とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

採用面接

 来年度新規採用予定者の面接試験官を依頼された。人事部門の社員とともに面接を行う。筆記試験などの1次試験に合格した者を面接や論文などで約半数に絞るのだという。面接時間は一人約20分。3人の面接官で面接を行う。
 事前に面接の心得のレクチャーがあった。昨今の受験者は面接準備がしっかり行われ、通常予想される質問にはスラスラと答えられるよう準備しているので、そこからさらに掘り下げたり、想定していないような質問をして、面接者の真の姿を見極めるようにしろ、と言われた。一応、面接用参考質問集なるものももらう。
 さて当日、半日で5人を面接。事前に3人でどんな質問を行うか打ち合わせる。志望動機などを聞く者、趣味や経験を通じて性格や人間性に関する質問を行う者、さらに抜け落ちた事項をフォローする者。だいたいこんな分担でスタートする。
 5人中女性が4人。これは偶然だが、他の面接官に聞くとだいたい4割程度だったという。大学卒業予定者はわずかに一人。大学院卒業予定者が2名、2名は転職者だ。やはり既に社会人の者、また大学院生の方がしっかりした受け答えをする。大学生の若々しさから将来性を測るのはかなり難しい。また男性と女性の違いも感じる。総じて女性の方が周囲への気配りを感じるが、そればかりでも困る。転職者についてはなぜ転職したいと考えているのかを聞く。一人は現在非正規雇用正規雇用をめざしている。気持ちはわかるが、同情は許されない。もう一人は現在の仕事に疲れているようだ。だがその職業の方が適性があるように感じる。うちに来てもらえば嬉しいが、彼女にとってはどうか。
 面接結果は、(A)ぜひ採用したい、(B)採用したい、(C)採用していい、(D)採用したくない、(E)絶対採用したくない、の5段階で評価する。全員(B)になってしまうが、できるだけ差をつけろという指示もあり、敢えて大学生を(A)、転職者二人を(C)とした。もちろん人間性や社会性も加味したが、将来性や受験者の適性感に引き摺られた。5人終わった時点で相対比較をし調整を行うが、最初の面接者の記憶が既にだいぶ薄れている。困ったことだ。
 評価は面接官3人が個別に行う。評価後、他の面接官と話をしたら、全く逆の評価をしていた。彼は能力や社会性を高く評価したみたいだ。なるほど。二人を平均すればみんな一緒。すると筆記試験の差で合否が決まるのだろうか。
 しかし受かればいいというものでもないし、不合格がポジティブな人生の転機になるかもしれない。人生なんて何がどう影響してどう転ぶかわからない。僕の採点が彼らの人生にどう影響を及ぼすのか、それはわからない。あの時よい評価をしたことがアダになることだってある。
 そんなことよりも、若い受験者にしてからが既に、みんな色々な人生を歩んできていることが興味深かった。もちろん就職もまた大きなターニングポイントだろう。そうして好むと好まざるとに関わらず、みんなここからまたさらに色々な人生を歩んでいくのだ。ボクは彼らの人生にいったい何をしたのだろう。