とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

FIFA腐敗の全内幕

 今まさにクラブワールドカップが日本で開催されている。本書の中でクラブワールドカップを開催中に寿司パーティーをやる場面があった。FIFAの面々は今頃、バルセロナサンフレッチェの活躍を肴にどんな食事をしているのだろう。多くの役員が逮捕された中、ブラッター会長は誰と食事をしているのか。いったい誰が未だにFIFAに残っているのか。

 それでもクラブワールドカップは予定どおり開催されている。サッカーが、ワールドカップがこの世界からなくなったら多くの人々が嘆くだろう。多くの人々が生きがいをなくすだろう。生きるすべをなくす人もあるだろう。いまやサッカーは世界の多くの人々にとって人生そのものとなっている。だからこそ、そのサッカーを食い物にして私腹を肥やしてきたアヴェランジェやブラッターテイシェイラ、その他の人々に怒りを覚える。

 本書を読むと改めて、彼らがいかに強欲で、いかにすごい不正を重ねてきたかに震撼とする。その累計は数百億円で足りるだろうか。ようやくそれが明るみに出ようとしている。プレミアリーグを見ればわかるとおり、いまやサッカーと金は切っても切れない関係にある。一方で女子サッカーなどはリーグの運営すらままならない状況の国も多い。ブラッターらが私物化した金のいくらかでも真にサッカーを欲する人の元に届けられていたならと思う。FIFAはこれで浄化されるだろうか。徹底した追求と情報公開が求められる。まずは来年2月の会長選に注目したい。

 

FIFA 腐敗の全内幕

FIFA 腐敗の全内幕

 

 

テイシェイラは6年間で、FIFAから少なくとも950万ドル横領した。強欲なブラジル人は、ISLが倒れるまでその血を搾り取った。・・・テイシェイラとアヴェランジェはISLが末期的状態にあったことを、知っていただろうか。・・・数年のあいだに彼が盗み取った金は、4500万ドル以上に達した。・・・わかっているだけで、その額なのだ。(P95)

トリニダードの歴史教師だったワーナーは・・・1983年にFIFA理事会の席を確保した。リオの組織犯罪のボス、カストルアンドラーデの薫陶を受けたアヴェランジェは、この融通のきく新顔の才能に目をつけ、仕事を教え込んだ。・・・彼らは世界サッカーの支配権を失うことも、腐敗した自分たち以外のよそ者がFIFAの重要書類に目を通し、アヴェランジェの盗みについて真相を知ることも、避けたかった。・・・金がワーナーの新規ビジネスに流し込まれた。彼なら金で買うことができる(P161)

○盗んだ金を確保するため、二人のブラジル人は、必死にスイスの法律の目をかいくぐった。二人のために戦ったのは、誰か。FIFAの弁護士だった! そのディーター・ゲスラーは、賄賂の支払いに関して、商取引上の賄賂を禁ずる法律はないと指摘した。捜査官のヒルドブラントはその意見を退け、二人のブラジル人の罪名は賄賂ではなく横領だと指摘した。・・・三人ともFIFAとサッカーの世界を裏切ったのだと。(P246)

ブラッター・・・を怒らせたのは格下の役員たちだった。ブラッターの世界では、彼らが最大の犯罪者だ。「沈黙の掟」を破ること―それこそ組織犯罪で最大の罪である。彼らは覆面記者に、喋った! 彼らは犯罪組織と手を結ぶアヴェランジェがFIFAに遺した、賄賂や腐敗にどっぷり浸かった極秘の世界について、喋った!(P299)

○ファンは冗談で、FIFAを「マフィア」だと言った。だが、それは冗談ではない―FIFAを牛耳るブラッターのグループは、組織犯罪シンジケートと共通する要素をすべてそなえている。強くて冷酷なリーダー、序列、メンバーに対する厳しい掟、権力と金という目標、入り組んだ違法で不道徳な活動内容。/ブラッターとその理事会のメンバーは、自分たちの犯罪が表に出たとき、決して仲間を裏切らない。(P350)