とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

MS&ADカップ 日本対南アフリカ

 東京五輪に向けたなでしこジャパンの強化日程については、この南アフリカ戦の後、EAFF E-1サッカー女子選手権が予定されているが、来年の予定は東京五輪以外、まだ公開されていない。南アフリカFIFAランク55位。来年になればもっと強豪相手のテストマッチを重ねていく予定かもしれないが、このレベルの相手には楽勝で勝利してほしい。

 日本の布陣は4-4-2。岩渕と菅澤の2トップに、右SH中島、左SH長谷川。ボランチは杉田をベンチに置いて、宮川と三浦で組んだ。また左SBは遠藤純。右SB清水、CB熊谷はいつものとおり。久しぶりに土光がCBに復帰して、GKは山下が入る。対する南アフリカは4-1-4-1の布陣。クゲトラナをワントップに、右SHモトローラ、左SHセオボセンウェ。中盤はマクハバネをアンカーに、右IHムーダリー、左IHジェーン。DFは右から右SBラマルベ、CBマクフラベ、CBエムバネ、左SBスメダ。GKはドラミニの11人だ。

 序盤から日本がペースを握るが、カウンター攻撃を狙う南アフリカのCFクゲトラナが速い。それでも日本のCB陣は落ち着いて対処し、危険な場面は作らせない。12分、左サイドを駆け上がったSB遠藤のクロスにFW菅澤がスルーしたが、実は空振り? 後ろには誰も詰めていなかった。なかなか流れの中でチャンスを作れない日本だったが、先制点は20分、右SH中島のCKをCB土光がシュート。DFブロックのはね返りをCB熊谷がヘディングで落ち込んだ。熊谷にとっては代表110試合目にして初ゴール。ゴールした直後は選手の集団の中で歓びの表情を見せていたが、離れるときにはすぐに真顔に戻っている。さすが、なでしこジャパンのキャプテン。

 23分、再び右SH中島のCKをFW岩渕が触り、流れたところをCB熊谷がシュート。だがこれはDFにブロックされた。32分には左SH長谷川がFW岩渕とのワンツーから仕掛けて、戻しのパスをFW岩渕がミドルシュート。だがわずかにバーの上に外れた。35分には左サイドに流したCH宮川のパスを左SB遠藤が強烈なミドルシュート。だがGKドラミニがナイスセーブ。36分、CH三浦の縦パスをFW岩淵がスルー。左SH長谷川が反転からミドルシュートを放つが、GKドラミニにセーブされる。

 なかなか追加点が入らない日本に対して、37分、南アフリカが快足を活かしてカウンター。CFクゲトラナのクロスに左SHセオボセンウェがシュート。だがCB熊谷がブロックする。そして41分、左SH長谷川とFW岩渕がヒールパスでスイッチすると、岩渕の縦パスを受けたFW菅澤が反転して、CBエムバネの寄せが甘いと見るや、狙い澄ましたミドルシュート。これが決まり、日本が前半のうちに追加点を挙げた。

 日本は後半開始から宮川と中島を下げて、CB杉田と右SH籾木を投入する。しかし後半2分、CB土光のヘディングクリアを左IHジェーンがカット。右に流して、CFクゲトラナがシュートを放つが、左ポストに当たって助かった。6分には右SH籾木のクロスのはね返りをCH三浦が強烈なミドルシュート。しかしGKドラミニがファインセーブで弾き出す。16分にはCH杉田の縦パスに抜け出したFW岩渕がGKと一対一。一旦はGKドラミニがキャッチしたが、掴んだボールをヘディングすると、手からこぼれ落ちシュート。ゴールが認められるかと思ったが、ファールを取られた。

 17分、日本は左SB遠藤に代えて三宅を投入する。25分、CH杉田の縦パスからFW菅澤がスルーパス。右SH籾木が抜け出し、GKの上を越えるループシュートを放つが、バーにはね返された。直後には左SH長谷川のスルーパスに右SH籾木が抜け出しシュートを放つシーンがあったが、これもポストの左。26分、日本はFW菅澤に代わり、小林里歌子を投入。

 28分、南アフリカがカウンター。CFクゲトラナがドリブルで駆け上がり、何とかDFが追い付いたこぼれ球を左SHセオボセンウェがミドルシュート。GK山下がナイスセーブした。日本も29分、右SH籾木のCKをGKドラミニがクリア。CH杉田とDFが競ったこぼれ球をFW小林がシュートするも、枠を外す。30分、ショートCKから右SH籾木のクロスにFW岩淵がヘディングシュート。だがこれも枠を捉えられない。

 小林を除く前線の3人は自由にポジションを入れ替えるが、この時間帯あたりから岩渕が左SH、長谷川がトップ下に入ることが多くなる。34分にはCH三浦に代えて猶本を投入。久しぶりに猶本の姿を見た。さらに40分には岩渕に代えて植木理子。植木はそのまま左SHに入る。44分、左SH植木が思い切りのいいミドルシュート。だが、ポスト左に外れる。45+1分には右SH籾木がCF小林との縦のパス交換、さらに縦パスのはね返りを自ら拾い、左SH植木とのワンツーでさらに左サイドへ回ると、クロスにOH長谷川がシュート。GKドラミニのファインセーブでゴールはならなかったが、いいプレーだ。45+3分にはCH猶本が積極的なミドルシュート。しかしこれもGKドラミニがナイスキャッチ。そしてタイムアップ。2-0。前半の2点でなでしこが勝利した。

 できれば後半にもゴールがほしかった。しかしGKドラミニがナイスセーブを連発したのでしょうがない。まだ前線での連携に物足りないところはあるし、三浦と宮川で組んだボランチは、杉田のダイナミックさと攻撃力にはまだかなわない。それでも南アフリカの高速カウンターをしっかり封じることができたのはよかった。12月にはEAFF E-1サッカー選手権が始まる。ここでさらに連携を深めていってほしい。特に攻撃面でのバリエーションをもっと増やしたい。流れの中で決め切るシーンをもっと見てみたい。

J1リーグ第31節 鹿島アントラーズ対川崎フロンターレ

 Jリーグの優勝争いが熾烈になってきた。首位アントラーズと2位FC東京は勝ち点で並び、得失点差。そして3位のマリノスは勝ち点差1。今節、FC東京は最下位のジュビロと戦うのに対して、アントラーズは4位フロンターレとの対戦。首位を守るためには絶対勝利が欲しい。9試合負けなしのアントラーズだが、フロンターレも公式戦7試合負けなしと調子を上げてきている。

 アントラーズの布陣は4-4-2。伊藤翔と土居の2トップに、右SHセルジーニョ、左SH白崎。レオシルバと永木がボランチで並び、右SBには内田篤人が入った。左SBは町田。CBにはブエノとチョンスンヒョン。GKはクォンスンテ。対するフロンターレはミッドウィークのレッズ戦から中3日。疲れを考慮してか、メンバーも若干変えてきている。布陣は4-2-3-1。小林悠をワントップに、トップ下にはケガの中村憲剛に代えて脇坂。右SH家長、左SH阿部。ボランチは大島と田中碧で組み、守田が右SBに入る。左SBは車屋。CBは山村と谷口。そしてGKは新井章太が入った。

 序盤はパスを回すフロンターレに対して、アントラーズはしっかりとプレスをかけていく。10分にはCF小林悠の落としから右SH家長がミドルシュートを放つが、DFがブロックする。その後もアントラーズがしっかりとブロックを作って、フロンターレにチャンスを与えない。我慢比べのようなサッカーが続く。それでも35分、右SB内田のクロスに左SH白崎がシュートを放つと、ゲームはアントラーズのペースになってきた。

 38分、CB谷口の縦パスをCH大島がトラップミス。これをFW伊藤翔が奪ってミドルシュートを放つと、39分には左SN守田のミスからCHレオシルバがクロス。FW伊藤翔のシュートはDFがブロック。さらにスローインからFW土居がロングシュートを狙う。そして44分、CHレオシルバのクロスに左SB町田がヘディングで飛び込む手前にCB山村がヘディングで逸らす。これがポストに当たり、あわやオウンゴール。だがGK新井が何とか抑えこんだ。前半はスコアレスで折り返した。

 後半に入っても序盤はアントラーズ・ペースが続く。6分、左SH白崎のスルーパスにFW土居が抜け出し、切り返しでCB谷口を滑らせて、飛び出したGK新井の横を抜くクロス。右SHセルジーニョのシュートはゴールに入ったかと思ったが、左SB車屋がライン上でブロックした。11分にはFW伊藤翔ポストプレーから左に展開。SHセルジーニョのパスからFW土居が右に流して、CHレオシルバのクロスにCH永木がシュート。しかしこれも枠を外す。

 攻撃がなかなか形にならないフロンターレはその直後、脇坂を下げて左SH長谷川を投入。家長をトップ下に入れ、阿部を右SHに回す。しかしアントラーズの攻勢は変わらない。13分、右SHセルジーニョのクロスをDFがクリアするも、左SH白崎が拾ってミドルシュート。15分にはFW伊藤翔のスルーパスにFW土居が抜け出す。ところが素早く飛び出したGK新井がクリア。このゲーム、GK新井の再三の好プレーが目立つ。

 そして17分、Gk新井の素早いフィードの流れで得た中盤右サイドからのFKをOH家長が蹴ると、CB山村がゾーンで守るアントラーズ守備陣の裏を回ってヘディングシュート。これが決まり、ここまで劣勢だったフロンターレが先制点を挙げた。すると20分にはロングカウンター。CF小林悠のパスからCH田中碧が左に展開。左SH長谷川の縦パスに走り込んだ左SB車屋のクロスにOH家長がシュート。しかし枠を外した。

 どうしても追い付きたいアントラーズは25分、FW伊藤翔に代えて上田綺世を投入。しかしその直後の26分、またもフロンターレのカウンターが発動。右SH阿部のキープから左に流し、SB守田が大きくサイドチェンジ。スペースに飛んだパスにCF小林悠が走り込み、ミドルシュートを放つと、ポストにはね返される。ここに走り込んだのが長谷川竜也。粘り強くゴールに押し込んで、フロンターレが追加点を挙げる。

 負けられないアントラーズは28分、内田に代えて左SH相馬を投入。永木を右SBに下げ、白崎をCHに置く。フロンターレも36分、CF小林悠に代えて知念を投入。アントラーズは38分、白崎を下げて右SH遠藤を投入した。セルジーニョが土居と並んでトップ下。41分、右SH遠藤が直接FKを狙うが、GK新井がナイスセーブ。42分、右SH遠藤のクロスをOH土居がフリック。OHセルジーニョがヘディングシュートするも、枠を捉えられない。45+1分には左SH相馬がゴール前にクロス。これをGK新井が飛び出してパンチング。こぼれ球を拾った右SH遠藤の落としから右SB永木がミドルシュートを放つが、これもGK新井がナイスセーブ。さらにOH土居のシュートは枠を外れた。そしてタイムアップ。2-0。劣勢だったフロンターレがセットプレーから先制点を挙げると、アントラーズの反撃を抑えて勝利した。

 優勝を争うFC東京マリノスともに勝利して、アントラーズは3位に滑り落ちた。首位FC東京との勝ち点差は3とは言え、この敗戦は厳しい。最終戦グランパスとの対戦が重要なゲームになるのかもしれない。一方、勝ったフロンターレACL圏内となる3位アントラーズとの勝ち点差がわずか2。次節は2位マリノスとの対戦が待っている。多摩川クラシコFC東京か、神奈川ダービーマリノスか。フロンターレが今季の優勝を左右するカギを握っている。

J1リーグ第31節 名古屋グランパス対ヴィッセル神戸

 東海地区ではNHK地上波で放送された。連敗中。8試合勝ちなし。降格圏までわずか勝ち点差3。そして相手はヴィッセル。とても勝てるゲームではないと思った。普段グランパスのゲームを観ない人たちにグランパスへの興味をさらに失わせる結果になるのではないかと危惧した。まさかこんな結果になるとは……。

 グランパスの布陣は4-4-2。ジョーと長谷川アーリアジャスールの2トップに右SH前田、左SH和泉。ボランチには米本とエドゥアルド・ネットを並べ、DFは右から右SB宮原、CB中谷、CB丸山、左SBには出場停止の吉田に代わって太田宏介が先発。GKはいつものランゲラックだ。対するヴィッセルは3-4-3。ダビド・ビジャをトップに古橋と小川慶治朗の2シャドー。イニエスタと山口蛍が中盤を組み、右WB藤谷、左WBには酒井高徳。CBは右からダンクレー、大崎、ジョアン・オマリ。GKには飯倉が入る。

 序盤しっかり守ろうとするグランパスに対して、序盤からヴィッセルが連続してCKを得るなど、攻勢をかけていく。だが先制はグランパス。12分、左SB太田宏介のCKにFWジョーのヘディングはファーに流れたが、これをFW長谷川がゴールラインぎりぎりで生かして、戻したボールを右SH前田が切り返してミドルシュート。スライドしてシュートにGKが逆を突かれ、ネットに突き刺さった。

 しかしその後も攻めるのはヴィッセルグランパスはブロックを作ってしっかりと守る。18分、右CBダンクレーがミドルシュート。21分にはCHイニエスタのフワッとした縦パスにCFダビド・ビジャが走り込み、シュート。だがCB丸山がブロック。こぼれ球を右FW小川慶治朗が狙うが、これも左SB太田宏介がブロックした。そして23分、右SB宮原のフィードをFWジョーが収めて右に流すと、右SH前田が今度は縦に仕掛けて、クロスに左SH和泉が滑り込む。グランパスが早い時間のうちに2-0とリードした。

 ヴィッセルはCHイニエスタから様々な種類のパスが前線に送られるが、グランパスの守備陣がゴール前をしっかりと蓋をする。CH米本の運動量。FW長谷川も相手ボランチをしっかりと抑える。また両SHも下がって、ヴィッセルのサイド攻撃に対して迷いのない守備を遂行する。38分、左FW古橋のミドルシュートはCB丸山がブロック。43分、CHイニエスタのシュート。さらにCFダビド・ビジャミドルシュートもDFがブロック。45+1分、CFダビド・ビジャの仕掛けからこぼれ球を右CBダンクレーがミドルシュート。しかしポスト左に外れた。前半終盤にはなかり攻め込まれたが、何とか耐えて2-0のまま前半を終えた。

 後半3分、CHイニエスタの縦パスに左WB酒井高徳が走り込み、中へのパスに走り込んだCHイニエスタの落としを、左FW古橋がシュート。GKランゲラックがわずかに触って、ポスト右に外した。そして9分、左SH和泉のクロスがDFに当たってファーサイドに流れる。ルーズなボールに右SH前田が粘ってマイボールにすると、仕掛けのこぼれをFWジョーがヒールパス。前田が抜け出して、GKの股下を抜くシュート。最後はCBダンクレーに当たってゴールに転がり込んだ。グランパスが3点目。

 その後はまたヴィッセルが攻める。10分、CHイニエスタの落としから左FW古橋がミドルシュート。11分、左FW古橋がドリブルで持ち込んでシュート。続くショートCKからCHイニエスタのクロスにCB大崎がヘディングシュート。しかしGKランゲラックがファインセーブした。グランパスも13分、CH米本のクロスからFW長谷川がシュート。しかしこれはGK飯倉がナイスセーブ。互角の展開が続く。

 18分、右SH前田がCH山口と交錯した時に右膝を痛めて、CHシミッチに交代する。大きなケガかと思ったが、試合後のインタビューでは足を痙攣しただけだと言うのでホッとした。それだけ運動量高くがんばっていたということだろう。シミッチはボランチに入り、長谷川が右SH。エドゥアルド・ネットがトップ下に上がった。19分、CHイニエスタのスルーパスに左FW古橋が走り込む。しかし直前でGKランゲラックが抑えた。依然、グランパスの守備の集中力が高い。

 ヴィッセルは21分、右FW小川慶治朗に代えてFW田中順也を投入。3-5-2の布陣にする。グランパスも23分、エドゥアルド・ネットに代えてOHシャビエルを投入。さらにヴィッセルは30分、CHイニエスタを下げてサンペールを投入する。35分、左WB酒井高徳のクロスにFW田中順也がシュート。だがポスト左に外す。39分にはFWダビド・ビジャに代えて藤本を投入する。43分、左WB酒井高徳のクロスにFW藤本がシュートを放つが、これはわずかにポスト右に外れた。グランパスも45分、CHシミッチのキープから左に展開。左SH和泉のクロスにCFジョーが走り込むが、届かず。これがCBジョアン・オマリに当たってあわやオウンゴールになりそうだったが、GK飯倉がセーブした。そしてタイムアップ。グランパスが9試合ぶりの勝利を挙げた。

 フィッカデンティ監督になって5試合目で初勝利。守備から入るフィッカデンティ監督のサッカーがようやく実を結んだ。クリーンシートも9試合ぶり。3ゴールもさることながら、無失点だったのが自信になる。この後、サガン戦、ジュビロ戦と残留争いの直接の相手との対戦が続く。連勝してm最終戦アントラーズ戦の前にしっかりと残留を決めきりたい。