とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

たまには停電もいいかも

 ちょうど今年が伊勢湾台風50周年ということもあって、先週の台風18号は来襲前から東海地方では特に大きく扱われ、万全を期した準備が行われた。三河港で野積みされたコンテナが動いたり、床上浸水などの被害も一部ではあったが、昨年の岡崎豪雨や数年前の東海豪雨のような被害はなく、全般的には平穏に過ぎ去ったことは幸いだった。
 しかし風はかなり強かったようで、わが家では生け垣のカイズカイブキが3本倒れ、浴室の窓に掛けっぱなしにしていたすだれが壊れてしまった。
 朝、駅に行くと、黒山の人だかり。何かと思ったらJRが全面的に運行中止。朝のTVではテロップで次々と様々な情報が流されていたが、欲しい情報をオンデマンドで見つけることができず、「ま、いいだろ」と気楽に家を出たのが敗因。娘も駅に着いてから携帯で情報取得をして「あ、運休だ」という位だから、宝の持ち腐れというか、まあそんなもんです。
 駅のコンコース脇の機械室からぶーんとうなり音が聞こえてきたので、非常発電機が動いていたらしい。コンコースや駅舎が停電で、放送設備だけは通電して運休情報を繰り返し放送していた。しばらく待ってトイレに行ったらここも停電。窓がないので真っ暗で使用困難。「トイレくらい電気つけろよ!」と怒鳴る若者がいたが、「停電だから無理じゃないか」と思わず苦笑した(もっとも非常電源は動かしていたので、できないわけではなかったかも)。
 そういえば、エアコンを使いすぎてブレーカーを落とした時くらいで、停電の経験もすっかりなくなった。昔はロウソクをつけて1時間くらい闇の中で通電を待ったことがあったなあ。
 暴風警報も昼前には解除されそうだったので、「昼一には学校へ着きたい」という娘ともども、並行して走るバスに乗って、思ったよりもスムーズに職場に着いてしまったのは、運がよかったと言うべきか、決断の勝利と言うべきか。でも、バス待ちの列は長蛇で、乗れなかった人がバスの運転手に「どうして増発しないんだ」と怒鳴っていたのはかわいそう。その後もバス停に着くたびに「もう少しお詰めください」「前からご乗車ください」「次のバスにお乗りください」などと放送してはバスを運行していた。しばらくしたらマイクを通して「ふうっ」と小さなため息。娘とふたり、思わず「運転手さん、がんばれ」と小さく応援してしまった。
 電力会社の社員、交通機関の職員など、復旧に向けて必死にがんばっていたはず。そんなときには、せめて利用者が温かい心使いを示したいもの。「トイレくらい・・・」という怒鳴り声には思わず笑ってしまったが、たまには停電や運休などの不具合もないと、日本社会はますますダメになるんじゃないかと思った次第。何事にも感謝を忘れずに・・・。