永井、内田、佐藤とケガ人が多い中で、何とかみんなで風間監督のサッカーを実践しているが、結局ゴールはアバウトなクロスからというのが皮肉だ。次はモンテディオトリニータとJ1を経験したチームとのアウェイ戦が続く。ここは何とかうまく乗り切っていきたい。

プレミアリーグ第35節 トッテナム対アーセナル

 残り5試合となって首位チェルシーとの勝ち点差は4。先にゲームのあったチェルシーが勝利したこともあって、トッテナムにとっては絶対に負けられないゲーム。しかも相手は宿敵アーセナル。リーグ終了後に改修工事に入るということで、現在のホワイトハートレーンノースロンドンダービーを戦うのは最後のゲーム。対するアーセナルもCL圏内に勝ち点差5の6位。ベンゲル監督になって21年、未だ5位以下になったことはない。監督の去就も気になるが、8連勝中のトッテナムの好調ぶりを楽しみにした。

 開始1分、CFケインがミドルシュートを放つ。GKチェフがナイスセーブ。トッテナムのこのゲームに賭ける気持ちを感じる。その後もトッテナムのプレスが早い。6分にはOHエリクセンのCKにCBアルデルウェイレルトがヘディングシュートを放つ。アーセナルは押し込められてなかなか攻撃に入れない。10分過ぎにようやく左WBギグスがゴール前まで走り込むが、GKロリスがセーブして結局シュートが打てない。

 アーセナルは珍しく3バック。前節から採用しているそうだが、コシエルニを中央に、モンレアルとガブリエルパウレスタが左右のCB。左WBギブス、右WBオクスレードチェンバレンは攻撃的だ。だが、トッテナムの両サイドに押し込められて、5バックで守る時間が長く続く。特に左SBデービスが積極的だ。

 22分、CFケインのクロスに右SHアリがヘディングシュート。25分、CHワニャマの縦パスに左SHソンフンミンが抜け出して、右WBオクスレードチェンバレンを切り返しで置き去りにしてミドルシュートを放つ。DFのはね返りをOHエリクセンがシュート。わずかにバーの上を越える。アーセナルも26分、左FWサンチェスがミドルシュートを放つが、なかなかCFジルーやサンチェスにパスが回らない。38分にはCHラムジーミドルシュート。GKロリスがナイスセーブ。44分、左FWサンチェスがミドルシュート。ようやく前半終盤になってアーセナルが盛り返すが、ゴールには遠い。アディショナルタイムにはCBフェルトンゲンミドルシュートがゴールを襲うが、GKチェフがナイスセーブではね返した。前半はスコアレスだが、圧倒的にトッテナム優勢で終わった。

 後半3分、右SBトリッピアのクロスにCHワニャマがミドルシュート。GKチェフがナイスセーブで弾き出すと、続くショートCKから左SHソンフンミンがシュートを鋭い放つ。サイドネットに突き刺さる。後半もトッテナムアーセナルのゴールに襲いかかる。アーセナルも7分、CKのこぼれからCFジルーがシュートを放つが、枠は捉えられない。

 そして10分、CFケインがポストプレーで粘ると、右SHアリがドリブルで前へ持ち出し、OHエリクセンが切り返してミドルシュート。GKチェフがはね返したこぼれ球をOHアリがシュート。ついにトッテナムが先制点を挙げた。するとさらに13分、今度はCFケインがPA内で仕掛けたところを右CBガブリエルパウリスタの足が掛かって倒れる。このPKをケインが強烈にネットに突き刺し、すぐに追加点を挙げる。GKチェフ、一歩も動けず。

 こうなると完全にトッテナム・ペース。アーセナルは20分、CHジャカに代えてFWウェルベックを投入するが、ワルベックがボールを触ることもほとんどない。23分、CKのこぼれからCHワニャマが落として、CBフェルトンゲンが強烈なミドルシュート。GKチェフがファインセーブで弾き出す。30分にはガブリエルパウリスタに代えて、右SBベジェリンを投入。4バックに戻して何とか反撃を試みるが、トッテナムの勢いが止まらない。

 32分にはCHワニャマがパスカットからドリブルで前に運び、クロスにCFケインがシュート。GKチェフがナイスセーブ。続くエリクセンのCKにCBアルデルウェイレルトがヘディングシュート。しかしこれもGKチェフがファインセーブで弾き出す。GKチェフは相変わらずのプレーを見せるが、後半になっても衰えないトッテナムのプレスの前に、とにかく攻撃が機能しない。トッテナムは34分、ソンフンミンに代えてデンベレ。次第に守備モード。

 アーセナルは36分、CFジルーに代えてウォルコットを投入する。41分、CHラムジーからFWウォルコットミドルシュート。しかしGKロリスが正面でキャッチ。結局、最後までトッテナムが押し切って、2-0で勝利。点差以上のトッテナムも完勝だった。

 これで9連勝。だがチェルシーとの差はまだ勝ち点4。残り4試合。トッテナムは対戦相手にマンチェスター・ユナイテッドを残すなど、チェルシーに比べて厳しいが、最後まで戦ってくれるだろう。それより何より、ノースロンドンダービーに勝利して、1995年以来久しぶりにアーセナルよりも上位の順位になることが確定した。そのことをサポーターは喜んでいたようだ。こんなライバル同士の歴史があるのもプレミアリーグの楽しみの一つだ。