とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

岡田監督が無能なのか 選手が情けないのか 「改めてわかった」=「新しいことは何もなかった」

 オランダとの代表戦、序盤からもっと一方的な展開になるのかと思ったら、前半20分頃まで日本が積極的なプレスをかけ、ボールをキープした。しかし、いつもながらゴール前での落ち着きや冷静さに欠ける。惜しい場面は演出するが、シュートが枠に飛ばず、決定的な場面が作れない。
 2分の俊輔から岡崎に出たパスは後から考えれば最大のチャンスだったかもしれないが、トラップミスでチャンスを潰す。16分の俊輔からのクロスも憲剛は何とかならなかったのか。欧州の一流選手ならあそこでうまく切り返したかもしれない。20分の長谷部から始まり長谷部が放ったシュートはいつものようにゴールの左にはずれた。
 しかしオランダの選手たちを真剣にさせるには十分効果があった。24分のチャンスは何と最終ラインでのロッベンの守備から始まった。そこから一気にスピードを上げてファンペルシーのシュートで終わったプレーがオランダの反撃の狼煙だった。39分、カイトからファンペルシー。43分、ファンデルヴェールからファンペルシーとシュートするも川島が抑える。39分のスナイデルのイエローは明らかに彼のイライラを象徴していた。
 後半に入り、玉田に代わり本田を投入。しかしあまり周りとフィットしない。単独でドリブルできる場面では相手も安易に飛び込めず、さすがのプレーを見せるが、キックに精度を欠きチャンスを演出できない。日本の最後で最大の見せ場は17分のFKだろう。本田がキッカーを主張するが、ここは先輩に主役を譲る。俊輔のシュートは惜しかったが、GKフェルハイゼンが横っ飛びで弾き出す。もう一度FKのチャンスがあればよかったが、もうそうしたチャンスは訪れなかった。
 23分、この日、ロッベン相手に粘り強い守備を見せていた内田が、交代で入ったエリアに楽々振り切られ、シュートを浴びる。そこから得たCKを、デヨング、エリアとつなぎファンペルシーがゴール。日本の中盤は前半のようなキレがなく、ピンボールのようにボールが回りゴールを許した。28分には、同じく代わって入ったデゼーウから入ったパスをスナイデルが強烈ミドルで2点目。42分の3点目は、エリアからのクロスをフンテラールがシュートと、いずれも交代選手がきびきびとした動きを見せてゴールを量産した。
 前半途中から動きは落ちていた。後半の内田がエリアに抜かれたシーンは、これが限界なことは明らかだった。それなのになぜ日本は選手を交代しなかったのか。興梠は全く使えなかった。その原因は中盤にある。内田や遠藤を代えなかったのはなぜか。
 ゲーム終了後の岡田監督のコメントに納得がいかない。彼は課題や違いが「改めてわかった」と言った。「改めて」とは「前からわかっていた」ということだ。その「前からわかっていたこと」60分過ぎからの電池切れやゴール前の技術不足、精神力の欠如等々に対して、日本代表はどういう手を打ったのか。その答えが「今までやってきたことを継続する」!? だからあのぼろぼろの内田を遠藤を使いつづけたのか。それがどういう意味があるのか。極限で肉体的・精神的に追いつめることが、岡田監督が偏愛する選手たちの能力をレベルアップし、オランダに対抗できる戦力まで至ると考えているのか。
 違うだろ! 必要なのは有効な交代であり、主力が疲弊した後に頼りになる選手の発掘であり、60分以降に有効な戦術の発見だ。オランダが若手を積極的に試し、成果を上げたのに対して、日本はこのゲームで何が得られたのか。「改めてわかった」というのは、「何も新しい発見はなかった」というに等しい。それでよかったのか。日本はオランダとの戦いという貴重な経験を無駄にしてしまったという気がしてならない。やはり監督の交代という究極の選択をする必要があるのではないか。未来に期待の見えない1戦だった。残念の一言に尽きる。