とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フットボール批評 issue19

 いよいよ今季のJリーグが開幕した。今号の特集は「クラブを変革する指揮官の戦略」。「指揮官」には「監督」だけでなく、経営のトップも含んでいる。そして今季J1に昇格したV・ファーレン長崎の高田社長の貢献が巻頭言で挙げられている。

 続く内容では、イビツァ・オシムネルシーニョモンバエルツなどへのインタビューが掲載されているが、もう一つ、監督と経営者との関係が見えてこない。直截にわかりやすいのは、自らプレーヤーや解説者として活躍した後に経営陣に参画したコンサドーレ札幌の野々村社長、そしてグランパスの小西社長と風間監督との特別対談が興味深い。特に小西監督はトヨタ自動車出身だが、トヨタってこんなにいい社風だったっけと思ってしまう。個人的な素質かもしれない。他に目を惹いたのは、コバルトーレ女川、群馬FCの顛末、コソボ代表の問題など。本田裕一郎が語る「高校サッカー大改革」の提案も興味深い。

 サッカー本関係では、自社の宣伝でもあるだろうが、加部究の「日本サッカー『戦記』」と岩政大樹の「PITCH LEVEL」が面白そうだ。そのうちきっと読んでみよう。

 

フットボール批評issue19

フットボール批評issue19

 

 

○E-1選手権で韓国に惨敗し、ネガティブなイメージがつきまとう日本代表。その責任は、果たしてハリルホジッチ監督だけにあるのだろうか。戦力差があるなかでいかに勝つか。W杯を戦う日本代表も“組織として強ければ勝てる”と証明してくれた長崎から倣うことがあるかもしれない。(P001)

○「4万人入れよう」と言えば、J2だから無理ではなくて、そこへ向かって動いてくれる。だからすごくやりやすいですよ。目標を立てたらブレません。・・・皆が見に来てくれているということは、面白いということ。・・・だから我々はそれに応えるプレーを見せなければならない。(P033)

○自分たちの大切なことを突き詰めていくことです。面白いものを創る。・・・少なくとも我々は専門家である以上、自分たちが面白いと思うものを自信を持って創り出さなければいけないですよね。小西さんは我々の商品が何かを理解してくれていますから、我々はそれを具現化する。すごくシンプルです。(P035)

○プロダクト・アウトとマーケット・インという言葉があります。マーケット・インは市場調査をして売れそうなもの、・・・プロダクト・アウトはまだお客さんに求められていないものを作り手側が提供していくことです。・・・例えばプリウスは完全にプロダクト・アウトでした。・・・風間さんのサッカーはプロダクト・アウトです。(P035)

○スイスはコソボ出身のアルバニア人選手で成立していると言っても過言ではない。そもそも攻撃における二枚看板、ジャカ(アーセナル)とシャキリストーク・シティ)がそうである。/コソボ代表監督のアルベルト・ブニャークはジャカやシャキリヤヌザイレアル・ソシエダ)に何度もオファーを出した。・・・しかし、彼らはコソボ代表を拒んだ。自らのアイデンティティよりもサッカー選手としての選択と言えよう。(P132)

○もしJリーグが日本に出来なかったら、この国は、今よりもずっとつまらない状態に陥ったのではないかと考えています。少なくとも松本山雅のように、お年寄りがスタジアムに通い、自分の住んでいる地方都市に特別なロイヤリティを感じるようなことが、日本のあちこちで起こらなかったでしょう。これから・・・サッカーが、この国にどうやって寄与していくのかを見届けていきたいと思っています。(P151)