とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

リバプールの開幕戦は新戦力を試して始め良けれど後ぐずぐず

 いつも見ている「川の果ての更に果てに」さんが「冴えない開幕戦」で「何とも内容の薄い」と評していたので期待薄で見始めたけど、ナンノナンノ序盤は両チームやる気満々で見所の多いゲームだった。
 リバプールは新加入のダウニング、ヘンダーソン、アダムにホセ・エンリケを先発させ、昨シーズンまでの停滞を振り払おうという意欲たっぷり。ジェラードが負傷欠場ということもあるが、カイト、メイレレスをベンチに置いて、まずは新戦力の様子を見るという感じ。だが不安はDF。スクルテルがケガでアッガーをCBに起用。相手は超ベテランのキャラガー。ここも不安だが、グレン・ジョンソンの負傷で右SBで先発したフラナガンが不安定。中途半端なプレーで再三ピンチを招いた。
 まあ、ダルグニッシュが監督に就任する以前は攻撃陣が崩壊していたから、まずは攻撃からということかもしれない。で、その攻撃陣は完全にスアレスのチームになっていた。スアレスが受けて、スアレスが走り、スアレスがパスを出して、スアレスがシュートする。他の選手がスアレスに付いていった前半。スアレスがサボり出し守備に回ると不安定な後半という感じ。
 前半5分、サンダーランドの左SBリチャードソンへのチェックでスアレスがボールを引っ掛け、ドリブル。GKをかわすかというところでリチャードソンが追い付きファール。PKを獲得。だがこれを大きくふかしてしまう。リチャードソンがイエローで済んだのはスアレスがPKを欲しがったのがミエミエだったからかな。
 しかし12分、右中盤からアダムが蹴ったFKにスアレスがニアに飛び込みゴール。ややオフサイド気味だったが、切れのいい動きでリバプールが先制する。アダムは昨シーズン正確な左足でブラックプールを引っ張った選手。長く正確なボールが蹴られるのはリバプールにとってプラス材料。
 しかしサンダーランドにも同様の逸材が新加入。同じく2部落ちしたバーミンガムから移籍のセバスチャン・ラーション。14分、ラーションの左サイドからのクロスに右SHエルモハマディがヘディングシュート。エルモハマディも昨シーズンからいい動きが目立つ。
 21分にはアダムの長いサイドチェンジをキャロルが受けてシュートを放つが、DFを押してファールの判定。だが、アダムの正確なパスが目を引く。23分にもアダムが強烈なミドルシュート。今後に期待感を持たせる。
 サンダーランドラーションがセットプレーから何度もチャンスを演出する。22分、CKにCBブラウンがヘディングシュート。23分にはFWセセニョンからギャンがシュート。サンダーランドのFWはギャンが中心だが、このゲームでは動きの悪さが目立つ。代わってセセニョンがよく動き積極的にゴールを狙う。
 リバプールの新戦力ダウニングは左SHに入ったが窮屈そう。34分、右サイドから中央にドリブルしてミドルシュートがバーを叩くシーンがあったが、右サイドの方がいいのでは。右SHに入ったヘンダーソンはあまり活躍できなかった。これはフラナガンの不安定な守備もあったかもしれない。
 他に目を引いたのはルーカス・レイバ。27分、ルーカスがスアレスとのワンツーで持ち上がり、ゴール前まで迫るシーン。38分にも相手ボランチからボールを奪いそのままシュートする場面があった。シャビ・アロンソに代わって入ってきたときにはあまりのレベルの差に唖然としたが、気が付いてみれば回りはみんな代わってMFより前では最古参になっている。ルーカスが活躍するようだとリバプールもいいチームになるのだろうが、リーダーシップが足りない。
 後半サンダーランドがていねいにボールをつなぎ積極的に攻めてくる。2分、リチャードソンのミドルシュート。8分にはフラナガンからボールを奪ったラーションのクロスにギャンがヘディングシュート。リバプールは3分、アダムのミドルシュート。9分、ホセ・エンリケが上がってスアレスのクロスにキャロルのヘディングシュート。
 そして12分、右サイドのスローインからギャンが落とし、エルモハマディのクロスにラーションが見事なボレーシュートサンダーランドが同点に追い付く。フラナガンが中途半端にフリーにしていた。
 リバプールは16分、ヘンダーソンに代えてカイトを入れると、直後のカイトのCKにキャロルがヘディングシュート。GKがナイスセーブ。はね返りをホセ・エンリケがクロス。再びキャロルがヘディングシュートを放つが、枠を外した。
 21分、サンダーランドがギャンに代えて、チ・ドンウォンを投入。ギャンが前線でほとんど消えていたのに対して、チは何度かポストで競っては勝ってみせる。リバプールの中盤の守備も緩くなり、お互い雑な中盤の攻め合い。審判ばかりが目立ち、カードを乱発。後半は見所もなく、ただ時間が過ぎてゲームは1対1のドローで終わった。
 終わってみれば確かに「内容が薄い」と言われても仕方ない。特に後半盛り上がっているのはホームのリバプールサポーターばかり。しかし開幕戦で新戦力を試した結果でもあるし、サンダーランドも可能性を示した。確かにアーセナルの初戦もひどかったが、ニューカッスルがよかったとも言える。プレミアリーグ自体が中位チームのレベルが上がって、戦力が平均化し戦国模様という感じ。それでゲームの質もよくなればいいけど、上位チームのレベルが落ち気味な感じがするのは若干不安材料かも。ま、今シーズンはまさに始まったばかり。これからじっくり楽しむことにしよう。