とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

なでしこ、アメリカに初勝利。この勝利は今後の対戦に影響する。

 アルガルベ杯第3戦。日本はアメリカと対戦。W杯決勝戦の勝利は公式記録上は引き分けで、そう計算するとこれまで対アメリカに25戦して4分21敗と勝利がないことになる。だからこその初勝利とマスコミは持ち上げるが、あくまでロンドン五輪に向けた前哨戦。日米とも新しい選手や戦術を試して、五輪での決戦のテストマッチだった。あ、ちなみにドイツ戦は後日。まだ見てない。
 日本は澤が急な体調不良で田中をボランチに起用。だがこれがうまく機能しない。中盤でつぶされる場面が目立ち、澤の代役は見つけられなかった。いや正確には阪口の代役には田中では不十分。澤の代役も阪口ではまだこなしきれなかった。
 一方、アメリカも序盤はパスをつなぐサッカーを展開する。これが全く機能しない。序盤は日本のプレスが上回り、アメリカを圧倒した。2分、安藤から宮間がミドルシュート。5分、大野から右に流し、近賀のクロスに安藤が飛び込む。6分、アメリカの長いFKからポストプレーで裏に抜け出されゴールを入れられるシーンがあったが、これはオフサイドで救われる。岩清水のラインコントロール。熊谷もしっかり安定したプレーを見せていた。9分、永里から安藤のシュートはGK正面。18分、阪口が左に流し、宮間のクロスに永里がヘッドで飛び込むがわずかに届かない。
 永里が中盤まで下がってゲームをつくり、安藤が絶妙の飛び出しでDFラインを撹乱する。ただ、大野が中盤底まで下がりがちで、ボランチからの押し上げも少ないため、攻撃に厚みが出ない。澤がいればもっと攻撃にからむんだろうが、そこが物足りない。
 そうこうするうちにアメリカが後方からロングボールを放り込む作戦に変更する。25分、CBランボーンのフィードからワンバックがヘディングシュート。さらに26分、CBビューラーのフィードにもう一人のFWモーガンが抜け出しシュート。ポストを叩く。さらに攻め込むアメリカ。だが、人数をかけた守りで日本も何とかしのぐ。
 アメリカは31分、早くもボランチのロイドに代えてリンゼイ。パスサッカーが通用しないなら、若手を試そうということか。43分にはそのリンゼイの縦パスにモーガンがDFと競り合って抜け出しシュート。さらに45分、リンゼイの縦パスをワンバックが落とし、モーガンが中にドリブルする間にワンバックが中央に回りこんでシュート。いや直前に鮫島がクリア。日本のレギュラーDF陣4人の連携は万全だ。
 後半早々から、右SHにオライリー、左SHにラピノー、左SBにコックスを投入。11分、オライリーの突破からクロスにモーガンが抜け出し、GK福元が間一髪クリア。しかしPKが取られてもおかしくない。13分にはコックスのクロスのクリアをモーガンミドルシュートオライリーのドリブル、速い突破の対応に、近賀と大野が忙殺される。
 日本は細かいパスをつなぎ攻撃を組み立てようとするが、アメリカはボールを奪ったら大きなパスで速い攻撃を仕掛ける。14分、宮間のアーリークロスに永里がDFと競り合いながらシュート。アメリカも17分、ワンバックのスルーパスモーガンが抜け出してシュート。岩清水が競って、正確なシュートを打たせない。
 日本は20分、前線に高瀬、右SHに川澄、CBに宇津木を投入。アメリカも27分、ワンバックを下げてルルーを投入し、新戦力を試す。さらに日本は34分、阪口に代えて菅澤を投入。高瀬をボランチに下げて、新しいオプションを試す。
 すると38分、高瀬が起点となって、川澄、近賀と右に回し、クロス。DFがクリアしたが、いい展開を見せる。するとその直後のCKに高瀬が飛び込み、日本が待望の勝ち越し点を挙げた。
 その後、日本が長いボールを放り込み、菅澤や永里を走らせ、前線でのボールキープを図るが、逆にアメリカも長いクロスを放り込んでくる。ロスタイム、コックスからのクロスにボックスのヘディングシュートは危なかった。が、それ以上の破綻をきたすことなく、勇敢かつ戦略的に時間を消化して、日本がアメリカ相手に26戦目での初勝利を挙げた。
 両者、テストマッチとあっていろいろと試したことも多かったが、この勝利はアメリカに対して「やはり日本はやりにくい」という意識を植え付けることになったのではないか。これが反骨精神、アメリカン・スプリットに火をつける危険性もないではないが、それを上回る可能性も日本は試したはず。いよいよ五輪での両チームの対戦が楽しみになってきた。