とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

若さ・速さのドイツが老獪イングランドを蹴散らす このまま「エジルの大会」となるのか

 ラウンド16、2日目は好ゲームが二つ。11時キックオフのドイツvsイングランド戦は生テレビ観戦。5分、エジルのシュートがGKを襲うが、これがその後のゲーム展開の予兆になるとは思わなかった。
 先制点が入る20分まで、がっぷり四つに組んだ期待どおりの好ゲーム。イングランドがボールを回し、ドイツは中央を厚くがっちりと守り、カウンターを狙う。20分、GKノイアーからのボールをクローゼが受けて、アプソンと競り合いながらそのままゴール。あっという間の先制点だった。GKジェームズが一瞬出るのを躊躇したのが命取りとなった。
 イングランドも25分、バリーがミドルシュートを放つが、遠目からのシュートしか打たせてもらえず、中央はしっかりとドイツ守備陣が締めている。31分、ミュラーエジルとのパス交換からクローゼにスルーパス。シュートはGKがセーブ。ドイツは選手がよく走って、離れた選手間で速くて大きいパスをワンタッチでつなぎ、イングランド選手を振り回してカウンターを狙う。イングランドも31分、右サイドG.ジョンソンのアーリークロスにデフォーがヘディングで合わせるが、惜しくもバーを叩きゴールならず。しかもオフサイド
 32分、エジルからクローゼ、ミュラーとつなぎ、最後はポドルスキーがシュート。GKの股の下を抜けた。あっという間に2-0。場内に衝撃が走る。
 イングランドはそこから必死の反撃。35分、ミルナーのクロスをランパードがシュート。これはGKとDFにクリアされるが、37分、CKからジェラードが上げたクロスにアプソンが高い打点のヘディングシュート。1点を返す。
 そして問題のシーン。38分。ゴール前の混戦からランパードがふわりと打ったシュートはGKの上を越え、バーに当たりゴール内の地面にバウンドして再びバーに当たってGKの腕に収まった。しかし審判はノーゴールの判定。多くのサッカーファンの頭には、W杯1966年イングランド大会決勝イングランドvsドイツの疑惑のゴール事件が去来した。あの時ゴールの判定を得たイングランドが44年ぶりのこのゲームでノーゴールの判定。44年の月日を経ての貸し借りの返済と思えば仕方ないか。
 しかしあの時も疑惑のゴールの後、イングランドが追加点を挙げて、有無を言わせぬ勝利を確定した。そしてこのゲームでも・・・。
 あのゴールが入っていれば・・・。イングランド選手は復讐の気持ちを滾らせて後半戦に臨んだのか。7分、ランパードのFKは本田のようには落ちきらず、またもバーに当たり跳ね返る。次第に前半と同様、イングランドがパスを回すが決定機まで至らないじりじりした展開となってくる。14分、ポドルスキーのクロスにミュラーがシュート。17分、ルーニーのスルーパスにデフォーが走り込むが届かず。
 そして22分、FKからのカウンターからミュラーシュバインシュタイガーとつないで、最後はミュラーがシュート。追加点。さらに25分、CKのカウンターからエジルがバリーを置き去りにしてミュラーにパス。シュート。4-1。ノーゴールの判定ミスを吹き飛ばす圧倒的なスピード、若さ、攻撃力。
 27分には得点を上げたミュラー、クローゼをさっさと交代して前線からの運動量を増し守備を固める。38分にはエジルも交代。逆にイングランドは、J.コール、ヘスキー、ライトフィリップスを投入するが、最後まで連携は戻らず、敢えなくベスト16で敗退した。
 ルーニーランパード、ジェラード、A.コール、G.ジョンソン・・・圧倒的なメンバーを揃えていたにも関わらず、ルーニーを除き、彼らが高齢化し、若手のバリー、ミルナーヘスキー、デフォーらをリンク役に従えようとしたが、最後まで連携を欠き、その輝きを引き出すことができなかった。
 対するドイツは、エジルミュラーボアテングらの若手の力を、シュバインシュタイガーやラーム、クローゼ、ポドルスキー(まだ25歳だけど)らの前大会経験者組が支え、その能力と輝きを十全に引き出していった。
 若さ、速さ、輝き。W杯はこうした事前の想定以上の戦力をいかに引き出すことができるかが勝負かもしれない。イングランドはその点で勝利者に値せず、ドイツは優勝まで続く可能性を見出した。このゲームはその後「エジルの大会」と呼ばれる象徴のゲームとなるかもしれない。次のアルゼンチン戦が楽しみだ。