とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

女子サッカー強化試合 スウェーデン対日本

 先月のアメリカ遠征では3-3と0-3で未だ勝ち星のない高倉ジャパン。強化試合3試合目も海外遠征でリオ五輪直前の壮行試合を戦うスウェーデンが相手。観戦前に0-3で敗戦した結果を知りつつ観始めたが、内容的にはいいゲーム。少しずつ経験を積み、強化を進めていく高倉監督の今後に期待を馳せるゲームであった。

 日本の布陣は4-1-4-1。熊谷をアンカーに上げ、川村と村松でCBを組み、宇津木を左SBに起用する。阪口は中里と組んで上がり目のIH。大儀見改め永里はアメリカ戦と同じ左SH。右SHに佐々木を起用し、増矢をワントップに置いた。

 リオ五輪に向けて意識の高いスウェーデンは中盤でしっかりとプレスがかかり、攻守の切り替えが早い。左サイドから、そして右サイドからゴール前に危険なクロスが入る。それでも中央ではCB村松を中心にDF陣が自由にさせない。そして12分、CH熊谷から右に展開して右SB有吉がクロス。CF増矢が胸トラップで前に運びシュートを放つ。一方スウェーデンも15分、左SB宇津木のパスミスをCFロルフェがカットしてドリブルから左に流して左SBアデンションがシュート。GK山下がナイスセーブを見せる。

 スウェーデンの厳しいプレスになかなか攻められない日本だったが、少しずつパスがつながるようになってくる。20分、IH阪口から右に展開。右SH佐々木のクロスをCF増矢が落とし、左SH永里がループ気味のシュート。わずかにバーの上。22分にはCH熊谷がドリブルで上がり、積極的にミドルシュートを放つ。スウェーデンも29分、CFロルフェがミドルシュート

 32分には左SH永里のクロスをIH中里が落としCF増矢がシュート。わずかに右に外す。しかしスウェーデンも早い攻守の切り替えからショートカウンターで攻め込む。40分、右SBサムエルソンのフィードに走り込んだCFロルフェがドリブルで抜け出す。GKと一対一となったがパスを選択。走り込んだFWヤコブソンにはつながらず、助かった。続く43分にも右FWヤコブソンがドリブルからシュート。日本は左SB宇津木と左SH永里の連携が悪く、再三左サイドを破られてしまう。前半終了後、CB川村も入れて3人で左サイドの守備の連携を確認していた。

 スウェーデンは後半の頭から4人を交代する。右SBにルベンソンを回し、中盤はダールクヴィストをアンカーにセーゲルとアスラニーの3ボランチ。左SBエリクソンに交代し、ベテラン・ストライカーのエース、シェリーンを投入する。

 すると1分、さっそく右FWシェリーンが積極的にシュートを放つ。その後は両者とも中盤の攻防から積極的に攻め合う。日本は11分、永里に代えてFW有町を投入。中里を左SHに回し、阪口をボランチに下げる4-4-2に布陣を変更する。スウェーデンも18分、左FWヤコブソンに代えてスクーグを投入。19分、FW有町のがんばりからボールを奪い、落としたボールをCH阪口が縦に入れると、有町から右に展開。右SH佐々木がシュートを放つ。スウェーデンも21分、右SBルベンソンの縦パスに右FWシェリーンが走り込み、ドリブルからクロスにCHセーゲルシュート。枠を外す。

 日本は24分、宇津木に代えて右SH横山を投入。佐々木を左SBに回す。すると25分、CH阪口のクロスをFW有町が落とし、FW増矢が抜け出すが、DFにクリア。そして31分、CHアスラニーから左に展開すると、走り込んだ左FWスクーグのクロスをアスラニーが縦に入れて、FWシェリーンが切り返しからシュート。ついにスウェーデンが先制点を挙げた。ダイレクトパスをつないだ崩しは素晴らしかった。シェリーンに抜かれたCB村松には勉強になったことだろう。

 33分にはCHアスラニーから右に展開。右SBルベンソンの縦パスに右FWシェリーンが走り込み、戻しをCHアスラニーがシュート。日本も35分、右SH横山の落としから左SH中里がシュート。さらに36分には右SH千葉を投入し、横山をFWに上げる。しかし41分、CH熊谷が中盤でドリブルをしたところにCFロルフェとCHアスラニーが挟み込みボールを奪うと、アスラニーのスルーパスにCFロルフェが抜け出してシュート。スウェーデンが追加点を挙げた。

 日本もアディショナルタイム2分に、右SB有吉のフィードからFW横山がミドルシュートを放つが、サイドネット。逆にAT3分、GKリンダールからのフィードをCB川村がうまく収められずにCFロルフェのボールを奪われ、スルーパスから左FWスクーグが抜け出してシュート。ダメ押しの3点目を挙げてスウェーデンが勝利した。

 日本は3戦連続の3失点。そして2ゲーム続けての無得点。結果だけ見ると全くダメな感じだが、若い佐々木や村松、中里らがよくチャレンジして新しい布陣にトライした熊谷のアンカー起用や阪口のIHでの起用もプレスの早い相手にある程度は対応できていた。もっとも攻撃の形はまだまだ。特に左SH永里がほとんど機能していない点が気になる。永里の能力を考えるともったいない感じだが、その分、他の選手の長所を引き出しているということか。いずれにせよまだまだ色々と試している段階。この時期に五輪に出場するチーム相手に強化試合を経験できることは役に立つ。高倉監督がしっかりと展望をもって強化を進めていることを高く評価する。