とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯のキーマン同士の意地の決戦

 遠藤と阿部というW杯日本代表のキーマン同士の対戦は、二人がW杯での意識の高さをそのまま持ち込んだプレーを披露し、締まった面白いゲームとなった。
 6分、ポンテのパスを久しぶりに復帰の山田直輝がダイレクトでシュートを放つと、9分には宇佐美がドリブルからシュートを狙う。宇佐美は14分にも橋本からのクロスをシュート。ここは平井に当たってゴールならず。
 ガンバのツートップは平井と宇佐美。歴代、他チームで活躍した強力な外国人ストライカーを移籍で獲得しトップに据えてきたガンバだが、チョ・ジェジンイ・グノという二人の韓国人ストライカーを控えに追いやり、若い和製ツートップを見られるのは新鮮で嬉しい。しかし、二人ともなかなかチャンスを決めきれない。特に平井はリーグ戦の強敵相手の出場で少し気負いがあったか。少し残念。
 先制点は突然やってきた。18分、エジミウソンからポンテに流し、右サイドを上がった平川のクロスを走り込んだエジミウソンがヘッド。遠藤がなんとかカバーしようとしたが、DF陣は両サイドに引き出されフリーの状態。レッズのカウンターが見事だった。
 先制された直後の20分には、遠藤のドリブルから宇佐美、遠藤がポストに入り、橋本がシュートを打つもDFに当たる。23分には橋本のパスにゴール前に走り込んだ遠藤が反転してシュート。GKにセーブされたが、W杯疲れもなくピッチ全体をよく走り回り、ガンバの攻撃をリードする遠藤の姿は頼もしい。
 レッズも阿部が積極的。守りはもちろん攻撃にもよく上がってレッズの攻撃をサポートするが、なにぶん、レッズ攻撃陣の連携がイマイチ。27分、28分と田中がドリブルからミドルシュート、クロスと動きまわるが周りの連動がない。山田直輝もほとんどボールに絡まず、エジミウソンが下がってボールを触る場面とポンテの苦し紛れのパス、そして阿部がつなぎに入る場面ばかり目につくが、そこから前の連動性が見られない。
 逆にガンバは41分、橋本から平井が戻したところをルーカスがミドルシュート。44分には平井が宇佐美とのパス交換から抜け出す。そしてロスタイム1分。遠藤のDF数人の間を斜めに抜ける見事なスルーパスに宇佐美が身体をうまく使いながら抜け出してシュート。ついに同点に追いついた。レッズはロスタイム3分、阿部のFKのチャンスがあったがGKがセーブ。前半は1-1で終わった。
 後半もガンバ・ペース。3分、宇佐美、平井とつなぎ、遠藤がミドルシュートを放てば、8分にも遠藤がドリブルからミドルシュート。11分、橋本のスルーパスに平井が飛び出すがオフサイド。12分にもカウンターから橋本のパスに平井がシュート。さらには14分、ルーカスから宇佐美がシュート。さらにルーカスのミドルシュート
 そして20分、ガンバが押し込んだ場面から、遠藤が左サイド深くへ走り込んだ安田をめがけて右足アウトで山なりのスルーパスを蹴ると、CBの山田が精いっぱい身体を伸ばしてクリアしたボールは頭で弾んで、前に出ていたGKの上を越えてゴールに飛び込んでいった。オウンゴール。ついにガンバがリード。21分には遠藤のFKを阿部がクリアする場面も見られた。
 が22分、ルーカスが厳しいタックルを一発レッドに取られ退場。ルーカスはかなり興奮していたが、もちろん故意ではないし、やや厳しい判定とは思うが仕方ない。しかしこれでガンバの守りがはっきりして逆にやりやすくなった感じ。レッズも柏木、宇賀神、原口と攻撃的な選手を一気に投入して反撃を試みる。
 31分、平川が切り返しからミドルシュート。33分、ポンテのスルーパスに原口がシュート。39分にはゴール前でエジミウソンがシュート。しかし守りが整理されたガンバの前に、どうしてもゴールにならない。このままガンバガ勝利と思ったロスタイム3分。柏木が蹴ったCKにエジミウソンがヘディング・シュート。ガンバDF二人がかぶった後ろでエジミウソンが強烈に上半身を振って、レッズが得点するならこれしかないという得点。
 あそこまでリードしていたのにもったいない、でも仕方ない、と思ったのは、ガンバに遠藤に誠に申し訳ない。彼らはそれでも勝利を諦めていなかった。再開キックオフ直後のロスタイム4分。遠藤から左サイドを上がった武井にパスが出てクロス。これを途中交代のイ・グノが落として遠藤がシュート。なんとタイムオーバー数秒前に再びリードの勝ち越し点。W杯から続く遠藤の勢いが引き寄せた勝利だった。
 レッズvsガンバと言えば、一昨年まではゴールデン・カード。それぞれのチームを率いる遠藤と阿部のW杯戦士。さらにレッズには山田直輝、原口、ガンバには平井、宇佐美の若手成長株がいる。これ以上ないメンバーにこれ以上ないゲーム展開。その差を分けたのはやはりチームの成熟度、連携度の差だった。ここまで8位とまだまだ中位に沈むが、遠藤が引っ張るガンバは今後見過ごせないと思うに足る出来だった。