とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

村木局長の幸せな人生

 厚労省の村木局長が逮捕され、さっそく「Chikirinの日記」では、本人を模した創作独白がアップされた。大阪地検で起訴されたことから関西系の圧力団体を想像する点や障害者自立支援法を絡めた偽装行為など、かなり真実に近いように感じる。このあたりがChikirinのうまさだよな。小室哲哉の時もうまいなあと思った。
 ブログ界では他にも、高知大出身や夫も高級官僚であることなど、さまざまなことが暴露されている。怖いなあ。でも、夫婦ともキャリアで共働きなら相当な収入があったはずだから、これを機に退職して家事に専念するのも悪くない。実は検察や厚労省内部でも、そんな配慮というか深慮もあったはず。
 そもそも官僚に食い込もうとする圧力団体や企業、ブローカーの類が政界・官界には無数たむろしていて、胡散臭い業界誌も数多く発行されている。彼らの多くは政治家に取り入り、政治家も票欲しさからこうした団体や個人を利用するから、何が正しくて何が不正義かくちゃくちゃ。
 弱者に手を差し伸べるはずの団体がいつの間にか圧力団体として強者に不当請求を行っていたり、政府の施策を紹介する業界誌が官公庁の無言の圧力をバックに押し売りされていたり。そんな権力と欲望の渦巻く中でうまく泳ぎ切って局長までたどり着くためには、相当の泳ぎのテクニックが必要で、仕事に対する個人的な信念を維持するのは逆にかなり難しいんじゃないかな。
 もっとも人間誰でもそうで、意に沿わないことでも周囲に合わせて適当に対応していくことが大人であり、そうやってみんな成長し生きてきた。だから、今回、村木局長が逮捕されたからといって、彼女が極悪非道なわけではなく、ほんのちょっと勇気と運がなかっただけ。でもこれまでの幸運にくらべれば取るに足らない。だって多くの同程度以上に優秀な同僚たちには、ほんの少しの運と何気ない判断の違いが今の境遇の差を生んだから。彼らにすれば、「だけどこれまではおいしかったよな」と思っているはず。
 本人にしても、逮捕自体はショックかもしれないが、死刑になるわけでもなく、少し変わった体験ができ(佐藤優なんかそれをネタに商売してるし)、退所後は夫の扶養による悠々自適で平穏無事な日々が待っている。いいなあ、そんな人生。うらやましい限りだ。