とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

田中美南・田中陽子はよくがんばったが、高瀬が動かず。近賀、宮間のピースが埋まらない。

 アルガルベ杯は若手やこれまで代表に呼ばれなかった選手をおおぜい召集し参加している。ノルウェイ戦はパソコンに向かいながら耳だけで聞いていたが、なでしこリーグでしか聞かない小川志保や長船、川村、加古などが先発。しかし右サイドを崩されて2失点。慣れないポジションもあったか、粘りのなさが目立った。もっとも前半しか聞いていない。観てもいないので感想を言うのもはばかられるが。
 それで第2戦はドイツとの対戦。今度は大儀見や川澄など五輪・W杯メンバーが先発。澤、阪口、宮間、大野、近賀のポジションには、宇津木、田中明日菜、高瀬、田中美南、有吉が先発。田中明日菜はいつものプレーだが、阪口のような展開力はないし、宇津木も後半は落ち着いて実力を発揮したが、序盤はうまく機能しなかった。有吉と近賀を比べるのはかわいそうな気がするし、高瀬は守備に追われて、攻撃面でその能力を発揮することができなかった。その中で一人気を吐いたのは田中美南。小さい身体ながら意外な強さを発揮。大儀見のサポートを受けてよくチャレンジしていた。
 開始2分、左SHマロジャーンのクロスからCFミッタークがシュート。オフサイドの判定だったが、たぶん誤審。序盤、日本の守備が混乱し、うまく機能しなかった。そして7分、FWエムバビのクロスをミッタークが落とし、右SHファイストがシュート。ドイツが先制した。日本はミッタークのハンドをアピールしたが、それで集中力が一瞬途切れ、出足が鈍った。明らかにハンドだったが、2分の誤審と相殺、合わせ技1点という感じ。
 雨でピッチが重かったせいもあり、CBの熊谷と岩清水もパスミスを連発。ボールを奪ったと思ったらすぐにドイツに取り返され、何度も攻め立てられる。しかし15分を過ぎると次第にドイツの圧力も弱まり、少しずつなでしこがペースを取り戻していく。17分、高瀬の落としから田中明日菜がスルーパス。高瀬が抜け出しでシュートを放つ。しかし高瀬がよかったのはこのワンプレー位。後は強いドイツの中盤に次第に疲弊して後半はほとんどボールを触る場面さえ見られなかった。
 そして18分、宇津木のFKを大儀見が倒れながら粘ってヘッドでボールを落とすと、田中美南の前にこぼれてシュート。GKをよく見て落ち着いて決めた。日本が同点に追い付く。22分には中盤で川澄がボールを奪うと、大儀見とのワンツーで抜け出してGKと一対一。落ち着いてGKの股下を狙ったが、わずかに引っ掛かりゴールならず。
 その後はほとんど暴風雨というような天候となり、互角のゲームが続く。宇津木が落ち着きを取り戻し、中盤でよく戦う。田中美南のチャレンジも目立つ。そして川澄の信じられないような運動量。大儀見が前線でチームに落ち着きをもたらした。
 後半から田中明日菜に代えて田中陽子を投入。田中陽子に展開力を期待する。3分、川澄のCKに大儀見がニアに飛び込みヘディングシュート。これは枠を外す。田中陽子が攻撃にアクセントを付ける。まだ守備では身体負けすることも多いが、前向きで一生懸命なプレーは好感が持てる。ところが10分、中盤深い位置からのFKをマロジャーンが蹴ると、前に出ていたGK海堀の上を越えてゴールに直接飛び込んだ。ドイツがリード。CBとのライン取りの連携で明確な役割分担が欲しかった。ひとつ課題が明らかになった。
 その後、日本が反撃する。ようやくパスを回り始め、ワンツーで相手を崩す場面も見られるが、ところどころにある水溜りでパスが止まる。ドイツは身体を生かしてボールを奪い、ゴールを一直線に目指すような戦い方。25分、エムバビのスルーパスから左SBペーターのクロスにエムバビが走り込んでシュート。ここは海堀がナイスセーブ。27分にはGK海堀のフィードを大儀見が落とし、川澄が抜け出してドリブル。だがグラウンダーのシュートはわずかにファーサイドに外れた。
 32分、マロジャーンのスルーパスにCHゲースリンクが飛び出しシュート。GK海堀がブロック。マロジャーンは今後ドイツの中心選手として日本の前に立ちはだかりそうだ。日本も38分、川澄のスルーパス田中美南が抜け出し、GKをよくみてループシュートを放つが、枠に入らなかった。
 結局、このまま2-1でドイツが勝利。グループリーグ突破という意味では痛い連敗となってしまった。が、収穫も多い。課題も多く見えた。次のデンマーク戦はどういうメンバーでゲームに臨んでくるのだろうか。新メンバーもだいぶ慣れてきただろうし、今度は新鮮なメンバーで勝利するゲームを観てみたい。田中美南田中陽子は十分機能する。それが見られたゲームだった。