とんま天狗は雲の上

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J1リーグ第32節 川崎フロンターレ対ガンバ大阪

 天皇杯準々決勝ではレイソルに敗戦して敗退。ルヴァン杯決勝でもセレッソに屈して初タイトルを逃した。そして一時は首位アントラーズの勝ち点差を2まで詰めて、優勝も見えていたはずなのに、前節レイソルにドロー。一方、アントラーズは着実に2連勝して、勝ち点差は7に広がった。残り3試合、たとえ全勝しても、アントラーズが1勝でもすればアントラーズの優勝が決まる。まさに崖っぷちに追い込まれたフロンターレ。第32節の相手はガンバ大阪。長谷川監督の今季末引退が決まり、順位も10位と絶不調だが、日本代表の井手口や倉田、東口らもいて、簡単な相手ではない。だが、アデミウソンやファンウィジョがケガ欠場。長沢もケガ明けでベンチに座る中、ワントップは呉屋。左SHに20歳の高木。右SH米倉と苦心のメンバー編成を強いられる。だが中盤から後ろは健在。井手口と遠藤のボランチ。今野と三浦のCB。左右のSBには藤春と初瀬が入り、GKには東口が控える。対するフロンターレは、左SH阿部、CH大島、GKチョンソンリョンが復帰し、ほぼベストメンバー。意地の勝利が期待された。

 序盤から攻め続けるフロンターレ。4分、CH大島のクロスにCF小林がヘディングシュート。11分、右SH家長のキープから左SH安倍がミドルシュート。15分、CF小林の戻しをCH大島が縦に送り、いったん左SH阿部が戻すと、大島のフワッとしたスルーパスにOH中村憲剛が走り込む。しかしシュートは枠を外した。圧倒的に攻めるフロンターレだが、ガンバの守備が集中している。

 26分、中盤のルーズボールを右SBエウシーニョが収めて右SH家長に預けるとそのままゴール前へ。CF小林のクロスにエウシーニョが走り込むが、わずかに届かない。28分、OH中村憲剛のCKにCB奈良がヘディングシュート。しかしこれもGK東口がファインセーブで弾き出す。36分、左SH阿部のミドルシュートはGK東口が正面でキャッチ。そして45分、CHエドァルド・ネットのスルーパスに右SH家長が走り込むが、GK東口の飛び出しが早く、シュートを打たせない。前半はガンバの守りの前に、ついにゴールを挙げることができなかった。

 しかしシュートは1本もなかったガンバ。後半頭にはCF呉屋に代えて赤崎を投入する。5分、カウンターでOH中村憲剛が前に運び、左に流して、CF小林のパスに左SH阿部がミドルシュート。しかしポストを叩く。どうしてもゴールが遠いフロンターレ。7分、ガンバは左SH高木に代えてFW長沢を投入。倉田を左SHに移して4-4-2にする。しかし2トップにしたことで逆に中盤にスペースができて、フロンターレのパスがさらに回り始める。

 9分、CHエドゥアルド・ネットのスルーパスに抜け出したCF小林がシュート。だがGK東口の右足が伸びる。スーパーセーブ。11分、CHエドゥアルド・ネットの縦パスから右SBエウシーニョが中に戻し、左SH阿部がシュート。DFがブロック。13分、右SH家長のミドルシュートもGK東口がナイスセーブ。東口がいよいよ乗ってきた。15分、OH中村憲剛のFKに右SBエウシーニョがヘディングシュート。しかしこれもGK東口がファインセーブ。さらに直後、右SBエウシーニョのクロスをCB奈良がヘディングで落とし、CB谷口がボレーシュート。これも枠に入らない。

 ゴールが遠いフロンターレ。これではいよいよアントラーズの優勝が決まってしまうか。26分には左SB藤春のクロスにFW赤崎がミドルシュート。ガンバの初シュートだが、何とかCB谷口がブロックした。カウンターが怖い。28分、CHエドゥアルド・ネットのスルーパスに右SH家長が抜け出してシュート。だがこれもGK東口がセーブする。31分、左SB車屋のクロスに右SH家長がュートを放つもバーの上に外れる。絶望感も漂い始めた37分、OH中村憲剛のCKを右SH家長がヘディングで落とし、右SBエウシーニョがシュート。GK東口の股下を抜いて、ついにゴールを挙げた。ゴール、ゴール、ゴール。アディショナルタイムにはCB谷口があわやハンドかというプレーもあったが、主審はPKを取らず。そしてタイムアップ。1-0。フロンターレがギリギリ勝利を挙げて、初タイトルの望みを次週以降につなげた。

 それにしてもゴールが遠い。次節はアントラーズが26日、先にレイソル戦。フロンターレはその結果を見てから29日にレッズ戦を行う変則日程。アントラーズレイソルに勝利すれば優勝。もし引き分け以下なら、レッズ戦に勝利すれば優勝は最終節につながる。いずれにせよギリギリの状態。まずはレイソルの奮闘に期待しよう。これでアントラーズが勝利すれば、レイソル相手の勝敗で優勝が決まったことになる。前節のレイソル戦のドローが何とも痛かった。