とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J1リーグ第8節 ジュビロ磐田vs.名古屋グランパス

 前節、アビスパと引き分けたグランパス。ゲーム前にはユンカーの半月板損傷が公表された。山岸もケガで出られない中、永井への負担が大きくなる。ジュビロは2連勝で11位まで順位を上げてきた。グランパスとの勝ち点差はわずか1。グランパスにとってはアウェイだが、ここはしっかり勝っておきたい。

 ジュビロの布陣は4-4-2。ペイショットとジャーメイン良と2トップに、SHは右に松本、左に平川。ダブルボランチは上原と藤原。DFは右SBに西久保、左SB植村。グラッサと伊藤槙人のCBに、GKは川島。好調のジャーメインが要注意だ。対するグランパスは3-4-3。永井をトップに、森島と倍井がシャドーに入る。WBは右に和泉、左に山中。ボランチは米本と稲垣。CBは右から三國、ハチャンレ、河面。GKは前節に続いて、武田が先発した。

 序盤からグランパスが積極的に攻めていく。一方、ジュビロも前線からプレスをかけてハメに来ると、グランパスのCBの対応がイマイチでやや不安。それでも8分、中盤でCH稲垣がボールを奪うと、スルーパスにCF永井が抜け出し、ミドルシュート。そしてその直後、再び中盤でボールを確保すると、CH米本から左へ出したパスを左WG倍井が受けてドリブル。ゴール前にCF永井と右FW森島が走り込むと、倍井のクロスはそのままゴールに飛び込んだ。ゴール。倍井のうれしいプロ初ゴールで先制点を挙げた。

 するとその後はグランパスのペース。3人のFWが積極的に前からプレスをかけていく。19分には左WB山中のクロスにCF永井がシュート。GK川島がセーブする。ジュビロは28分、CH藤原がFKで直接ゴールを狙うが、枠は捉えられない。グランパスも41分、左WB山中のFKはゴール右に外れる。そして42分、CF永井の落としを受けた左WG倍井がドリブル。しかしトラップがやや長かった。CBグラッサが先に寄せてクリアすると、左WG倍井の足裏がグラッセの足首に入る。主審は倍井に一発レッドカードを提示した。前半のうちからグランパスが一人少ない状況になってしまう。それでも前半はそのまま終了した。

 後半頭、ジュビロは松本を下げて、左SHに古川を投入。平川を右SHに回した。4分には右SB西久保のロングスローをFWペイショットが落として、FWジャーメイン良のシュートはDFが先に触って防いだが、こぼれ球を左SB植村がシュート。しかしポスト左に外れる。その後も一人多いジュビロがパスを回して攻めていく。しかしグランパスも12分、左WB山中のFKのクリアを右FW森島がボレーシュート。13分、CH藤原のミドルシュートはCB河面がブロックする。

 17分、ジュビロは藤原と伊藤に代えて、右SH藤川、CB森岡を投入する。平川が今度はボランチに回る。すると19分、FWジャーメイン良がドリブルで持ち上がり、左に流して、左SH古川がカットインからミドルシュート。しかしGK武田が横っ飛びナイスセーブ。22分には左SB植村のクロスを右SB西久保が落として、FWジャーメイン良がシュート。しかしDFがブロックする。

 23分、グランパスは山中に代えて、左WBに内田。ジュビロも24分、西久保に代えて、左SB高畑を投入。植村が右SBに回った。攻めるジュビロは29分、CH古川の縦パスをFWペイショットが落とし、古川がシュート。だが枠を外す。36分にはCH上原の縦パスを受けたFWジャーメイン良が反転してシュート。右ポストを叩く。38分、ジュビロは平川を下げて、右SHにブルーノ・ジョゼ。藤川がボランチに入る。グランパスも39分、米本と永井を下げて、CH椎橋とFWパトリック。守備を固める。

 その後もジュビロが攻める。42分、CH藤川のクロスに右SHジョゼのシュートは左WB内田がブロック。45+1分、左SH古川の縦パスに左SB高畑が走り込み、クロスに右SHジョゼがヘディングシュートするも、ゴールの左に外れる。45+4分には森島を下げて、右CH吉田。5-3-1の布陣で守るグランパス。45+6分、CH上原のクロスもCB森岡の手間でCB三國がクリア。そしてタイムアップ。後半は守るシーンが多かったが、最後までしっかり守り切った。1-0。グランパスが勝利した。

 これで5戦負けなし。次はルヴァン杯を挟んで、首位セレッソをホームで迎え撃つ。セレッソは依然負けなし。ここ2試合はアルビレックスフロンターレを相手に1-0と、今季のセレッソは守備がすばらしい。でも、グランパスも守備なら、三國を右CBに置いて移行、だいぶ整備されてきた。しっかり守り切って、首位との勝ち点差を縮めていこう。期待したい。

J1リーグ第7節 名古屋グランパスvs.アビスパ福岡

 前節、コンサドーレに逆転勝利して、3勝3敗。順位も8位まで上げてきたグランパス。一方、アビスパはここまで2勝2敗2分。12位ながら、前節はアントラーズに1-0で勝利した。勝ち点差はわずか1。まだ序盤だが、しっかり勝ち点を積み上げていきたい。

 グランパスの布陣はいつもの3-4-3。永井をトップに、森島と和泉がシャドーに入る。中盤は椎橋と米本でボランチを組み、WBは右に中山、左に内田。CBは右から三國、ハチャンレ、河面。GKは武田が先発した。ハチャンレが3試合ぶりに復帰したが、ランゲラックはベンチにもいない。どうしたのだろう。対するアビスパも同じく3-4-3の布陣。イラン人のザヘディをトップに、紺野と岩崎が左右のWGに開く。中盤は前と松岡のダブルボランチに、右WB湯澤、左WB前嶋。CBは右から、ドウグラス・グローリ、田代、宮。GKは村上。3-4-3同士、がっぷり組み合う形。

 序盤、グランパスが積極的に攻めていく。8分には右FW森島のFKのこぼれを右WB中山がミドルシュート。しかし次第にアビスパがパスを回して、攻め込むようになっていく。10分には左WG岩崎のクロスにCFザヘディがヘディングシュート。これがバーを叩く。ザヘディが強い。それでも11分、グランパスはCF永井が飛び出したGKを見て、ロングシュート。しかしGK村上にセーブされた。

 その後もアビスパの方が、寄せが早く攻め込んでいく。23分にはCH前のスルーパスに左WG岩崎が抜け出してドリブル。右CB三國の寄せに、シュートは枠を外した。32分には右CBグローリがミドルシュート。わずかにポスト右に外れる。さらに35分には右WG紺野のFKのクリアをCH前がミドルシュート。DFがブロックした。グランパスもようやく41分、CH椎橋のフィードにCF永井が走り込むが、右を駆け上がった右FW和泉へのパスは通らなかった。45+2分、CFザヘディのFKはGK武田が正面でキャッチ。前半はこのままスコアレスで折り返す。

 後半に入っても、アビスパは紺野、岩崎の二人のWGが前から積極的にプレスをかけてくる。それでも5分、グランパスは左FW和泉のフィードにCF永井が走り込み、落としをCH米本が縦に送ると、走り込んだ左FW}和泉が落とし、右FW森島の落としをCH椎橋がミドルシュート。カウンターでアビスパゴールに攻め込んでいく。一方、アビスパも12分、CH松岡がCFザヘディとのワンツーからドリブルで持ち上がり、ミドルシュート。GK武田が横っ飛びファインセーブで弾き出した。さらに15分、右WG紺野のFKのクリアを右WB湯澤がシュート。しかしゴール左に外れた。

 直後、アビスパはザヘディと紺野を下げて、CFウェリントンと左WG北島を投入。岩崎が右WGに回った。グランパスも21分、内田と和泉に代えて、左FW倍井と左WB山中を投入。ゲームはなかなか動かない。するとアビスパは28分、今度は岩崎と湯澤に代えて、右WG金森と右WB小田を投入する。グランパスも32分、中山を右WB久保に交代。34分、アビスパは、松岡をCH重見に代えた。

 37分、左WG北島のCKをニアでフリック。CH前がボレーシュートを放つが、枠は捉えられない。直後、グランパスは米本と永井を下げて、CFパトリックとCH稲垣を投入した。40分、再び左WG北島のCKのクリアをCH前がミドルシュート。左WG北島は41分にもミドルシュートを放つ。だがゴールは遠い。一方、グランパスはなかなか前に攻め込めない。そんな膠着した状態のまま、タイムアップ。結局、ゲームはスコアレス・ドローで終わった。

 やれやれ、お互い中3日ではなかなか厳しいゲームだったかもしれない。グランパスは終盤、左FW倍井の仕掛けが何度も見られたが、ゴールには迫れなかった。しかしこの3連戦を2勝1分で終えられたのはよかった。でも、やはり山岸とユンカーがいないとゴールが期待できるFWは永井ひとりになってしまう。倍井もいいが、まだ90分出場するのは厳しいか。それでも次はしっかり休みを取って、万全の態勢でジュビロ戦に臨みたい。

<きゅんメロ>の法則

 「ザ・カセットテープ・ミュージック」(BS12)は欠かさず見ている。本書も放送で紹介していたが、なんと地元の図書館の新書リストに掲載されていたので、思わず予約してしまった。タイトルの<きゅんメロ>は、「F→G→Em→Am」と続くコードのことで、洋楽ではあまり見ないのに、Jポップには圧倒的に多いと言う。

 第1章「『きゅんメロ進行』とは?」の解説に続いて、第2章では、具体のJポップを30曲取り上げ、いかに「きゅんメロ進行」が使われているかを紹介する。荒井由実の「卒業写真」もあれば、YOASOBIの「夜に駆ける」や「群青」も。全部で30曲。中でも最古というのが、ザ・スパイダースの「あの時君は若かった」。そして、単に「F→G→Em→Am」進行だけでなく、セブンスを駆使した「Dm7→G7→Em7→Am7」や「F→G→E7→Am」、「F→G/F→Em→Am」といった分数コード、さらに9th、カノン進行、「maj7」と「m7」の効果、不協和音の活用など、次第に内容はマニアックになっていく。でも、具体の曲を例に説明するので、わかりやすい。というか、これらはいつも「ザ・カセットテープ・ミュージック」で話していることなんだけどね。

 そして、第3章では、「ザ・カセットテープ・ミュージック」の相方であるマキタスポーツと、音楽プロデューサーにして作曲家でもある川原伸司との対談が2本。特に後者では、日本で「きゅんメロ進行」が始まったのは、イギリスの女性歌手、ヘレン・シャピロの「悲しき片思い」で、こうしたヨーロッパ系のヒット曲を参考に「F→G→Em→Am」進行が取り入れられたという話から、さらには「ベートーヴェンピアノソナタ第8番『悲愴』がそもそもの源流ではないか」という話まで出て、どこまで本当かわからないが、とにかく面白い。

 「ザ・カセットテープ・ミュージック」は、2017年から放送が始まっているが、その後、中断期間があり、昨年10月からシーズン2.1が始まった(ちなみにシーズン2はわずか4回で休止)。今度こそ、いつまでも続けてほしいと願っている。

 

 

○Jポップにおいて…「刹那」と…「切なさ」は非常に重要な要素なのです。…「F→G→Am」ではなく「F→G→Em→Am」と「Em」が入ることで、コード進行に「切なさ」が漂う。そしてそこに切ない歌詞が上乗せされて、初めてJポップが成立するのです。…そして、そんなコード進行が…永遠に終わらない。だから「きゅん」がずんずん心に積み重なることで、人々を虜にしてしまう―。(P15)

○「Fmaj7」は「ファ・ラ・ド・ミ」という構成音です。これをよく見ると「ファ・ラ・ド」という「F」=メジャーコードの上に「ラ・ミ・ド」という「Am」=マイナーコードが乗っている構造になっています。/逆に「Em7」は「ミ・ソ・シ」という「Em」=マイナーコードの上に「ソ・シ・レ」という「G」=メジャーコードが乗っている。/マイナーの上にメジャー、メジャーの上にマイナー。「maj7」と「m7」は、同じ「きゅんメロ・セブン」でも、対極的な関係になっていることがわかります。(P83)

○「Woman “Wの悲劇”より」…は、前半「Dm→Dm7/G」、つまり「Dm7」という「レ・ファ・ラ・ド」というコードをバックに、ミという伴奏にない音が歌われている…。つまりは、ちょっと浮いている感じがする。…後半「Cmaj7→Am7」も…ちょっと不協和音。/だから、大げさに言えば「ずっと外れた音で歌っている」…。でも、その外れ方が美しい響きを醸し出し、またその反面、ちょっと不協和音にも感じて、ちょっとザワっとするということなのです。(P152)

○【川原】ベートーヴェンピアノソナタ第8番「悲愴」…の第2楽章が…「C/E」…だぶんこれが…「きゅんメロ進行」の最初だと思う。/【スージー】カノン進行は「パッヘルベルのカノン」が起源ですし、マキタスポーツが「ドラマチック・マイナー」と名付けた「Am→F→G→C」は、ドヴォルザークの「8つのユーモレスク」起源だって言うんです。そうか、「きゅんメロ」は「悲愴」かぁ~。【川原】だからヨーロッパ起源(P179)

○輸入され続ける洋楽がどこか完全無欠過ぎて…どこか他人事のように思えてしまう…そこで…遠くヨーロッパから聴こえてきた「Em→Am」に飛び付いた。…「F→G」という真っ直ぐ明快な世界に陰を与えるし、「Em→Am」に流れることで、陰に中に「切なさ」から「悲しさ」へというデリケートな「陰翳」が入るし、そして、なんだか全体的に未練がましいから、未練がましい歌詞とピタッと合って最高!…となったのではないでしょうか。(P195)