とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

はじめてのトポロジー

 現代数学を読むシリーズ。今度はこれまで敬遠し近づけなかったトポロジーの世界へ。
 数年前に話題となったペリルマンによる「ポアンカレ予想の解決」とその後のペリルマンの失踪の物語は、テレビでも放映されて話題になった。ポアンカレ予想とは何かということは、テレビでも説明されていたように思うが、今改めて本書で読んでも、実はよくわからない。
 というのは私の能力不足のせいで、筆者の瀬川氏には、トポロジー全般について、ライプニッツに始まり、ケーニヒスベルクの迷路に代表されるオイラー回路、点を結ぶハミルトン回路、グラフにおける1次元ベッチ数、曲面のトポロジーとしての球面、トーラス、クライン管、十字帽、さらにホモロジーホモトピー、そして高次元トポロジーに至るまで、豊富な図解とともに段階を踏んで非常にわかりやすく説明をしてもらっている。
 ところどころ娘と一緒に読んだ。いや、よくわかる。面白い。ここから先は・・・踏み込まないようにします。

はじめてのトポロジー (PHPサイエンス・ワールド新書)

はじめてのトポロジー (PHPサイエンス・ワールド新書)

メビウスの帯の境界である、2重にねじれている円周をふつうの円周に直そうとすると、残念ながらメビウスの帯に「傷」ができてしまいます。傷があってもいいからともかくも直すと、次の図のような局面になります。/これが形を変えたメビウスの帯で、トポロジーではクロスキャップ、「十字帽」といいます。(P113)
●私たちがこの空間の中で眺めている局面はすべて球面か種数がnのトーラスです。・・・これらの局面はいずれも裏と表の区別をもち、この空間の中では「水を入れる容器として役立つ」局面です。/一方、この空間の中では傷なしには作れない局面がありました。それは種数nのトーラスに1つのメビウスの帯か1つのクライン管を貼り合わせた局面で、裏と表の区別をもたず、したがって内側と外側の区別がない、「水を入れる容器としては役立たない!」局面なのです。(P134)
●局面が違えばホモロジー群が違うし、ホモロジー群が違えば局面が違うことがわかります。つまりホモロジー群で局面が完全に分類できるのです。これが20世紀の初め頃に完成したトポロジーによる「局面の分類定理」の大きな成果でした。(P155)