とんま天狗は雲の上

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悪童バロテッリ、大爆発! ドイツ、優等生の沈黙

 ユーロ2012、準決勝。スペインはPK戦までもつれ込んでの辛勝で決勝進出を決める。もう一つの優勝候補ドイツは、今大会のビッグサプライズの一つ、攻撃的アズーリを相手に迎え、どんなゲームを見せるか注目された。
 個人的にはヨーロッパリーグ2011-12シーズン一番の注目チーム、ユベントスのメンバーと戦術を中核に、弾頭に超強力爆弾バロテッリを装着したイタリアがあなどれないと思っていたが、ついにバロテッリが大爆発。優等生チームのドイツは核の怒りを収められず沈黙。2-0でイタリアが決勝進出を決めた。
 前半序盤からイタリアのプレスが厳しい。特にカッサーノバロテッリの両FWが執拗にボールを追いかけ、GKまでも追い詰める。だが、ドイツも技術は確か。厳しいプレスをかいくぐり前にボールを進めると、エジルのコンダクトにポドルスキー、クロースの両SHとケディラが攻撃参加。イタリア・ゴールを脅かす。
 5分、クロースのCKにCBフンメルスが合わせると、GKブッフォンの脇を通ってゴールへ。ピルロがライン上でクリア。ブッフォンが抑える。12分にはケディラのドリブルから右SBボアテングがクロス。GKブッフォンがクリアした直後のショートCKにクロースがミドルシュート。GKブッフォン、ナイスセーブ。
 イタリアも17分、カッサーノポストプレーからモントリーボミドルシュート。さらに18分にはカッサーノミドルシュート。いずれもGKノイアーがナイスセーブを見せる。
 よくボールが動く面白い展開。それでもドイツの方が押し気味で、イタリアは遠目からのミドルシュートしか放てない。いつまでイタリアが抵抗できるかなと思って見ていたら、20分、左サイドでカッサーノボアテングフンメルスの二人のDFを振り切ってクロスを入れると、バロテッリバドシュトゥバーをうまくかわしてドンピシャ、強烈なヘディングシュート。イタリアがあっという間の攻撃で先制弾を突き刺した。
 今大会初めて先制されたドイツ。それでもまだドイツには1点位はハンデという感じもあった。27分にはボアテングのフィードをゴメスが落とし、エジルがシュート。33分、ボアテングのクロスにポドルスキーが飛び込む。だが、右SBバルザレッティがブロック。35分、ケディラミドルシュートもGKブッフォンがファインセーブ。
 すると直後のCKのクリアをモントリーボが拾ってドリブルから長いスルーパス。これにバロテッリが抜け出して強烈な光速シュート。GKノイアーが一歩も動けない。ラームが一瞬目測を誤ったこともあったが、バロテッリの位置取りも絶妙。そしてシュートが強烈。さすがにこの2点目にはドイツの選手たちも動揺。その後はどこか散漫な攻撃に終始したまま前半を終えた。
 ドイツは後半早々からゴメスとポドルスキーに代えて、クローゼとロイスを投入する。3分、ロイスが強引なドリブル突破からシュート。4分にはラームがクロースとのワンツーからシュート。さらに10分、エジルがドリブル突破からケディラへ。あっという間にDFが数人で取り囲む。11分、クローセのドリブルもCBボヌッチがブロック。2点差を付けたイタリアは守備が堅い。カテナチオの遺伝子が蘇る。
 12分、カッサーノに代えてディアマンティを投入。前からリフレッシュして運動量を高める。15分にはバロテッリがボールキープから強烈シュート。常に爆発物をのど元に突きつけられているようで怖い。17分、クロースの突破をボヌッチが倒してFK献上。ロイスのキックがバーぎりぎりに飛ぶが、GKブッフォンがスーパーセーブ。19分にはモントリーボに代えてチアゴ・モッタを投入。さらに中盤の守備を強化する。そして一瞬の隙を見てピルロが躍動。22分、ピルロの縦パスをマルキージオが落とし、ディアマンティのスルーパスマルキージオが抜けだしシュート。
 イタリアは25分、バロテッリに代えてディナターレを投入。さらに守備強化。ドイツも26分、ボアテングに代えてミュラーを投入。シュバインシュタイガーが下がって3バックにし、ミュラーとラームが両WBで張り出す。だが、普段やり慣れない布陣でWGからのクロスに偏り、却って攻撃が単調になってしまった。
 30分、デロッシからのサイドチェンジがマルキージオに渡る。バトゥシュトゥバーが足を滑らせた隙にシュート。だが枠を外す。35分、シュバインシュタイガーからの長いフィードのクリアをクロースがミドルシュート。40分にはエジルミュラー、クロースとつなぐが、イタリアDFは楽しむように守備を固める。45分、ラームのドリブルからクローゼが落とし、フンメルスがシュート。GKブッフォンがセーブ。
 ロスタイム2分、ドイツのCKにバルザレッティがハンドの反則。このPKをエジルが決めて、ドイツが1点を返すが、抵抗もここまで。最後はFKを放り込まず、つないだところでタイムアップ。
 完璧に思えたドイツだったが、不良少年の爆発とそれを囮に老獪にゲームを進めたイタリアの術中に、運動量を惜しまず真面目で有能な優等生集団のドイツが嵌って、抜け出せないまま敗退してしまった感じ。ゲルマン魂は移民集団には十分伝わっていなかったということか。
 これで決勝はスペイン対イタリア。グループリーグでは1-1の引き分けだったが、いよいよ決着を付ける時が来た。勢いのままイタリアがスペインを撃破するか、スペインがドイツにはない粘りを発揮してユーロ連覇を達成するか。予想は・・・PK戦突入の末、イタリアの優勝ということにしておこうか。やはりユーロは面白い。