とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

信号のない交差点で、横断歩道が交差点の向こう側にしかない場合の停車位置について

 タイトルを見てわかってもらえるだろうか。航空写真で見るとこんな感じ。

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 毎朝、娘を駅まで送り迎えする際に通過する交差点の中に、横断歩道が片側にしかない交差点がある。行き(画像の上から下へ向かう)は、交差点手前の横断歩道の前に停止線があるので、歩行者がいる時は停止線で止まるが、歩行者がいない時は、交差する道路は一旦停止になっているので進入車を待たせて、優先道路であるこちらがそのまま通行していく。

 問題は帰り(下から上に向かう)だ。歩行者がいなければ、交差道路からの進入車は待たせて、こちらは止まることなく通行していくことは行きと同じ。だが、歩行者がいる場合は、どこで止まればいいのか。横断歩道には停止線が描かれていない。停止線がないから、歩行者を無視して通行してよい、などということはないはずだ。必ず止まる。だが、どこで。

 正解は「交差点の手前」のようだ。すると一旦停止した進入車に道を譲ることになる。その車が直進したり、横断歩道のない側へ右折していくのであればいいが、左折する場合には、左折の途中、横断歩道の手前で停止することになる。そうすると、こちらが優先道路のはずが、優先でない道路から進入してきたクルマが先に行くことになる。何か、悔しい。

 とは言え、横断歩道の前まで進んで、交差道路からの進入車の通行をふさぐ形になるのも、そのクルマが直進や右折をする場合には、円滑な交通を妨げることになる。ということは、やはり交差点の手前で止まるしかない。せめて、交差点の手前に停止線を引いてくれたら、多少は納得できるだろうか。

 それでも、歩行者が横断歩道を渡り終わるタイミングだと、きっと進入車を無視して横断歩道近くまで通行し、渡り終えるや否やそのまま通過していくだろう。一方、交差点手前に停止線が引かれていれば、仕方なくその位置で止まり、歩行者だけでなく、交差道路からの進入車にも道を譲ることになる。

 ということは、横断歩道のない側の交差点の手前にも停止線が引いてあれば、交差点の安全性は高まるが、一方で、優先道路側の交通の円滑化は妨げられる。停止線がないということは、そのあたりの微妙なバランスを運転者同士のマナーに委ねていると言うこともできる。そうか、これを書き始めるまでは単純に、「どこでもいいから停止線を引いてくれ」と言いたいだけだったが、こうして書きながら考察を進めてみると、警察署の配慮と深慮が見えてくる(本当にそうかは知らないが)。

 「歩行者がいる場合は、交差点の手前で止まる」というルールを胸に、「これからも事故のない円滑な運転に心掛けよう」と思った次第である。

J1リーグ第14節 横浜F.マリノスvs.川崎フロンターレ

 グランパスに敗戦した後、ヴィッセル戦も引き分けて、調子を落とすかもと思ったが、前節はエスパルス相手に5-0。ミッドウィークのルヴァン杯でもヴィッセルを6-0で撃破し、すっかり元の調子に戻ったフロンターレ。一方、マリノスは3連勝の後、前節はヴィッセルに引き分けが、このところ調子を上げている。打ち合いの面白いゲームを期待した。

 マリノスは4-3-3の布陣。ワントップにはレイソルから期限付き移籍で加わったジュニオール・サントスが務める。彼が先発したゲームはここまで公式戦4連勝中だ。右WGには19歳の松田詠太郎、左WGにはエリキが入る。中盤はマルコス・ジュニオールと天野がトップ下に並び、扇原がアンカーに入る。DFは右SB小池、左SBティーラトン。CBは畠中とチアゴ・マルチンス。GKにはパクイルギュが先発した。対するフロンターレの先発はCFにレアンドロ・ダミアン、右WG家長、左WG三苫。中盤は守田をアンカーに、右IH脇坂、左IH大島。左SBには車屋が先発し、右SBは山根。CBに谷口とジェジエウ。GKチョンソンリョンもいつものとおり。

 序盤、マリノスが前からプレスをかける。そして2分、右SB小池の縦パスに右WG松田が走り込み、クロスに左IHマルコス・ジュニオールがシュート。マリノスがあっという間に先制点を挙げた。その後もマリノスが攻めていく。フロンターレは16分、左SB車屋が中へ運び、右に送ると、右WG家長の縦パスに右SB山根が走り込み、クロスにCFレアンドロ・ダミアンがヘディングシュート。DFがブロックしたが、これ以降、次第にフロンターレがペースを握り始めた。

 24分、右SB山根のサイドチェンジから仕掛けた左WG三苫が戻して、左IH大島がミドルシュート。25分には左IH大島のスルーパスに左WG三苫が走り込み、ゴール前にクロス。しかし飛び込んだCFレアンドロ・ダミアンにわずかに合わない。さらに26分、右WG家長のサイドチェンジから左SB車屋のスルーパスに左IH大島が抜け出してクロス。DFに当たったボールはポストを叩いた。そして33分、左IH大島の落としを右IH脇坂が左に展開。左WG三苫が切り返して、寄せてきたCBチアゴ・マルチンスの股下を抜くシュート。これがゴールに飛び込んだ。フロンターレが同点に追い付いた。

 この間、フロンターレは全く落ち着いている。マリノスの右SB小池が中に絞って、左IH大島に付くことが多く、左WG三苫はフリーでいることが多い。長いパスが三苫に渡ると、右SB小池かCBチアゴ・マルチンスが対応するのだが、そこをうまくかわしてミドルシュートを決めた。その後はフロンターレ・ペース。45分、右IH天野のFKが壁の間を抜けたが、GKチョンソンリョンがキャッチ。前半は1-1で折り返した。

 フロンターレは後半最初から、脇坂とレアンドロ・ダミアンを下げて、右WGに旗手、CFに小林悠を投入。家長が右IHに入る。すると後半序盤からフロンターレが前からプレッシャー。マリノスはDFからパスをつなごうとするが、フロンターレのプレスにミスが続き、危ないシーンが続く。そして2分、左SB車屋の縦パスに抜け出した左IH大島がゴール前に絶妙のクロス。右IH家長が難なくシュートを決めて、フロンターレが後半早々勝ち越した。さらに5分、左WG三苫が左SB車屋とのパス交換から右へサイドチェンジのパスを送ると、右WG旗手のクロスに左WG三苫がシュート。マリノスはDFが5人並んでいたが、三苫がCBチアゴ・マルチンスと右SB小池の間にしっかりと走り込んでいた。

 あっという間の2失点。反撃しようとしたら、9分過ぎから急に強い雨が降り出した。10分、右WG松田のクロスに左IHマルコス・ジュニオールがシュートを放つが、枠は捉えられない。フロンターレはその直後にジェジエウを下げて左SB登里を投入。車屋がCBに下がる。マリノスも12分、左WGエリキに代えて前田大然、右WG松田に代えて仲川、そして天野を下げてCH喜田を投入する。布陣は4-2-3-1。23分にはCFジュニオール・サントスを下げて、オナイウ阿道を投入。だが、中を固めるフロンターレの守備をなかなか崩せない。

 逆にフロンターレは26分、CH守田の縦パスを受けた左WG三苫が切り返し、切り返してシュート。わずかに右に外す。28分には左WG三苫に代えて齋藤学。29分、左IH大島のクロスにCB谷口がヘディングシュートするも、これは枠の外。マリノスも30分、右SH仲川のミドルシュートはGKチョンソンリョンがセーブする。38分、左IH大島のクロスにCF小林がボレーシュートするも、枠は捉えられず。直後、マリノスはCH扇原を渡辺皓太に交代した。。

 フロンターレは42分、左WG齊藤のミドルシュートのこぼれをCF小林がシュート。だがGKパクイルギュがナイスセーブ。マリノスも43分、OHマルコス・ジュニオール、CFオナイウ阿道ミドルシュートを放つが、枠を捉えられない。アディショナルタイム45+4分には、飛び出したGKパクイルギュからのバックパスがあわやオウンゴールになりそうな場面もあったが、相手ゴールへの攻撃はフロンターレの守備を崩しきれない。結局そのままタイムアップ。フロンターレが3-1と勝利した。

 4戦負けなしのマリノスだったが、フロンターレの前にはまだまだ安定感に差があった。特に後半立ち上がりはGKから無理にパスをつなごうとしてボールを奪われ、再三のピンチの末の2失点。そして、直後からの豪雨はマリノスの反撃を削いだ。その点はマリノスにとってやや不運だったが、それにしてもその前の2失点はあまりに集中力を欠いていた。これで順位も8位に転落。昨季のペースを取り戻すには、まだまだ課題が多い。一方、フロンターレはすっかりペースを取り戻した。まだ連戦が続き、日程的には厳しいが、これから気温が下がれば身体的にも楽になる。本当にこのまま行ってしまいそうな勢いだ。

フィデル出陣☆

 「フィデル誕生」の続編となる「ポーラースター」シリーズの第4部。「フィデル誕生」の読書感想で、「第4部ではカストロゲバラが出合い、キューバ革命が進行していくのだろう」と書いたが、そうではなかった。本書の最後でようやくカストロゲバラは出合う。本書はそれまでのカストロの前史である。ゲバラと出会って以降の話は「チェ・ゲバラ伝」など多くの史伝で語られているが、それまでのカストロの活動が語られることは少ない。ゲバラと出会って以降、キューバ革命がどうして成功したかを考えるためには、それまでのカステロの活動を抜きには語ることができない。それを余すことなく記す。非常に魅力的な評伝である。

 そして読みつつ、現在の日本の政治状況を思わざるを得ない。アメリカの属国として気を使いつつ、官僚や経済界、検察・警察機構等と緊密な関係を築き、大手メディアを通じた抜け目ない情報操作等により大衆の支持を得て、長期政権を維持し、一方で蓄財に励む。これって、まさに現在の日本の政治状況ではないか。そして今、日本にはカステロはいない。

 ようやく安倍政権が終了すると思ったら、その政治運営を臆面もなく継続するという新たな総裁候補が現れ、各メディアがそれを手放しで礼賛する。さらに批判者に対して、下劣な炎上攻撃を行う。人々はますます委縮し、「長いモノには巻かれろ」と現状を追認する。カステロの時代には、キューバだけでなく、多くの国で学生たちが政治を語り、立ち上がった。今の日本にはそうした状況は微塵もない。

 あとがきに当たる巻末の「コロナ襲来」で、筆者は「コロナで得た知恵もある」と述べる。「窓を開け、密を避けよう」。しかし、それが本当に力になるのか。分散し、飛散してしまわないか。まさに「フィデルに統治されたキューバを羨ましく思う」(P537)。しかし希望は失いたくない。もとより楽園など一生生きても辿り着けないことはわかっている。

 第4部まで続いた「ポーラースター」シリーズだが、たぶんこれで一応の終わりだろう。この続きとしてキューバで起こったことはよく知られている。日本における第5部はどんな内容になるだろうか。日本のフィデル・カステロ=ルスは今、何をしているだろうか。いつの日か、そんなカステロが活躍する続きが書かれることを期待したい。

 

 

○清潔な政治を目指せば市民にも支持されます。そうなれば政権を握れます」/「概ねその通りなんだが、市民の力は物事を変える時には結集しにくい。…一方…体制派は結束が固い。彼らは既得権益を守るという一点で迷いがない。両者が争えば勝敗は明らかだ」…「世の中は変わりっこない、ということですか」/「それは短絡的だ。変わる時には体制なんて脆い。要はどちらの確信が強いかということになる。(P91)

フィデルも歴史の先端にいる水先案内人のひとりで、自分やトレドはたまたま彼の側にいたため役割の一部を担わされただけの凡人だと思った。/騒動が収束した時、凡人の名は消え去り英雄の神話だけが語り継がれていく。/そして英雄は物語を振り返らず歴史の先端を走り続けるのだ。(P267)

フィデルの活動歴を見れば、民主的手法で多数の意見をまとめるという行為が苦手で、性質は民主的というより独裁的で…こうしてみると、フィデルとバチスタの精神構造はとてもよく似ていた。…フィデルとバチスタはお互いの存在を必要とし合う、分かちがたい双子のような関係だったとも言える。(P364)

○「私は無罪を求めません。冷たい牢獄も不当な死も恐れません。信念を枉げることのみ恐れます。犯罪者や盗賊が国家元首である国では、誠実な人々の居場所は天国と牢獄しかないのです」/昂然と見上げた空に…最後の言葉を解き放つ。/「私を断罪せよ。だが歴史は私に無罪を宣告するだろう」(P493)

○コロナはとんでもない災厄だが、同時に知恵も教えてくれた。…「窓を開け、密を避けよう」ということだ。/そうすれば視界が広がり、違う世界がある、ということに気づかされる。…密室で密集し密接に圧力を掛け、情報を封鎖し声を封じる。それが体制マフィアの手口だ。…現在の日本の惨状は、独裁者が官邸経済官僚(KKK)と結託し、メディアとの共同謀議で作り上げた、腐臭を放つ老廃物の集合体だ。(P537)