とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

英語力は"絶対"必要か

 大前研一の本からの友人の話題に触発されてのシリーズ第2弾は「外国語使用の勧めは正しいか」です。ちなみに、第1弾はこちらを参照してください。
 日本が今後発展を継続していくためには外国語を自由に操り、世界市場に打って出ることが不可欠だ、というのが大前研一の主張らしい。前にも書いたとおり、私自身は大前研一の本を読んでおらず、あくまで友人からの話に基づいた独断なので、その点はよろしく。
 さて、楽天ユニクロが社内公用語を英語に変更したとして話題になっているが、これらの会社は別に日本の未来のためにこうした方針を採っている訳ではなく、自社の将来のために必要な方針を採用したに過ぎない。結果としてこれが会社の将来にどう影響するか(内田樹氏などは、語学能力には劣るが経営能力等は有能な人材をスポイルするのではと指摘しているが)は興味はあるが、外野からとやかく言うことではない。
 友人は「今さら英語を勉強しろと言っても無理だし」と開き直っていたが、英検2級の彼に開き直られては、3級不合格の私はどうすればいいのか。
 しかし一方で思うのは、日本経済は輸出産業で支えられていると思っている人が多いが、日本の就労者のうち輸出産業に従事しているのは実際はほんのわずかである。政治家や公務員はもちろんのこと、建設、輸送、小売・卸、教育、農林水産・・・。現在、外需産業と言えるのは、自動車や電化製品等の輸出品製造業が主で、これに付随して一部のサービス業が海外進出しているにすぎない。
 もちろん、今後、外国人観光客の増加が見込まれたり、日本人の人口が減少する中で、建設業や流通産業などのサービス産業もさらなる発展を望めば、海外市場に出ていくことは大きな方策の一つである。だが、国内需要は日本人が住んでいる限り、減りこそすれけっしてなくなることはない。この厳しいパイの中で勝ち抜くには、英語力ではない他の能力が必要だ。それは日本語力かもしれないし、空気を読む力かもしれないし、発想力や行動力かもしれない。
 結局、大前氏が言っているのは、これまでと同様、日本が輸出産業で生きていくためには、発展途上国の輸出攻勢に負けないアドバンテージを保持していく必要がある。発展途上国の日本に対するアドバンテージとして、低価格と同時に英語力があるという現実の中で、高品質やブランド性という日本のアドバンテージを強化するためには、それを説明する英語力をさらに高める必要がある、ということだろうが、それはあくまで輸出産業のことである。
 日本のおおかたの労働者は、今後も国内で内需産業に従事するのだし、その結果、平均的には年収は低下するかもしれないが、それを良しとすれば、別に英語力が全てではない。いや、国内であれば、英語力はなくとも成功者にはなれるし、必要なら英語は後からでも何とでもなる。
 内田樹氏が「英語嫌いを作る方法」でも言っているが、英語ができなければ人生の落伍者だなんてことは今後も全くないし、そんなことに左右される必要もない。もちろん好きな人はもっと勉強すればいいし、海外とのつなぎ役として重要な役割を果たす人材は重要だが、国内を安定的に循環させ、世界にも貢献できる労働や技術も同様に重要だ。
 他人の便利のために自分を作るのではなく、自分のために生き、他人に貢献できる自分を作る方が重要だ。英語力の有無だけで一喜一憂すべきではない。英語力が人生の全てではないのだから。