日航123便墜落事件については、森永卓郎の「書いてはいけない」を読んで興味を持ち、青山透子の「日航123便墜落事件 隠された遺体」と小田周二の「524人の命乞い」を読んできた。本書は「マンガ」とタイトルにあるが、マンガは半分、半分は普通に文章が書かれた本になっている。そして、これまでの本を読んでも、よくはわからなかった部分がより明確に記載されている。
まず、123便墜落の最初の事件、尾翼に衝突したのは、青山氏は自衛隊の護衛艦によるミサイルの誤射、小田氏は訓練用の標的機としている。いずれにせよ、自衛隊によるミスであるが、「524人の命乞い」にあるとおり、それだけなら過失による事故と言える。だがその後が酷い。
結局、ミサイルで撃墜されたのではないかという疑念は、地元住民の目撃や第4エンジンの崩壊具合から推測される。また、遺体の炭化状況から、火炎放射器による遺物の焼却が図られたのではないかという推測も披露されている。これらについては、「書いてはいけない」では今一つはっきり書かれていなかった。
そして生データの公開を執拗に拒むのは、疑念をさらに強くさせる。マンガには次のように書かれている。
○政府と日本航空は言うでしょう。「そんなものはただの陰謀論だ」と。ならば簡単です。コクピット・ボイスレコーダーとフライトレコーダーの生データを公開すればいい。…しかし、データを保管する日本航空はなぜか一貫して情報開示を拒否しているのです。あたかも真実よりも守るべき何かがあるかのように……(P140)
ちなみに、中曽根首相が上野駅に着いてから首相官邸に行くまでの間に「空白の20分間」があり、実は「米国大使館に立ち寄ったのではないか」という推測はどうか? 列車到着からホームを通り、自動車に乗り込むまでの時間などを考えると、それなりの時間を必要だろうし、あえて大使館に寄らずとも、用件は足りるような気がする。
と細かい点を指摘してもほとんど意味はない。森永氏は、この事件を契機に、プラザ合意と不平等な日米半導体協定が締結され、日本経済の凋落、さらに日米構造協議によるアメリカへの服従状態へと進んでいったと指摘する。今や森永氏はいないし、123便墜落事件と日米関係についてこれ以上、追及することも難しいだろう。だがいつの日か、フライトレコーダーなどが公開され、真実が開示される日が来るだろうか。当時の中曽根首相も死んでしまった。誰か勇気をもって真実を話す人はいないだろうか。
○地元の猟友会は前日21時には県警から依頼を受けて機動隊の道案内をするが、猟友会側の意見と食い違う偽情報に混乱させられ、ついに朝まで墜落現場には到着できなかった。/当時、遺体を検死した医師によると、落合さんたちが救出された場所の周辺には、その少し前まで生きていた痕跡のある生暖かい遺体が少なくなかった。現場到着がもっと早ければ助かっていたと思われる遺体は、100体にも上るはずであったという―。(P29)
○この日の夕刻、相模湾では自衛隊の護衛艦まつゆきが試運転中で、短SAM(艦対空ミサイル)の垂直発射装置の試験を行っていた。…何らかの突発的な原因で123便に向けてそのミサイルが発射されてしまった。…あるいは別の可能性として、自衛隊が標的機を123便に当ててしまったという推測も存在する。…いずれにせよ、自衛隊による何らかのミスで、訓練用の飛翔体を民間機に当てて「攻撃」してしまった―。(P52)
○住民の目撃情報に「飛行機が飛んでいった後から、流れ星のようなものが飛んでいくのが見えた」という証言がある。…実は123便の墜落状況については、第4エンジンに大きな疑問が指摘されていた。なぜかこのエンジンだけが主翼から外れ、粉々になって広範囲に散乱していたのである。…ミサイル撃墜説は、十分に合理的な推測である。(P88)
○重要な証拠物であるはずの後部圧力隔壁は、墜落現場ではほぼそのままの状態で見つかっている。なのに、日米合同調査の事故調査委員が現場に入る前日の8月15日、「遺体収容作業や遺体確認と運び出し作業にとって邪魔になるので」という理由から、自衛隊が大型電動カッターで5分割にしているのだ。(P113)
○「日航123便の墜落は、アメリカ・ボーイング社の整備ミスが原因である」。/日本政府はアメリカに対し、このシナリオを受け入れてくれるように頼み、そして了承を得た。証拠隠滅のため遺体が炭化するほど現場を焼き払い、その時間を稼ぐ必要性から「情報が錯綜して、墜落現場の特定が遅れた」として。…すべてを闇に葬ることで、日本政府は自衛隊増強への流れを守ることができた。-だが、これは重大な「取引」であったのだ。(P126)
○いち早く現場に到着した地元消防団は、炭化した遺体とともにガソリンとタールを混ぜたような強い異臭を嗅ぐ。…上野村に保管されていた遺物を化学分析した結果、大量のベンゼンが検出された。ベンゼンはジェット燃料には含まれないが、ガソリンには含まれる。さらに硫黄も大量に検出されている…これらの観点から、現場は本来存在しえない燃料で焼き払われた可能性が高い。そして、どちらの成分も火災放射器の燃料には含まれる。(P146)
