とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

収穫の多かったアルガルベ杯。なでしこもマスコミ好感度がさらにアップしたしね。

 日本のマスコミはドイツとの決勝戦を前に異様な盛り上がりを見せていたが、アルガルベ杯はしょせん五輪へのテストマッチ。ましてや相手は五輪出場を逃したドイツ。五輪に向けた戦略なども考える必要なく、日本も思い切った起用を試していった。
 その一つが、田中・阪口と組んで攻撃力がイマイチだったボランチに宮間を起用したこと。さらに宇津木・岩清水のCBコンビを試したし、川澄・大野を両SHに起用するという超攻撃的な布陣で臨んだ。
 宮間は序盤から積極的に前に上がり、大野が下がる縦のポジションチェンジを試すが、肝心の宮間にボールが入らず、逆に右SBに入った有吉のサイドを狙われ、次第に劣勢を強いられる。
 それでも17分、大野のフィードから永里がDFと競りながらシュートを放つと、あわやゴールかと思ったが、GKシュルトがナイスセーブ。ドイツの若手も成長している。
 すると20分、カウンターからゲースリンクの大きなサイドチェンジにベーリンガーがクロス。ニアにボランチのマロジャーンが飛び込んで、ドイツが先制点を挙げた。さらにその勢いのまま22分、今度はマロジャーンのクロスにオコイノ・ダ・エムバビがヘディングシュート。岩清水が競るが、身体を寄せきれず、ゴールを許してしまう。
 宮間が徹底マークされた日本は、両SBの上がりも少なく、攻撃の幅が中央に押し込められている。さらに低い位置で宮間がチェックを受けてボールを奪われると、すぐにピンチを迎える悪循環。
 それでも35分、安藤からのスルーパスに川澄がオフサイドぎりぎりで抜け出し、切り返しからシュート。何とか1点を返すが、直後の37分にはFWミッタークのスルーパスにエムバビがシュート。直後にもベーリンガーがドリブルからミドルシュートを放つなど、ドイツの圧力の前にどうしても中盤が空いてしまう。
 42分には宮間のサイドチェンジから永里がシュート。永里はW杯からさらに強く巧くなっている。だが前半よかったのは永里とゴールシーンのみ。前半のテストはあまり好結果を生むことはなかった。
 そこで後半早々から、右SBに近賀を投入。有吉を左SBに回し、田中をボランチに入れて宮間を左SHに定位置へ。安藤に代えて川澄をFWに移す。さらにCBも岩清水から熊谷に代えた。すると9分、CKから川澄のクロスに永里のシュートが右に逸れたところを田中が飛び込みシュート。後半の早いうちに同点に追いつく。
 後は日本ペース。15分、宮間の大きなサイドチェンジから永里が落として大野がシュート。熊谷と宇津木が適当な距離を取って、どちらかのSBが下がって守備を固め、パス交換から前線へロングフィードを入れる。これで次第にドイツの守備が下がり出し、後半は日本がドイツ陣内に攻め込む場面が続く。17分には宮間のFKから宇津木がミドルシュート
 ドイツも24分、途中交代のクートのスルーパスにこれも後半から投入された長身FWポップのクロス。GK海堀が目測を誤ったか、イレギュラーしたか、取り損なったところを熊谷がクリア。さらに34分、ベーリンガーのクロスにポップが飛び込むが、田中がよく競って、ヘディングシュートは近賀がクリア。
 今大会、熊谷の成長が目立つ。W杯では岩清水の指示で動いていたが、今では立派にDFラインを統率し、自信を持ってプレーしている。宇津木とのコンビでも全く危なげない。36分、CKから阪口がヘディングシュート。わずかにポストの左。惜しかった。
 そして42分、オデブレストのスルーパスに右SBシュミットがPA内に走り込むと、有吉が堪らず後ろから倒してしまう。PK。これをエムバビが決めて、ついにドイツに勝ち越されてしまう。後半はほとんど日本が押していたのに、残念な展開。ここで日本は田中に代えて高瀬をボランチに投入。
 すると45分、宮間のサイドチェンジを近賀がつなぎ、高瀬の落としから川澄がつないで高瀬がクロス。最後は永里がボレーを叩き込んで、日本が同点に追いつく。しかし直後のロスタイム、ベーリンガーのアーリークロスにエムバビが抜け出して、いったんGK海堀をかわす高いトラップ。落ちてきたところをシュートして、劇的な勝ち越しゴールを決めた。同点に追い付いた気の緩みで、ベーリンガーへのチェックが甘かった。エムバビのプレーもすごかった。
 結局、これでゲームは決まり4-3。ドイツの優勝でアルガルベ杯は幕を閉じた。
 しかし日本も惜しかった。それ以上にいろいろ収穫の多い大会だった。菅澤、高瀬の良さが見れたし、澤の代役という課題も浮き彫りになった。最後の最後で木龍が出てきてスピードの片鱗を見せたが、木龍ももっと見たい選手だった。次はまた、日本でアメリカ、ブラジルとテストマッチができるらしい。さらに連携を高めて、五輪での活躍を期待したい。