とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

高校サッカー選手権決勝 青森山田 対 流通経済大付属柏

 高校サッカーもついに決勝戦。準決勝を尚志相手にPK戦の末、勝ち上がってきた青森山田に対して、流経大柏は初出場の瀬戸内相手に5-0の快勝。中1日では流経大柏に体力的なアドバンテージがありそうだが、お互いそんな不安は感じさせない頑張りで決勝90分を戦い切った。青森山田流経大柏も先発は準決勝と同じ。流経大柏は八木と左部の2トップ。熊澤と藤井がボランチに入り、右SH西尾、左SH岡本。DFは右から北島、須永、関川、横田。GKには1年生の松原が入る。

 序盤、流経大柏が積極的。3分、FW八木のCKのクリアをCH藤井がミドルシュート。5分にはCH熊澤のロングスローのクリアをCB関川がボレーシュート。しかしこれはDFがブロックした。8分には左SH岡本のクロスからFW左部がヘディングシュートを放つ。序盤、押され気味の青森山田だったが、9分、右SHバスケスバイロンがドリブルで右サイドを突破。DF二人を抜いてクロスを入れると、OH武田がシュート。こぼれ球をCF佐々木がシュート。これもDFにブロックされるが、ゴール前の混戦の中からCF佐々木がシュート。GK松原がナイスセーブする。

 11分には左SH檀崎のFKにCB三國がCB関川と競り勝ってヘディングシュートを放つ。流経大柏も13分、FW八木のFKにCB関川がヘディングシュート。DFのクリアを右SB北島がボレーシュート。お互いよく攻めて、よく守る。まさにがっぷり四つの展開。27分、青森山田は右SHバスケスがパス交換をしつつ中に切れ込むと、落としを左SH檀崎がミドルシュート流経大柏も28分、左SH岡本のクロスが右に流れると、右SH西尾がミドルシュート。DFブロックのこぼれ球をFW八木がミドルシュート。これもDFがブロックする。

 そして32分、右サイドからのFW八木のCKにCB関川が走り込んでの高いヘディングシュート。ネットに突き刺さり、流経大柏が先制点を挙げた。すごい。だが青森山田も負けずに反撃する。39分、OH武田がミドルシュートを放つと、続く40分。自陣中盤の攻防からCH天笠が縦にフィード。これにCF佐々木が抜け出して絶妙のクロス。左SH檀崎が走り込んでシュート。あっという間のカウンターで青森山田が同点に追い付いた。45+1分にはOH武田のFKがポストを叩く。前半は1-1の同点で折り返した。

 後半、流経大柏は布陣をそのまま、選手のポジションを変える。右サイドの上下を交代。西尾を右SBに下げて、北島を右SH。八木をボランチに下げて岡本をFWに上げる。熊澤が左SH。しかし序盤は一進一退、互角の展開。それでも11分、CH澤田のロングスローからOH武田がミドルシュート。これはGK松原がファインセーブを見せるが、ここから次第に青森山田が押し始める。14分、OH武田のFKはGK松原がキャッチ。そして18分、右サイドを右SHバスケスバイロンが仕掛ける。DF二人を抜いて切り込むと、クロスに左SH檀崎がシュート。青森山田が勝ち越し点を挙げた。

 流経大柏は16分、右SH北島に代えて芹田。22分にはCH八木に代えて左SH度會を投入。25分、FW左部がCB二階堂からボールを奪い、ドリブルからシュート。だがDFにブロックされる。27分にはCF岡本を下げて左SH間を投入する。青森山田も28分、OH武田に代えて藤原。35分にはCF佐々木に代えてスーパーサブ小松を投入する。流経大柏も37分、度會に代えて右SB清宮を投入。西尾をCBに下げて、関川をFWに上げる。左部がCH、熊澤がトップ下に入る。42分、右SH芹田のCKにFW関川がヘディングシュート。だが枠を捉えられない。

 そして43分、ピッチ中央付近でルーズになったボールをCH天笠が前に蹴り出すと、FW小松がうまくDFの裏を取って抜け出す。GKをかわしてダメ押しの3点目。青森山田が追加点を挙げた。その後は青森山田が勢いに乗る。45+3分、左SH檀崎のFKにCB三國がヘディングシュート。45+4分、右SHバスケスバイロンが仕掛けて、切り返しからミドルシュート。そしてタイムアップ。3-1。青森山田が2年ぶり2度目の優勝。流経大柏は2年連続、決勝で涙を飲んだ。

 先制されても慌てることなく攻めていった青森山田の攻撃力が流経大柏の守備力を上回った。左SH檀崎はコンサドーレに行ってもすぐにトップでやれるんじゃないか。そして流経大柏の関川もトップチームに上がってくるのはそんなに先のことではないだろう。突出したドリブルを見せたバスケスバイロンいわきFCから再スタートを切る。他にも大学経由でJリーグを目指す者もいるだろう。彼らのさらなる成長を期待したい。まずは青森山田、おめでとう。そして青森山田と準決勝で互角に戦った尚志高校も忘れられない。楽しい大会だった。

アジア杯グループF 日本対オマーン

 初戦トルクメニスタン戦は先行され、逆転したものの、また1点差に追い詰められるなど、苦しいゲームを勝利した。2戦目オマーンはグループ内で日本に続くFIFAランク82位。けっして簡単な相手ではない。大迫が臀部の違和感で欠場し、代わりに北川が先発。遠藤がCHで先発して、冨安はCBに下がった。他はトルクメニスタン戦と同じ先発。オマーンは4-2-3-1。ガサーニのワントップにトップ下にヤヒヤイ。左SHサーレフが積極的に仕掛ける。右SBムハイニと左SBプサイディも攻撃参加に積極的だ。

 ゲームは序盤から日本ペースで進む。2分、右SH堂安がドリブルで仕掛け、クロスに左SH原口がシュート。バーを叩く。7分にはCB冨安がヘディングで前に送ると、OH南野が抜け出しシュート。しかしGKルシャイディがナイスセーブ。続くCKから左SH原口がミドルシュートを放つが、枠を捉えられない。12分にもCB冨安のフィードにOH南野が抜け出しシュート。ポスト右に外れる。しかし南野が積極的に仕掛け、シュートを放っていく。

 序盤から守る時間が長かったオマーンだが、20分、OHヤヒヤイがカウンターで駆け上がる。CB吉田が間合いを取って対応する中、スルーパスにCFガサーニが走り込む。飛び出したGK権田をかわしてシュート。CB冨安が逆を取られ足が出なかったが、わすかにポスト左に外れた。危ないシーン。日本も24分、中盤でCH遠藤がボールを奪い、スルーパスにOH南野が抜け出してシュート。しかしGKルシャイディがファインセーブ。さらに右SH堂安が詰めてシュートを放つが、DFがヘディングでクリアした。ゴールが遠い日本。

 そして26分、右SH堂安のスルーパスにまたもOH南野が抜け出す。しかしシュートはまたもGKルシャイディがファインセーブ。こぼれ球に左SH原口が駆け寄って、仕掛けるとPAギリギリの位置で左SHサーレフと交錯。倒れると主審がPKを宣告。足をかけたというよりもボールを蹴り合って倒れた感じの微妙な判定だったが、28分、これを原口が決めて日本が先制点を挙げた。

 39分には右SH堂安が右SB酒井とのワンツーからミドルシュート。日本が両サイドから押し上げていく。しかし45分、左SHサーレフからの大きなサイドチェンジに左SBプサイディが駆け上がり、クロスにサーレフがミドルシュート。CH遠藤がブロック。こぼれ球をOHヤヒヤイがシュートすると、左SB長友の手に当たった。が、主審はPKを取らず。主審の判定に助けられた前半だった。

 後半になると、オマーンのプレスが積極的になってきて、日本はリスクを負わないパス回しが続く。12分にはCF北川に代えて武藤を投入。オマーンも22分、OHヤヒヤイに代えてガサニ。2トップにする。24分には右SBムハイニがミドルシュートを放つ。32分にはCFガサーニに代えてハジリを投入する。日本は後半、なかなかパスがうまくつながらない。そんな中、OH南野が一人で仕掛ける。ドリブルでDF3人を抜いてゴールに迫るが、最後はDFに止められた。35分、右SH堂安のミドルシュートもGKルシャイディがキャッチする。

 オマーンも35分、右SBムハイニのクロスを右SHヤフマディがフリック。左SHサーレフがオーバーヘッドシュートを放つが、枠は外した。38分、左SH原口のクロスをCF武藤がヘディングで落とし、右SH堂安が走り込むが、武藤がオフサイド。39分には右SH堂安を下げて、伊東純也を投入する。45分、OH南野のスルーパスに右SH伊東が抜け出し、ドリブルからシュート。だがこれもGKルシャイディがナイスセーブ。45+3分、OH南野のドリブルで得たFKをCH柴崎が狙うが、これもGKルシャイディがセーブ。結局最後まで流れの中ではゴールなし。それでも前半に得たPKの1点を守り切り、日本がグループリーグ2勝目。決勝トーナメント進出を決めた。

 前半はともかくとして後半はつまらないゲーム。1点差では下手に勝負もできず、勝利のためには仕方ない采配だったかもしれないが、やはり物足りない。中東とのゲームではどうしてあんなにGKがファインセーブを連発するのだろう。このゲームでも南野が1点でも決めていればもっと楽に勝利でき、他の選手も試すことができた。やはりアジア杯は難しいということか。次はウズベキスタン戦。森保監督がどんな選手起用をするのか。1位抜けだとグループEからカタールまたはサウジ、2位抜けでもグループBでオーストラリアかヨルダン。どちらにしても難しい相手だ。ここは思い切った選手起用でこれまでにない戦い方を見せてほしい。

高校女子サッカー 常盤木学園 対 星槎国際湘南

 高校女子サッカーもいよいよ決勝戦。勝ち進んだのはインターハイ優勝の名門・常盤木学園と創部5年目・星槎国際湘南。常盤木学園のOGと言えば、鮫島や熊谷を始め、京川、市瀬など枚挙にいとまない。一方、星槎国際からはベレーザで活躍する宮澤ひなたがスタンドに駆け付けた。常盤木の布陣は準決勝と同じ3-4-3。準決勝から左CB堀内と右IH高橋を入れ替えてきた。対する星槎国際は4-4-2。安保と遠藤の2トップに、左SH加藤もも、右SH望月。ボランチに武と針生が並び、DFは右から国部、黒柳、渋谷、阿久井。そしてGKは身長わずか157cmの小野葵が先発した。

 序盤から常盤木学園が積極的に攻めていく。6分、CH西野の縦パスに抜け出した左WG安澤がシュート。9分、IH沖野の右サイドからのクロスにCF中村がヘディングシュートを放つ。10分にもCH柴山がミドルシュート。しかし星槎国際も常盤木の攻撃にしっかり対応すると、12分にはFW安保の落としからFW遠藤が右に展開。右SH望月のクロスに左SH加藤ももが飛び込んでいく。しかしGK今井がキャッチ。だがこれで星槎がペースを取り戻すと、15分には左SB阿久井のフィードのクリアを左SH加藤ももが拾い、ミドルシュート。バーを叩く。あの距離からあの弾道のシュートが打てるというのはすごい。

 と思ったら、さらにびっくり。23分、中盤深い位置からのFKをCB黒柳が蹴ると、低い弾道で壁の上を超えてそのままゴールに飛び込んだ。男子も顔負けのすごいシュート。星槎国際が先制点を挙げた。常盤木も28分、より近い位置でFKのチャンスを得た。CH柴山が壁の左を回してゴールを狙うが、GK小野がファインセーブ。GK小野は小柄ながら反応がいい。その後は常盤木学園が反撃。だが星槎の守備がよく、なかなか決定機を作れない。常盤木は38分、右IH高橋に代えて加藤愛を投入する。42分、星槎の左SH加藤ももがPA手前を左にドリブルしながらミドルシュート。だがDFがブロックした。前半は星槎1点リードで折り返した。

 後半も常盤木が攻める。だが星槎の守備が堅い。中盤からしっかりと寄せ、ゴール前でも常盤木の選手を自由にさせない。ようやく15分、CH西野の縦パスを右IH加藤愛が落とし、CH柴山がミドルシュート。だがわずかにバーを越えた。その後も常盤木が攻めて、星槎が守る展開が続く。19分、常盤木は左WG安澤に代えて北川を投入。星槎も23分、CH武に代えて高井を投入。29分、FW遠藤のスルーパスにFW安保が抜け出しシュート。DFブロックのはね返りを左SH加藤ももがミドルシュートするが、GK今井がキャッチした。

 常盤木は31分、CF中村のクロスを左WG北川がボレーシュート。残り少なくなって、常盤木が必死に攻める。42分、左WG北川がドリブルで仕掛けてクロス。左IH沖野が走り込むが、GK小野がセーブした。44分にもCH柴山のFKをGK小野がキャッチ。簡単なボールではない。さらに45+3分、CH柴山のクロスをCH西野がヘディングシュート。しかしこれもGK小野がファインセーブ。どうしても星槎のゴールが割れない。そしてタイムアップ。星槎国際が前半の1点を守り切って1-0。嬉しい初優勝を飾った。

 常盤木はよく戦ったし、内容的には上回っていたかもしれない。しかし星槎の守備は堅かった。特に小柄なGK小野が再三のファインセーブ。そしてCB黒柳のFKもすごかった。わずかの差。次に戦えば常盤木が勝つ確率の方が高いかもしれない。だが勝利したのは星槎。これがサッカー。だが両チームともに執着心のあるいいゲームをしていた。この中から未来のなでしこがまた生まれてくるだろう。楽しみにしたい。