とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

高校サッカー準決勝 尚志 対 青森山田

 高校サッカーもいよいよ準決勝。準々決勝、矢板中央を相手にCH澤田のロングスローから2ゴールを挙げて逆転勝利を挙げた青森山田。一方の尚志も昨年優勝の前橋育英を3回戦で破り、準々決勝は同じくロングスローからの流れで帝京長岡を1-0で下して勝ち上がってきた。奇しくも東北対決となったが、尚志が前々年優勝の青森山田に胸を借りるゲームだろう。と思っていたが、全く尚志は侮れない。PK戦まで縺れ込む手に汗握る好ゲームとなった。青森山田は準々決勝と同じ先発。佐々木のワントップに左右のSH、バスケスバイロンと檀崎が大きな武器だ。対する尚志の布陣は4-4-2。染野をトップに伊藤が周りでボールを捌く。右SH加瀬は小柄な高速ドリブラー。左SB沼田の正確なキック力には定評がある。そしてCBには長身フォファナ・マリックがいる。

 開始2分、左SB沼田のFKをCH澤田がクリアしようとして、あわやオウンゴール青森山田も8分、CH澤田のロングスローをCB三國がヘディングでフリック。DFがクリアした。お互い長所のセットプレーを繰り出すが、流れの中ではなかなかチャンスが作れない。それでも20分、青森山田は右SHバスケスバイロンがDF二人を抜いてクロス。CF佐々木が走り込むが、合わせられない。

 すると27分、左SB沼田のFKにFW染野がニアに走り込んでシュート。なんと尚志が先制点を挙げた。37分にはFW伊東が仕掛けてミドルシュート。GK飯田のファインセーブで何とか防いだが、尚志がいきいきとサッカーを展開する。青森山田は41分、OH武田の縦パスを左SH檀崎が左に流し、CH天笠がドリブルで抜け出す。だがCB黒澤がストップ。45+1分には左SH檀崎のFKにCF佐々木がバックヘッドで狙うが、枠は捉えられない。前半は尚志の1点リードで折り返した。

 後半2分、青森山田が攻める。右SHバスケスの仕掛けで得たFKをOH武田が蹴ると、はね返されたボールを拾って、もう一度クロス。CB三國がヘディングでつないで、CF佐々木の落としから右SHバスケスボレーシュート。だが尚志のDFがブロック。ゴール前が堅い。9分には右SHバスケスのクロスにCH天笠がヘディングシュートを放つが、枠を外す。なかなかゴールが遠い青森山田だったが、11分、右SHバスケスがドリブルで仕掛けて抜け出すと、CB黒澤が後ろから追いかけて倒してしまう。PK。これを左SH檀崎が決めて、ようやく青森山田が追い付いた。

 14分にはGK飯田のフィードを中盤でフリック。左SH檀崎が抜け出すが、シュートはサイドネットにかかった。尚志も16分、右SH加瀬の縦パスを左SH高橋が戻して、FW伊東がミドルシュート。そして18分、青森山田は左SH檀崎のCKをCB三國がヘディングシュート。これが決まり、青森山田が勝ち越した。ところがこれで決まらない。尚志は23分、左SB沼田が大きく右サイドへフィードボールを入れると、右SH加瀬が走り込んで、クロスにFW染野がDFをかわしてシュート。再び同点に追い付く。さらに30分、今度は左SB沼田の縦パスをFW染野が右に落とすと、FW伊藤がつないで、右SH加瀬がダイレクト・スルーパス。FW染野が抜け出してシュート。このゲーム3点目。ハットトリックを決めた。

 尚志は35分にも右SH加瀬のCKからクリアを加瀬がクロス。GK飯田がパンチングでクリアしてルーズになったボールを左SB沼田がシュート。だがこれは枠を外す。尚志は31分、左SH高橋に代えて吉田。青森山田も28分、OH武田に代えて武、35分にはCH澤田を下げて左IH藤原を投入。4-1-4-1の布陣。41分にはSH檀崎のFKをCB三國がヘディングシュート。DFのクリアをもう一度SH檀崎がクロスを入れると、DFのクリアを右IH武がシュート。しかしポスト左に外した。

 その直後、青森山田はCF佐々木に代えて小松を投入。三國もFWに上げて、3-5-2の布陣にして攻める。すると42分、GK飯田のフィードをFW三國がフリック。左SB沼田がクリアしようとするが、FW小松がひっかけて前に出る。冷静にGKをかわしてシュート。土壇場で再び同点に追い付いた。尚志はPK戦に備えてGK鈴木がスタンバイ。そして45+2分、青森山田のCH天笠のクリアに走り込んだFW小松が右SB石川をかわしてGKと一対一。しかしシュートはGK森本がファインセーブ。弾き返した。その直後、尚志はGKを森本から鈴木に交代する。そしてタイムアップ。3-3。勝負はPK戦に委ねられた。

 PK戦青森山田の2番手、CB三國が枠を外すと、尚志の3番目、右SB石川もバーに当てる。そして4人目、CBフォファナ・マリックも外した。最後は青森山田の5人目、1年生の藤原が落ち着いて決めて、4-2。青森山田PK戦に勝利して決勝進出を決めた。

 尚志はファインセーブを見せたGK飯田を変えない方がよかったのではないか。何より後半42分まではリードしていた。そこでシンプルなフィードボールに対してDFの処理がもたついて同点ゴールを許す。FW小松の執念を褒めるべきかもしれないが、内容的にはほぼ互角。いやゴールは尚志の方がきれいに決めていた。最後は経験の差が出たかもしれない。尚志にとっては残念な結末となった。これで決勝は青森山田と、瀬戸内に圧勝して決勝進出を決めた流経大柏との対戦。攻撃の青森山田か、守備の流経大柏か。これは見逃せないゲームになりそうだ。

高校女子サッカー準決勝 常盤木学園 対 十文字

 今週末は、アジア杯で日本代表のゲームがあり、高校サッカーの準決勝と決勝も行われる。さらにプレミアリーグは動いており、観たいゲームがてんこ盛り。その中ではあまり注目を集めていないかもしれないが、高校女子サッカーもいよいよ決勝戦を迎える。対戦チームは常盤木学園と星槎国際湘南。決勝戦を観戦する前に、先週行われた準決勝を録画して、観よう観ようと思ってきたが、身体の不調もあり、これまで観ることができなかった。ようやく決勝戦の直前になって観戦する時間ができたが、これがなかなか興味深いゲームだった。

 女子サッカー、それも高校生年代となると、キック力も弱く、速さも男子に比べれば格段に落ちる。これがテニスであればラリーの応酬など、男子にはない楽しみがあるが、サッカーの場合、女子ならではの見所は少ない。カワイイとかスポーツとは別の視点での楽しみはあるのだが、やはり観始めは物足りなさを感じてしまう。そんな感じで観始めた準決勝だが、常盤木学園の布陣がわかりにくい。十文字はきれいな4-4-2。石谷を中心に原田がからむ2トップに、右SH三谷と左SH浜田が両サイドから仕掛けていく。中盤には小柄だがサッカーをよく知っているCH瀧澤がいて、ゲームをつくる。GK横山は170cmを超える長身だ。

 対する常盤木の布陣は3-4-3。DFは右から軍司、大河内、佐々木と並ぶが、サイドのCBが大きく開き、中盤から西野や柴山が下がってゴール前を守る。FWは長身の中村をセンターに、右WG加藤栞、左WG安澤が入るが、彼女らがDFラインまで下がって来ることはない。中盤は西野と柴山のボランチに、沖野と加藤愛が前目。彼女らはシャドーと言ってもいいかもしれないが、守備の時にはCBの外側、通常SBやWBが守るエリアまで下がってくる。そう、3バックながらWBがいないのだ。考えてみれば、高校女子サッカーでは大きなサイドチェンジのパスが放たれることは少なく、ワイドの放り込まれた場合にもサイドのCBやIHが追いかければそれで足りる。FWはCF中村が右サイドに開くことも多く、その場合には右WG加藤栞がCFに入る。中村らが守備を担当することはないのだ。そして中盤の人数を増やし、早い攻守の切り替えとプレスでボールを奪って攻めていく。そんな常盤木のサッカーがまさに嵌ったゲームだった。

 序盤、常盤木の流動的な動きに、十文字の守備がなかなか選手を掴み切れない。6分、右CB軍司が駆け上がり、ミドルシュートを放つ。十文字も9分、左SH浜田のクロスにFW石谷が飛び込むが、わずかに届かない。22分には右SH三谷のドリブルから、FW石谷のクロスに右SH三谷がシュート。序盤は互角の展開だったが、常盤木がセットプレーから次第にペースを掴んでいく。23分、左WG安澤のCKにCH柴山がヘディングシュートを放つと、25分には右WG加藤栞の落としからCH柴山がミドルシュート。そして34分、左WG安澤CKにCH西野がヘディングシュート。GK横山がファインセーブで手に当てるが、こぼれたボールを左IH沖野が押し込んだ。常盤木学園が先制点を挙げた。

 常盤木学園は38分にも左IH沖野のスルーパスにCF中村が抜け出してシュート。これはGK横山がファインセーブ。さらにCF中村がミドルシュートを放つが、これはバーの上に外れた。常盤木の中盤の寄せが早く、十文字が前を向いてゲームを作ろうとするところで再三ボールを奪われてしまう。それでも41分、FW原田の縦パスに右SH三谷がヘディングシュート。これはわずかにポストの右。42分、CB油本の縦パスをFW原田が落とし、CH瀧澤がドリブル。左に流して、FW石谷ミドルシュートを放つが、枠は捉えられない。43分には常盤木の右WG加藤栞がドリブルで仕掛け、左SB渡邉を抜いて、クロスにCF中村がシュート。これはポスト右に外れた。前半は常盤木の1点リードで折り返した。

 後半頭、常盤木は右IH加藤愛に代えて津田を投入する。後半1分、右WG加藤栞から左サイドへ大きくパスが出ると、左WG安澤がミドルシュート。これもわずかにポスト右に外した。後半も中盤からプレスが早い常盤木。十文字は10分、左SH浜田がミドルシュートを放つが、GK今井が難なくキャッチする。逆に11分、左WG安澤のパスから右IH津田が縦へ。右WG加藤栞が走り込みシュート。GK横山がわずかに触れたシュートはバーを叩いた。その直後、常盤木は左WG安澤を下げて北川を投入。十文字も13分、左SB渡邉を井上に交代する。渡邉は指を脱臼していたという。

 それでも常盤木の攻撃は衰えない。14分、右WG加藤栞のミドルシュートがバーを直撃。16分には右IH津田がミドルシュート。そして24分、左WG北川の落としから左IH沖野が左に展開すると、CF中村のクロスに右WG加藤栞がDFの間をドンピシャのヘディングシュート。常盤木学園が追加点を挙げて十文字を突き放した。その後も常盤木が自由奔放に攻めていく。28分、CF中村のポストから左に流し、左WG北川がミドルシュート。33分、右IH津田もミドルシュートを放つと、35分には左IH沖野のクロスを左WG北川がヘディングで落とし、右WG加藤栞が飛び込む。これはわずかに届かなかった。

 十文字も20分にFW石谷を下げて佐原を投入したが、20分にはその佐原に代えて左SH松久を投入。34分にはFW原田に代えてDF野口を投入し、浜田と三谷をFWに、CB長を右SBに上げて攻めていく。左サイドは井上がSHまで上がっていたか、後半終盤は超攻撃的な布陣にして攻めていく。39分、FW浜田から左に展開。クロスから浜田がシュートを放つ。45分にもFW浜田がミドルシュート。だがいずれもGK今井がセーブする。最後まで攻め続けた十文字だったが、常盤木の守備も堅い。結局最後までゴールならず。2-0。常盤木がすべての面で完勝したゲームだった。

 インターハイで優勝した常盤木は、特出した選手はいないと言いながら、みんなよく動くし、攻撃にも迫力がある。そして女子サッカーの特徴をよく踏まえた布陣が非常に効果的。インターハイでは善戦した十文字を寄せ付けない強さがあった。決勝の相手は星槎国際湘南。ダイジェスト番組ではパスをつなぐサッカーと紹介されていたと思うが、準決勝では東海大福岡を4-0で一蹴して勝ち上がってきた。13日の決勝が楽しみになってきた。

アジア杯グループF 日本対トルクメニスタン

 FIFAランク127位のトルクメニスタンには5-0くらいの大差で勝利してくれると思っていた。夜の新年会を終えて帰宅しTVをつけると3-2。何というゲームをしているのか。改めて録画観戦をした。日本は中島が故障で出場辞退し、代わりに原口が左SHに入ったが、あとの攻撃陣3人はいつもと変わらず、CF大迫、右SH堂安、OH南野。故障明けの大迫は温存してもと思ったが、結局、この4人でなければ勝てない程度の実力ということか。ボランチの守田も出場辞退で、遠藤と青山も体調不良。結局、先発したのは柴崎と冨安。そしてDFも槇野がCBに入った他はW杯メンバー。GK権田も含めて、年明け早々という日程による選手のコンディション面での影響はかなり大きかったようだ。トルクメニスタンの布陣は3-4-3。両WBも下がって、攻撃はもっぱら前の3人、CFオラズサヘドフ、右WGミンガゾフ、左WGアマノフが担う。

 序盤、トルクメニスタンが積極的に前からプレスをかけてくる。日本は柴崎から縦パスを入れて攻撃を作ろうとするが、トルクメニスタンの守備は厚く、なかなかチャンスがつかめない。12分、CF大迫の落としからCH柴崎がループパス。右SH堂安がヘディングシュートを放つが、GKオラズムハメドフがセーブした。すると17分、トルクメニスタンが速い攻撃。CHホジャエフの縦パスを右WGミンガゾフが収めて左に展開。CFオラズサヘドフがシュートを放つ。これはGK権田がセーブしたが、続く左WGアマノフのCKにCBサパロフがヘディングシュート。枠を外したからよかったものの、フリーでゴール前に入られた。

 日本も22分、左SH原口の縦パスをCF大迫が落とし、原口から右に展開して、右SH堂安がミドルシュート。しかしDFにブロックされる。そして26分、右SH堂安が中へドリブルをして落としたパスを右WGミンガゾフに拾われると、ドリブルから左に流し、左WGアマノフが強烈なミドルシュート。GK権田がうまく合わせられず、手に当てるもののそのままゴールにこぼれ落ちた。トルクメニスタンが先制ゴールを挙げた。

 その後は必死に反撃する日本だったが、なかなかゴールを挙げられず。30分、左SB長友のクロスを右WG堂安が落として、CF大迫が胸トラップからシュートを放つも、ポストのわずか右。32分、CH冨安のミドルシュートもGKオラズムハメドフにセーブされる。逆に36分、トルクメニスタンはCFオラズサヘドフの落としから左WGアマノフがミドルシュート。何とかGK権田のファインセーブで追加点を防いだが、前半は日本が今一つ乗り切れず、ミスが多いまま前半を終えた。

 後半に入ると、日本は縦パス一辺倒ではなく、大きなサイドチェンジを多用してくる。6分、右SH堂安のクロスに左SH原口がヘディングシュート。9分、CH柴崎のフィードからOH南野がミドルシュート。そして11分、左SH原口のクロスを受けたCF大迫が絶妙の切り返しからシュート。ようやく日本が同点に追い付く。さらに15分、CB吉田からのフィードを左SH原口がヘディングで落とすと、内側を走り込んだ左SB長友がうまくDFとGKをかわしてクロス。CF大迫が無人のゴールに押し込んで、日本が逆転した。

 その後も日本が人数をかけて押し込んでいくが、ミスからボールを奪われてのカウンターが再三。何とかクリアするのは仕方ないのか、守備に問題があるのか。25分にも左SH原口のクロスを右SH堂安が落として、OH南野がシュート。しかしDFブロックのこぼれ球を奪われてカウンターを浴びる。トルクメニスタンは14分、CFオラズサヘドフに代えてアンナドゥルディエフ。24分、左SHアマノフに代えてヤクシエフと前半よく活躍した攻撃陣を交代してくる。

 そして26分、CH柴崎の縦パスをCF大迫が落とし、OH南野がつないで、右SH堂安がシュート。DFに当たりコースが変わってゴールに飛び込んだ。日本が突き放す3点目。その直後にはOH南野を下げてFW北川を投入する。その後も攻める日本だが、なかなかシュートが枠に飛ばない。すると34分、CHアタエフの長いスルーパスをCB吉田と槇野の間に通されて、CFアンナドゥルディエフが抜け出す。飛び出したGK権田が倒してPKを献上。これをCHアタエフが決めてトルクメニスタンが2点目。これで元気になったトルクメニスタンが同点を狙って攻める。日本は大きく前へ蹴り出してセーフティに守ろうとするが、ルーズボールトルクメニスタンに拾われて、再三の波状攻撃。それでも何とか守り切って、3-2。日本がかろうじて初戦を勝利で終えた。まさに辛勝。

 決勝までは7試合。これから次第にコンディションも上がっていくのだろうが、それにしても初戦トルクメニスタン相手に3-2の辛勝は情けない。これから当たるオマーンウズベキスタンもいずれもトルクメニスタンよりは強い。守田に代わって塩谷を招集したが、2戦目以降のボランチはどうしていくのか。34℃という暑さも影響しているかもしれない。森保監督の今後の選手起用に注目したい。